オープンイヤー型なのにオーバーイヤーヘッドフォン! ユニークな「nwm ONE」を試して分かったこと

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2025年01月21日 12:11  ITmedia PC USER

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オープンイヤー型オーバーヘッド耳スピーカー「nwm ONE」)。重量は実測で186gとヘッドフォンとしては軽量だ。360 Reality AudioやUSBオーディオもサポートしている

 数年前から登場した耳をふさがないオープンイヤー型のイヤフォンは、2024年あたりに一気に普及し、すっかり市民権を得たように思う。イヤフォンでありながら、装着したままでも周囲の音を聞くことができ、運動中やカフェなどでの「ながら聞き」にはピッタリの製品だ。


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 反面、周囲の音が聞こえるために、音楽に没頭するような使い方には向いていない。音楽をよく聞こえるようにと音量を上げると、音漏れも大きくなってしまうという問題もある。


 この音漏れを効果的に抑制する技術を搭載するのが、NTTソノリティが展開する「nwm」(ヌーム)シリーズだ。2022年11月に最初の製品が発売されたnwmシリーズは、2024年末に新製品が発表され、現在は全部で6モデルが用意されている。6モデル中5モデルはイヤフォンなのだが、唯一「nwm ONE」はヘッドフォンとなっている。


 オープンイヤーのヘッドフォンというのは、何とも奇妙な印象を受けるかもしれないが、着け心地も良く音質的にも十分に満足できるものとなっている。筆者はnwm ONEを発売日(2024年7月18日)に購入して使っているので、少し前の製品ではあるが改めて紹介していこう。


●独特な形状のオープンイヤー型ヘッドフォン


 nwm ONEは、「オープンイヤー型オーバーヘッド耳スピーカー」というこれまでになかったジャンルの製品だ。といっても、nwmシリーズ全ての製品がイヤフォンやヘッドフォンという言葉を使わず「耳スピーカー」を名乗っている。ここは素直にオープンイヤー型ヘッドフォンと言ってしまってもいいだろう。


 ぱっと見では普通のヘッドフォンにも見えるのだが、オープンイヤー型で「Unmute the World 今こそ、ミュートを解こう」をコンセプトにしており、耳をふさがない構造になっている。通常はハウジングやイヤーパッドがある部分が、骨組みだけのような状態だ。中央にはスピーカーが内蔵されおり、これを見るとオーバーヘッド耳スピーカーという名称にもうなずける。


 左側ユニットには、USB Type-Cポートと電源ボタンを兼ねたマルチファンクションボタン、そしてボリュームボタンを備えている。付属品はUSB Type-Cケーブル(約1.2m)のみとシンプルだ


 マルチファンクションボタンは、1〜3回押しで各種操作が可能だが、この操作は残念ながらカスタマイズはできない。


●快適な装着感で低音もしっかり感じられる音質


 接続は、Bluetooth 5.3もしくはUSBによる有線接続に対応する。BluetoothはマルチペアリングとAuracastにも対応している。なお、対応コーデックはSBC/AAC/LC3となっている。


 オープンイヤーは低音が弱くなりがちだが、nwm ONEは非常に気持ちがいい低音を感じることができる。ツイーターとウーファーの2wayドライバを搭載しており、イメージとしてはヘッドフォンというよりも小型のスピーカーを耳の上に配置しているという印象だ。


 1人だけの部屋など静かな環境であれば、オープンイヤーの解放感も相まって快適に音楽を楽しめるのだが、通常のヘッドフォンとは違い耳を覆っていないので周囲の騒音がダイレクトに聞こえてくる。音量を上げれば話し声などはある程度気にならなくなるが、ANCのように低音ノイズを取り除けるわけではない。音楽をBGM的に楽しむ分には問題ないが、没頭したいという使い方には向かないだろう。余談だが、オープイヤーには、長時間の装着でも耳が蒸れないという特徴もある。夏場には特に助かるメリットだ。


 ちなみに、バッテリー駆動時間は音楽再生時で最長20時間、充電時間は約1.5時間となっている。また、5分の充電で約1時間の利用が可能だ。


 スマートフォン向けのコンパニオンアプリ「nwm Connect」では、イコライザーの設定を行える。「Balanced」「More Bass」「More treble」「Clear voice」「Dynamic」の他、ユーザー設定を5つ設定可能だ。


 対応OSはiOS 15.5以降、visionOS 1.0以降、Android 10以降となっている。


●音漏れ防止の「PSZ」技術とクリアな音声を届ける「Magic Focus Voice」技術を採用


 オープンイヤーでは、音漏れの問題も気になるところだろう。しかしながら、nwmシリーズは同社独自のPSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)を搭載しており、音漏れに関しては全く気にする必要がないと言える。再生している音と逆位相の音を重ねることで耳の周囲にだけ音を閉じ込め、音漏れを打ち消すというもので、ANCを逆向きにしたようなイメージだ。その効果は絶大で、常識的な音量で聞いている限りでは、肩が触れ合う距離でも音漏れしない。


 これなら人混みでも安心して音楽を楽しめる、と言いたいところだが、そうなると周囲の音が邪魔で音楽が聞こえづらいということになる。


 nwm ONEにはもう1つ、同社の特許技術である「Magic Focus Voice」が搭載されている。これはマイクから雑音を効果的に除去し、話者の声のみを送信するという技術だ。


 実際に試してみると、周囲の音が完全に除去されるわけではないが、ほぼ気にならない程度には低減される。周囲の音が聞こえてしまうオープンイヤーなので、そもそも騒がしい場所での利用には不向きなのだが、職場などすぐ近くで人が話しているような状況でも話し声を気にすることなくオンライン会議や通話ができそうだ。


 なかなか使いどころが難しいヘッドフォンだと思うが、例えば、それなりのボリュームで音楽を楽しみたいが、家族と暮らしているのであまり大きな音は出せない。イヤフォンやヘッドフォンでは、家族に呼ばれる声が聞こえないので使いづらい。あるいは、一人暮らしでもオンライン会議中に宅配便の配達などのチャイムを聞き逃したくないといった場合には便利に使えるだろう。


 なお、同社の直販価格では、ライトグレイ/ダークグレイ共に3万9600円となっている。


 ヘッドフォンは圧迫感があって苦手だ、長時間使うと蒸れて耳がかゆくなってしまうという人も、ぜひ一度試してみて欲しい。



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