ドナルド・トランプ米大統領は1月20日(現地時間)、中国ByteDance傘下のTikTokに対する「外国敵対勢力支配下のアプリに関する米国民保護法」の執行を75日間停止する大統領令に署名した。
バイデン政権下で施行されたこの新法は、国家安全保障上の理由から、中国に拠点を置くByteDanceとその子会社であるTikTokが運営するアプリを「外国敵対者による管理アプリ」として規制対象としており、アプリの米国での配信、保守、更新を禁止している。
トランプ氏は、就任直前に発効したこの法律の施行により、国家安全保障への影響や外交政策への影響を評価する時間が十分に取れないことを懸念している。
そのため、トランプ氏は司法長官に対し、この新法の施行を75日間停止するよう指示した。同氏はこの猶予期間中に1億7000万人の米国人が利用するプラットフォームを維持するための解決策を模索する。
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大統領令は司法長官に対し「法令違反はなく、発生したいかなる行為についても責任はないことを記載した書簡を各プロバイダーに発行する」ことも命じている。
各プロバイダーとは、TikTokを公式アプリストアで提供している米Appleや米Google、サービスのホスティングを行っている米Oracleなどを指す。
新法では、違反したプロバイダーには多額の罰金が科されることになっており、施行された19日から米国の公式アプリストアでのTikTokの提供が停止されている。
トランプ氏は大統領令に署名しながら、TikTokの少なくとも50%は米国が所有すべきだと主張し、その価値は5000億ドルくらいになるだろうと語った。同氏は合弁事業の構想を語ったが、具体的に何を意味するのかは不明だ。
この大統領令は、大統領に連邦法の執行を停止する権限があるかどうかなど、直ちに法的異議に直面する可能性がある。大統領令の効力については、専門家の間で意見が分かれている。NPRによると、ミネソタ大学の憲法学者アラン・ローゼンシュタイン教授は、大統領令では法律の発効日を延期したり、企業の法的責任を免除したりしようとしても、議会の制定した法律を変えることはできないと主張する。一方、ワシントン大学のライアン・カロ教授は、法律の解釈と執行は政権の裁量に委ねられており、たとえそれが法律の要件に厳密には従わないことを意味する場合でも、大統領には大きな権限が与えられていると指摘する。
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