イチロー氏が殿堂入り目前!「262安打」放った伝説のシーズンを改めて振り返る

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2025年01月21日 17:32  ベースボールキング

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イチロー氏(写真=GettyImages)
 2025年度の米野球殿堂入りが十数時間後に発表される。

 2019年3月、東京ドームで行われたあの引退試合からまもなく6年。日本が誇る野球界のレジェンドはついに本場アメリカで殿堂入りを果たす。

 日米のメディアはイチローが史上2人目の満票選出なるかに焦点を当てているが、仮に満票でなくとも殿堂入りする事実に変わりはない。オリックスで9シーズン、メジャーで19シーズン、合計28シーズンの長きにわたって常にトッププレーヤーの一人として戦い続けてきたイチローの現役時代を振り返ると、やはり最も輝いていたのはメジャー4年目の2004年だった。

 当時を知るファンはあの熱狂をしっかり目に焼き付けていることだろう。改めて21年前の“262”を思い出したい。

 当時はフライボール革命という言葉が生まれるはるか前。“ステロイド時代”とも揶揄されるようにすでにパワーヒッターがもてはやされていたが、イチローのように単打を積み重ねる打者も少なくなかった。実際に04年は、イチローを含めてシーズン200安打以上を放った選手が8人もいた。

 2024年シーズンに200安打を放った打者は僅か2人だけで、22年に至っては皆無だった。

 ちなみに昨季、両リーグトップの211安打を放ったボビー・ウィット(ロイヤルズ)が21年前のイチローと同じ262安打を放つためには200試合に出場しないといけない計算だ。これだけでも262という数字がどれだけ難易度の高いものかが分かるだろう。

 21年前のイチローのすごさはBABIPの数値からも一目瞭然だ。BABIPとは「本塁打を除くフィールド内に飛んだ打球が安打になった割合」を示すが、イチローのそれは.399。つまり、5本に2本の割合で打球が安打になっていた。

 また、左腕に対して.404の高打率を残したことも大きかった。メジャー通算で見てもイチローは左投手に対して打率.329をマーク。対右投手の.304を大きく上回っている。04年は特にサウスポーを無双していたが。右投手に対しても.359のハイアベレージを残していた。

 04年のイチローは実は開幕直後は大不振でスロースタートだった。4月末の時点で打率は何と.255。5月末に.335まで引き上げたが、6月末時点で.315と首位打者争いにも加わっていなかったほどだ。

 ただ、7月以降は自慢のバットが火を噴き、閉幕までの約3か月間で打率.423をマーク。6月までの105安打に対し、7月以降は157安打と文字通り打棒を爆発させた。

 ただし、イチローの活躍がありながら同年のマリナーズは63勝98敗と大きく負け越し。ア・リーグ西地区でライバル球団から大きく離された最下位に沈んだ。

 試合の勝敗にかかわらずイチローは262安打を積み重ねたが、チームが不振を極める中でもイチローは勝利試合で打率.447をマーク。敗戦試合の.321と比べても、その差は歴然だ。もしイチローがいなければ、あの年のマリナーズは110〜120敗を喫していてもおかしくない状況だった。

 262安打と打率.372。数多くの眠っていた記録を掘り起こしてきたイチローだが、やはり2004年のそれは今振り返っても格別なものだ。殿堂入りの一報とともにあの伝説のシーズンに改めて思いを馳せたい。


文=八木遊(やぎ・ゆう)

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