サムスン電子は、1月22日(現地時間)に米カリフォルニア州サンノゼで、新製品発表イベントの「Galaxy Unpacked」を開催。Galaxy AIを強化した「Galaxy S25」シリーズ全3機種を発表した。
このうち、標準モデルとなるGalaxy S25と、Sペンを装備した最上位モデルの「Galaxy S25 Ultra」は日本でも発売される。ここでは、後者のGalaxy S25 Ultraを写真とともにチェックしていきたい。なお、写真は国内版を中心としつつ、不足分などは北米版でも補っている点にはご注意いただきたい。
●SペンはBluetooth非対応に カメラは超広角が5000万画素にアップ
Galaxy S25 Ultraは、Galaxy Noteシリーズの系譜を受け継いだモデルで、端末下部にはSペンを装備している。側面のフレームが丸みを帯びていたこれまでのUltraに対し、Galaxy S25 Ultraは直線的な形状になっているがデザイン上の変更点。逆に、ディスプレイの四隅は丸みを帯びており、形状的には標準モデルのGalaxy S25に近くなった。Sペンは、端末下部に収納できる仕組みだ。
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Sペンは、ワコムの技術を取り入れたスタイラスペンで、追従性の高さや筆圧を検知できる点はこれまでと同じ。ただし、Galaxy S25 UltraのSペンは、Bluetoothを搭載していない。そのため、Sペンの動きを検知し、端末を操作できる「エアアクション」にも非対応だ。サムスン電子は2018年に発売された「Galaxy Note9」でこの機能を搭載したが、Galaxy S25 Ultraでそれが簡略化された格好だ。
メインカメラは2億画素。望遠カメラはそれぞれ3倍と5倍で、0.6倍の超広角カメラも備える。ピクセルビニングを解除した切り出しズームやデジタルズームを組み合わせることで、最大100倍までの望遠撮影にも対応する。ハードウェアの強化点として挙げられるのは、超広角カメラ。画素数が50メガピクセルになり、接写の際などの精細感が増している。また、カメラ機能では、Log形式の動画撮影が行えるようになった。
プロセッサには、Galaxyシリーズ向けに最適化された「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」を搭載しており、処理能力が高まった。発熱を処理するため、ベイパーチャンバーは前モデル比で40%大型化している。バッテリー容量は5000mAhで、最大45Wの急速充電に対応する。また、専用ケースを使うと、Qi2によるマグネットで装着可能なワイヤレス充電を利用できる。
●AI機能を強化 コンテンツの分析やアプリを横断した命令実行が可能に
ハードウェア以上に強化されたのが、2024年モデルから搭載されてきたGalaxy AIだ。Galaxy S25シリーズの「One UI 7」では、Galaxy AIの機能が強化された他、新機能も追加された。例えば、「スケッチアシスト」という機能を使うと、写真などからイラストを生成できる。従来通り、Samsung Notesアプリで描いた下書きのような線画をイラスト化することも可能だ。
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テキストやイラスト作成に主眼が置かれていた2024年までのGalaxy AIに対し、One UI 7で追加された新機能は「AIエージェント」とも呼べるスマホの操作に関わるものが多い。その1つが、サイドメニューに収められた「AIセレクト」。画面上に表示されているコンテンツをAIが分析して、それに合わせた最適なメニューを表示してくれるというものだ。
例えば、レシピが書かれたメモをAIセレクトで読み取ったところ、単位変換というメニューが表示された。これをタップすると、画面内に表示された単位を別のものに変換できる。また、英語で書かれたレストランのメニューが書かれた画像でAIセレクトを使うと、翻訳やマップがおすすめされた。そのままワンタッチでメニューを翻訳したり、近い料理を出すレストランを地図で検索したりといったことができる。
また、「Now Brief」という機能を使うと、時間帯ごとに必要な情報をまとめて表示できる。朝であれば、天気予報やニュース、その日の予定といった具合に必要な情報がまとめられており、昼であれば近隣のレストラン情報が出るといった形で、表示する情報はユーザー自身で選択することが可能だ。
もう1つの大きな進化が、アプリをまたがってユーザーの出した命令を実行する機能。これにはGoogleのGeminiが使われており、Google純正アプリやサムスン電子アプリのほか、Whatsappなどの一部サードパーティアプリがこの対象。Geminiはサイドキーの長押しで起動するようになっており、そのまま端末に話しかけるだけで、必要な操作をまとめて行えるという操作体験が売りになっている。
例えば、「NTTの決算説明会の予定を調べてカレンダーに登録して」というと、GeminiがWeb検索で調べた予定を自動的にカレンダーに登録してくれた。ユーザー自身でこれをやろうとすると、まずブラウザを開いてキーワードで検索をし、表示された結果を見てからカレンダーを起動したあと、それを登録しなければならない。そこそこ手間のかかる作業をAI任せにできるのが、この機能と特徴だ。
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メッセージの送信にも対応しており、「近くにあるイタリアンレストランの情報をアレックスに送って」というと、検索からメッセージの送信までを自動でGeminiが実行してくれる。ユーザーがやるのはその結果を確認して、最後の送信ボタンを押すだけだ。
サムスン純正アプリもこの機能で利用でき、Samsung Notesに検索結果を保存しておくといった用途に使える。サムスン電子によると、この機能はGoogleと同社が協力して開発したもので、Galaxy S25シリーズに先行搭載されているという。サムスン電子製の内蔵アプリが対応しているのが、その証拠だ。座組としては、Galaxyシリーズに先行搭載された「かこって検索」に近い。
残念ながらサードパーティーアプリには制限があり、LINEなどで情報を送ることはできない。実行できない操作も残されているため、利用時には試行錯誤も必要になる。まだまだできないことは多く、現状では万能なAIエージェントとはいえないが、その第一歩を踏み出したことは確かだ。対応機能の拡大など、今後の進化が大いに期待できる。
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