年金の「繰上げ受給」「繰下げ受給」のメリット・デメリットを考える
老齢基礎年金・老齢厚生年金は原則として65歳から受給開始となりますが、65歳よりも前にもらい始める「繰上げ受給」と、65歳よりも後からもらい始める「繰下げ受給」とがあります。繰上げ受給のメリットとしては、65歳を待たずに年金をもらい始めることができる点です。デメリットとしては、受給額が減額される点です。繰上げ受給の減額率は最大で24%(昭和37年4月1日以前生まれの場合、最大30%)となっており、65歳を迎えても、生涯にわたりこの減額率が適用された年金額を受給し続けることになります。
一方、繰下げ受給のメリットとしては、支給開始のタイミングによって年金が増額され、受給額は最大で84%増額(昭和27年4月1日以前生まれ、もしくは平成29年3月31日以前に老齢基礎年金、老齢厚生年金を受け取る権利が発生している人の場合は、最大で42%)される点です。デメリットとしては、年金受給を先送りしている期間の生活費を賄える貯蓄がない場合、働くなどして収入を確保しなければならない点です。
老齢年金の受給開始年齢を考えるときには、以下の点も覚えておいてください。
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老齢年金の受給開始年齢を考えるときの注意点
まず、繰上げ受給を選択した場合は、生涯、減額された年金を受給することになります。また、長生きをすると、トータルでもらえる年金額は、65歳で受給を開始した場合よりも少なくなってしまうことがあります。一方で繰下げ受給を選んだ場合は、たとえ年金額が生涯増額されたとしても、長生きしなければトータルでもらえる年金額は少なくなってしまう可能性があります。繰下げ受給した場合は、長生きすればするほど、もらえる年金総額は多くなるということです。
年金は何歳からもらい始めるのがベスト!?
以上のことから、結局、年金は何歳からもらうのがベストなの?と思うかもしれませんね。老後の働き方や収入を得る方法は、人によって違います。また繰上げ受給・繰下げ受給それぞれにメリット・デメリットがありますので、年金をもらい始めるタイミングはじっくり考えてから決めることをおすすめします。
また、今まで65歳から受給することを念頭にライフプランを立てているのなら、わざわざ変える必要はありません。計画通りで問題がないのなら、65歳でもらい始めるほうが、余計なことを考えずにすむのでおすすめです。
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文:飯田 道子(ファイナンシャルプランナー)
金融機関勤務を経てFP(CFP、1級FP技能士)を取得。独立系FPとして、各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などを行っている。金運アップやポジティブお金など、カラーセラピーと数秘術を取り入れたアドバイスも得意。
(文:飯田 道子(ファイナンシャルプランナー))