ソフトバンクが10年ぶりにGalaxyを扱う3つの理由、「月額3円」なぜ実現? 発表会場でキーパーソンを直撃

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2025年01月23日 12:01  ITmedia Mobile

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約10年ぶりに、ソフトバンクがGalaxyを販売する

 サムス電子は、1月22日(現地時間)に米カリフォルニア州サンノゼで、「Galaxy S25」シリーズを発表した。国内でも、23日から大手キャリア各社が取り扱いを表明している。例年と大きく異なるのは、ソフトバンクが久々にGalaxyの販売を行うことだ。同社が最後に販売したGalaxyは、2015年に発売された「Galaxy S6 edge」までさかのぼる。約10年ぶりに、Galaxyの販売を“再開”するというわけだ。


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 久々にソフトバンクから登場するGalaxyとあって、その価格設定にも気合いが入っていることがうかがえる。標準モデルのGalaxy S25は、「新トクするサポート(プレミアム)」を使うと、1年間の支払額が月額3円(税込み、以下同)。1年目で回収に出す際にかかる「早トクオプション」を含めても、実質価格はわずか2万2036円だ。最上位モデルのGalaxy S25 Ultraも、1年実質4万9060円とリーズナブルな価格で販売される。


 では、ソフトバンクはなぜGalaxyの取り扱いを決めたのか。Galaxy Unpackedにパートナーとして招待されていた、同社の専務執行役員でコンシューマ事業推進統括を務める寺尾洋幸氏が、一部報道陣からの取材に答え、Galaxy S25シリーズ導入の狙いを語った。


●AIを普及させる上でGalaxy AIは欠かせない


―― 約10年ぶりですが、何がきっかけになったのでしょうか。


寺尾氏 大きくは3つあります。1つ目の一番大きな理由は、Galaxy AIですね。われわれは最もAIを活用する事業者として、社長の宮川以下、みんなで進めています。発表を見ると、Googleとコラボもしている。AIのサービスの入り口はやっぱりスマホだと思うんですよね。そのパートナーを考えると、やはりサムスンさんが出てきます。


 2つ目は内部的な理由ですが、事業法の改正(省令改正によるガイドラインの改定)によって、特定のものを安くしてバンと売るということがだんだんとできなくなってきた。その中で、お客さまの選択肢を増やしていかなければいけないなというのがあります


 これは3つ目の理由とも重なりますが、日本でもサムスンさんの製品の普及率がかなり上がっているのに、われわれのお客さまに対してそれ(Galaxy)がない。あるいは、(MNPで)他のキャリアからわれわれに来てもらうチャンスを逃している。その辺を考え、ぜひ今回トライしようということになりました。


―― 事業法のお話がありましたが、Galaxyはリセールバリューが高い(ので、残価を高く設定できる)と思います。これも魅力でしたか。


寺尾氏 そうですね。グローバルで売れているもののリセールバリューが上がるのは自明のことです。もちろん、われわれにはiPhoneもありますし、Pixelもありますが、3つ目の大きな柱としてGalaxyをやっていくことになります。


―― Galaxyぐらいのリセールバリューがあれば、月額3円も可能なのでしょうか。


寺尾氏 精いっぱいやりました。ノーマルモデルは1年で36円からスタートします。


―― ガイドライン改正でやりづらくなったような気がしますが、そこは無視していないですよね(笑)。


寺尾氏 無視はしていないです(笑)。当たり前ですが、ルールとコンプライアンスは守っています。


 1つは企業努力で、どこまでわれわれがマージンを削るかということや、サムスンさんの協力もあります。その結果として、原価に対してリセールバリューが高くなります。今回は――いや、いつもズルはしていません(笑)。


●ガイドライン改正は「誰にとっていいのか分からない」


―― あのガイドライン改正はどう受け止めていますか。


寺尾氏 誰にとっていいことなのかが、よく分からないですね。初めて出たものでリセールバリューがつかないのは、どうするのということもあります。そういうこともあって、中国メーカーが厳しいんですよね。サムスンさんのように、グローバルでリセールバリューがあればそこそこの値段はつけられますが、それでもAndroid陣営は低くなってしまう。それが本当に正しいのかとは思いますが、コンプライアンスは守ります。


―― ミリ波につけられる割引はどうでしょう。


寺尾氏 結局、8万円を超えてからの割引ですからね。あとはミリ波対応の端末を安く入れていただければいいのですが。


―― 端末のラインアップが増えていますが、調達にリスクはないのでしょうか。


寺尾氏 今回はサムスンさんにも協力いただきました。フィーチャーフォンのころは、ひと声100万台というような話もありましたが、今はグローバルで売られていることもあり、そこまで大きなロットにはなりません。そういう意味では、コントロールしやすい範囲になったと思っています。


―― 今後、メーカーの選別や淘汰(とうた)みたいなことはあるのでしょうか。


寺尾氏 最後はお客さまの支持ですね。サムスンさんの前で言うのもあれですが、われわれにとって競争が活性化するのはいいことだと思っています。原価に応じてフェアな価格設定になるようにはしています(新トクするサポートのことを指しているとみられる)。


●フルパワーで販売、Y!mobileにもGalaxy製品を拡充する


―― 久々のGalaxyですが、ソフトバンクユーザーの中でもGalaxyを扱っていたことを知らない人が増えていると思います。何か大規模なプロモーションをかけていくのでしょうか。


寺尾氏 今回は全力で立ち上げます。(Galaxyがあることで)久々に戻ってくる方や、われわれが扱っていることを知らない方もいます。新しいメーカーとして、セールスタッフからプロモーションまで、フルパワーでいこうと思っています。


―― AIスマホの売り方として、何か考えていることはありますか。


寺尾氏 いずれにしても、体験していただくことだと思っています。使ってみてなんぼなので、イベントなどいろいろなパッケージを作っています。クルーから出るアイデアもありますし、企画サイドから出るものもあります。何が正解かはよく分からないですが、僕がプレゼンするとしたら翻訳機能一択ですね。今、サムスンの「Galaxy Z Fold6」を使わせていただいていますが、通訳アプリは“神”ですね。(外国語を)ヒアリングしてくれるだけでも、「AIスゲー」と思います。お客さんとAIはまだまだ遠い。その距離を縮めるために、どういうユースケースがあるのかをお客さまに近いところでやっていくのが基本かなと思います。


―― 今回はソフトバンクですよね。


寺尾氏 Sシリーズはソフトバンクですね。


―― Sシリーズ“は”ですか。Y!mobileもありうるのでしょうか。


寺尾氏 はい。別のシリーズはやっていこうと思っています。


―― Galaxy Ringなどのエコシステム製品も扱うのでしょうか。


寺尾氏 はい。われわれが直接ではなく、傘下のC&Sを通してですが、一部店舗でやる予定です。


●GalaxyがiPhone、Pixelとともに大きなラインアップになる


―― 春商戦はどう戦っていく予定ですか。


寺尾氏 そうですね。王道はバック・トゥ・スクール(子どもの新学期に合わせた施策)なので、端末系は今回サムスンさんを入れ、iPhone、Pixelとともに大きなラインアップになります。事業法の影響はまだ分かりません。


―― 今回のGalaxyの取り扱いが、基地局などのネットワーク機器に拡大していくようなことはありますか。


寺尾氏 いろいろな議論はしています。可能性は否定も肯定もしません。ご提案をいただいていることはありますが、まだ決めたことはありません。インフラ側は時間がかかりますからね。ただ、5G、6Gとこの先に進んでいく中で、いろいろな議論は出てくると思います。中国ベンダーは(経済安全保障などの理由で導入が)厳しいですからね。


―― 端末面で今後期待するのはどういうところですか。


寺尾氏 やはりGalaxy AIでの差別化ですね。あとはいろいろな製品とのコラボレーションです。うまく回れば大きな市場になるのではないかと思っています。ヘルスケア関係は難しいテーマではありますが、CESでも展示を見させていただきました。総合家電とつなげていくというのは、ずっと前からやっていますし、なかなか実現していませんが、お話を聞いていると面白いなと思いました。ただ、まずはGalaxy AIと市場の立ち上げです。10年前は販売に苦労しましたが、今回は大きな差別化をもって投入します。



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