Q. 「歯に悪い果物がある」って本当ですか?
Q. 「毎朝、健康のために果物を食べています。この前、遊びに来た友人に『果物は歯を溶かすから、虫歯になりやすくなるよ』と言われました。確かに、私は人よりも虫歯ができやすい方です。果物の習慣が原因なのでしょうか? 歯の健康のためには、果物を食べるのをやめた方がいいのでしょうか?」A. 酸性度が高い果物は歯を溶かします。しかし、果物を避ける必要はありません
「果物が歯に悪い」という意見は、「リンゴは炭酸飲料の4倍歯に悪い」という説に由来するものかと思います。以前、海外で「リンゴは高い酸のため、ゆっくり食べると歯にダメージを与える可能性がある」という研究報告が発表され、注目を集めました。ここから考えると、ご質問に対しては「リンゴなどの酸性の果物です」という回答になるでしょう。しかし、果物を避ける必要は全くありません。果物に限らず、酸性の食品を食べると、歯の表面は酸にさらされ、薄く溶けます。専門的には「脱灰」と呼ばれる状態です。
脱灰がそのまま進み続けると歯に穴があいて、虫歯になってしまいますが、通常は唾液の成分が溶けた部分を補修してくれます。過度の心配は不要です。
「酸性・アルカリ性」という性質だけで、短絡的に食品を選ぶのは危険です。全体的な栄養成分やバランスを見ることを忘れてはいけません。
大切なのは、唾液の成分によって歯が自己修復できるように、修復時間を作ること。「だらだら食べ」はよくありません。また、リンゴなどの酸性の果物を食べた直後は、歯の表面が薄く溶けてしまった状態なので、すぐに歯磨きをしないことも大切です。
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歯の健康を考えることは大切ですが、一概に果物を避けるのではなく、ちょっとした工夫を取り入れて虫歯を遠ざけることをおすすめします。
丸山 和弘プロフィール
1995年より臨床一筋の現役歯科医師。歯科大学卒業後、仙台市東邦歯科診療所を経て地域密着型の歯科医師に。小さな子どもの虫歯予防から歯のホワイトニング、お年寄りの入れ歯の相談まで、数多くの症例と日々向き合いながら、虫歯、親知らず、口内炎、歯周病など、歯の健康を守るための情報を数多く発信している。(文:丸山 和弘(歯科医))