必要最低限の仕事しかしない“静かな退職”という働き方が、若い世代や働き盛りの世代の一部に広まっているようだ。マスコミ企業の情報システム部で働いているという20代女性もその一人。パソコンやスマートフォンといった社用端末の管理やアカウントの整備を行っている。
パソコンの破損やスマホの紛失に対応したり、従業員に社用システムの権限を付与したり、いわゆる「便利屋さん」だと自虐した。(文:長田コウ)
表向きは「会社の業務改善」だが……
部署内で最も若手であり、女性社員は一人しかいないが、働きやすい職場のようだ。
「部署の雰囲気は非常に良いです。理不尽なことを言われたり、雑用を押し付けられたりすることもありません。そのため、上司や先輩に頼まれたことは喜んで引き受けます」
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年収は750万円で、仕事内容や人間関係にも不満はない様子だが、「会社に対する不信感は拭えません」とこぼす。
他のマスコミ企業と同様に業績が良くないようだ。「減収減益が続いている」という現実を若手は受け止め、利益向上に貢献しようと試行錯誤している。女性もかつてはそうだった。しかし、経営陣の態度は変わらないままだった。
「経営側は過去の栄光が消えないのか、いつまでも『テレビ・新聞が偉い』と、視聴者・読者を下に見る態度をやめません。もうそんな時代はとっくに終わっているのに、その現実に気づかないのか目を背けているのかわかりませんが、いつまでたっても世の声に寄り添おうとしません」
熱意を持って入社した会社であるだけにショックが大きかったようだ。女性は「こんな会社に未来があるとは思っていない」とし、“静かな退職”を試みているそう。
「部署内で頼まれたことを時間をかけて遂行し、成果を出しているふりをしています。それ以外にも余った時間はアプリの開発をやっています」
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アプリ開発は「会社の業績改善のため」というのが表向きだが、実のところ「自分のスキルアップ」が目的だという。経営陣は、若手の気持ちに早く気づいてほしい。
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