カルビーは1月23日、冷凍食品事業に本格参入すると発表した。2028年頃までに「じゃがりこ」発のホットスナック「ポテりこ」などを量産し、業務用のほか、全国のスーパーでの展開も目指す。
【画像】冷凍食品としての発売を目指す「ポテりこ」や、斜里町長も登壇した記者発表会の様子など(計7枚)
同時に、しれとこ斜里農業協同組合(以下、JAしれとこ斜里)と連携し、斜里町に新たな冷凍加工施設を建設すると発表した。冷凍食品向けを中心とした、ジャガイモの新たな調達拠点に位置付け、新領域への足掛かりとする方針だ。
●100億円規模を目指す
「ポテりこ」は、ジャガイモを使用した「じゃがりこ」ブランド発祥のホットスナック。現在はアンテナショップ「カルビープラス」などで取り扱っている。店内で揚げて提供する商品で、外側の「カリッと感」と、ホクホクとした中身が特徴だ。見た目はじゃがりこのような円筒状で、じゃがいもをカットした一般的なフライドポテトとは形状が異なる。
|
|
同社が現在、冷凍食品事業として展開しているのは、こうした業務用やグループ会社のカルビーポテトが手掛けるOEM商品など。現在の売上規模は年間10億円ほどだが、家庭用などへの本格参入によって、近いうちに100億円規模を目指すという。
同社の江原信(まこと)社長は「ただの冷凍食品ではなく、カルビーらしい特徴のある冷凍食品を全国のスーパーに卸したい」と説明。第一歩として家庭用「ポテりこ」の商品化を進めたい考えだ。業務用と家庭用の比率は、現時点では「家庭用がやや多め」を想定している。
●「じゃがポックル」のホットスナックも構想
家庭用冷凍食品のフライドポテトにはすでに食品各社が進出しているが、どのように展開していくのか。江原社長は「カルビーポテトが、OEMベースで北海道産の特徴を生かしたフライドポテトを展開しているが、やや高価格帯ながら選好されている」とコメント。ブランド力や価格帯の違いで差別化することで、勝機はあると見ているようだ。
江原社長は「今はまだ構想段階」としながらも、業務用としてホットスナック仕様の「じゃがポックル」(皮付きのジャガイモをフライした同社のスナック菓子)の開発にも乗り出したい考えも示した。
|
|
●原料の安定供給に危機感
合わせて発表したのが、JAしれとこ斜里との連携だ。JAしれとこ斜里が建設し、カルビーが運営を受託する予定の新たな冷凍加工施設については、2027年度中の操業開始を目指すという。
気候変動が及ぼすジャガイモの収量・品質への影響や、生産者戸数の減少を受けて、同社は国産ジャガイモの調達安定化に向けた施策を進めている。冷涼で寒暖差が大きい斜里町は、北海道内でもとりわけ「ジャガイモ栽培に適した気候」の生産地だといい、同社は現地のJAと連携することで冷凍食品事業の本格化に向け、ジャガイモの調達源を確保したい考えだ。
2024年3月期には37.9万トンのジャガイモを使用したという同社だが、この連携により最大で約4万トンのジャガイモの確保を見込む。JAしれとこ斜里の平田隆雄組合長も「生産者にとっては安定した取引先を確保でき、地域の活性化にもつながる」と期待を寄せた。生産体制を整備して臨むカルビーの新事業は、同社の新たな柱となるか。
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 ITmedia Inc. All rights reserved. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。