限定公開( 77 )
1979年〜1980年に放送されたアニメ『機動戦士ガンダム』から始まり、これまでに数多くの作品が制作されてきた『機動戦士ガンダム』シリーズ。2025年1月17日からは映画「機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning-」が公開されるなど根強い人気を誇っている。「ガンダムは一体どんな作品といえるのか?」ということがSNSで話題となっている。
『機動戦士ガンダム』シリーズは、大きく括ればロボットアニメに分類されるといえるだろう。しかし単なるロボットアニメとして評価するべき作品というわけでもない。ネット上には「ガンダムはロボットアニメじゃない」と主張する声もあるほど。ロボットアニメのイメージといえば、「世界征服などを企む悪い敵」「悪に立ち向かう勇敢な正義の主人公」「悪と戦う唯一の戦力としてのロボット」などが挙がるだろうか。ほかには「かっこいい必殺技」などもあるかもしれない。
実は『機動戦士ガンダム』シリーズは、基本的にそういった要素を持たない作品がほとんど。たしかにモビルスーツと呼ばれるロボットのような機体が登場し、それが大きな特徴で人気の要因であるのは間違いないだろう。しかしモビルスーツは兵器の一つに過ぎず、ガンダム作品の世界観を構成する要素の一部分でしかない。
そもそも『機動戦士ガンダム』シリーズは、明確な悪に対抗して絶対的な正義が立ち向かうという単純な勧善懲悪の物語ではない。ガンダムで主に描かれるのは戦争であり、戦争は「一方が正義で、もう一方が悪」という分かりやすい構造をしていない。お互いが自らの掲げる正義を懸けて戦っているのだ。それゆえそれぞれの勢力やその構成員にはさまざまな思想や信念、戦略などが入り交じることになる。
善悪の二元論で片付けられない戦争というものを描くうえに、『機動戦士ガンダム』シリーズには数多くのキャラクターが登場する。立場の異なる登場人物たちがそれぞれの思惑や感情を持っているため、人間関係はさらに複雑になっていく。そこには敵か味方かだけでなく、親子、友情、師弟、ライバルなど多様な関係性があるだろう。もちろんキャラクターには男性もいれば女性もいる。そうなると、相関図の中に愛情や恋心といった恋愛要素が存在しないのは逆に不自然なのかもしれない。ネット上でも「人間の話をするなら恋愛の話は避けられない」という声があがっている。
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実際、ガンダムの生みの親である富野由悠季は「人間がつくる社会があって、その中に男と女が暮らしていれば、恋愛も不倫もなくて、男と女がいればくっつく……それだけの話なんです」とかつてインタビューで語っていた。
ネット上では「恋愛要素は否定しないけどメインになるのは嫌だな」「見た目硬派で中身は恋愛ばっかりみたいなギャップは困る」といった声もあるが、『機動戦士ガンダム』シリーズを観る際には、「恋愛」要素だけを切り取らずに「人間」の話として物語を楽しむのが良いのかもしれない。
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