<山下智子さんのメイクレッスン>
雑誌や広告、テレビなどで引っ張りだこのヘアメイク山下智子さん。気さくな人柄と確かな技術で、田中みな実さんや宇垣美里さんなど美容賢者が信頼を寄せる、業界をけん引するヘアメイクアップアーティストのひとりです。
山下さんが個人向けに「m.mode(ムード)」というヘアメイクのレッスンを行っていると聞き、取材を決行! 山下さんとお仕事したこともある私、スタイリスト大日方理子が、今っぽいメイクを教えてもらいました。
今回は、眉毛編です。
◆今風は、ある程度太さのある自然なアーチ眉
――今はどんな眉毛がトレンドですか?
山下智子さん(以下、山下):ちょっと前の直線的な太眉ではなくなってきて、今はまたアーチ眉ですね。2000年頃にもアーチ眉が流行していたから、流行が一周したんです。ただ、眉毛が細すぎると老けて見えるので、ある程度の太さのある自然なアーチ眉がいいですね。
山下:今日はスクリューブラシ、ペンシル、パウダーと眉マスカラを使っていきます。
――スクリューブラシもペンシルも使っていなかったです……。
山下:スクリューブラシは100均でも買えるから、ぜひ使ってくださいね。
◆1)ブラシとペンシルで眉を整える
●使ったコスメ:CEZANNE(セザンヌ)「超細芯アイブロウ」ナチュラルブラウン
山下:まずスクリューブラシで眉毛をとかします。眉の流れをきれいに整えて、どちらの眉山が高いのか、左右の太さの違いなどを見てください。
大日方さんは、眉尻をちょっと足して、そのまま骨格通りに描いていけばいいかな。ペンシルで描くときのタッチは軽く、毛流れと同じ動きで描き足しましょう。ちょっと濃くなったなと思ったら、スクリューブラシでなぞれば大丈夫。
最後に眉マスカラでもう一度、毛流れを整えるから、眉尻の下がってくる毛は気にしないで描いてください。CEZANNE(セザンヌ)の超細芯アイブロウは、細くて毛と毛の間に入るから、描きやすいの。足りないところに1本1本描き足すつもりで描いてください。
――え、眉尻にもっと長く描き足してた!
山下:眉尻を長くするとちょっと老けて見えちゃうんですよね。眉頭より眉尻が下がらないようにしましょう。
◆2)パウダーでニュアンスを足していく
●使ったコスメ:Fujiko(フジコ)「足しパレ 05抜け感アイブロウ」
山下:今回はここにパウダーを使ってニュアンスを足していきます。Fujiko(フジコ)の「足しパレ 05」のブラウンとピンクを使います。2色をブラシにとって手の甲でなじませたら、眉全体にベールをかけるようにサッサッサッとのせていきます。眉の真ん中あたりからのせていって、眉頭は濃くならないよう軽くのせましょう。
なんか眉の印象がふんわりしたでしょ?付属のブラシでもいいんだけど、アイシャドウ用ブラシくらいの少し太くて柔らかいものの方が簡単にふわっと描きやすいかも。
――面白い! 眉毛1本1本の印象が薄れてなんだか印象が柔らかくなりました。
山下:でしょ? ここで1回スクリューブラシで眉をとかしておきます。眉頭は立ち上げて、あとは斜め横に流すように整えて。眉尻は下げないようにね。
◆3)最後に眉マスカラを。流行はピンクやベージュ
●使ったコスメ:CEZANNE(セザンヌ)「極細アイブロウマスカラ」
山下:ここで、眉マスカラを塗っていきます。今回はCEZANNE(セザンヌ)の眉マスカラのピンクブラウンを使おうかな。ピンク味が足されて可愛いです。
――眉にピンク?昔は髪の毛の色と眉毛の色を合わせましょうみたいなセオリーがあったと思うけど、今は違うんですか?
山下:今はアイブロウパウダーでも眉マスカラでもニュアンスカラーみたいな淡い色が多く出ていて、必ず髪色に合わせるものではないですね。特に眉マスカラはベージュ系とかピンク系の淡い色が流行りです。
私はだいたい眉毛の色に近いブラウンのペンシルで眉を描き足してから、パウダーとか眉マスカラで柔らかいニュアンスカラーを使うかな。眉マスカラの中には光ってしまうものもあるので、マットなものを選ぶのがおすすめです。
――眉マスカラはティッシュオフしてから塗るんですね?
山下:そう、ダマにならないように眉マスカラもまつ毛のマスカラも、さっとティッシュで拭って量を調整してから塗ります。その方がきれいに塗れるから、やってみてください。
はい、これで眉毛は完成です。
――眉をパウダーで描くと上手く色が乗らない部分があって気になっていたんだけど、ペンシルを使ったらそれが解消されました。眉を長く描きすぎていたし、眉マスカラは付け過ぎていたみたいです。自分で描いた眉毛と違ってすごく自然!
眉毛って長年同じやり方で描いてきて、自分で修正するのは難しいから、こうやって教えてもらうのはすごくいいですね。
◆山下さんが個人向けメイクレッスンをする理由
――ところで、山下さんは撮影の仕事だけでも忙しいはずなのに、なぜ個人向けのレッスンを始めたんですか?
山下:実は20代の頃からヘアメイクを教えていたんです。20代前半は事務所に所属していたから、撮影の仕事の他に、ヘアメイク専門学校の講師の仕事もあって。
――そんなに前から教えていたとは、知らなかった!
山下:フリーになってからも、知り合いに頼まれて少人数制のスクールで講師を担当していました。それが30代前半で終了して、せっかく10年くらい教える仕事をしてきたのに、何にも生かさないのはもったいないと感じたんです。それからカルチャースクールで講座を持ったりした後、2023年にパーソナルレッスンのm.moodをオープンしました。
――メイクレッスンの長い積み重ねがあったんですね。
山下:10年くらい前はプロのヘアメイクで一般向けのレッスンをしている人はあまりいなかったから、モデルさんとか女優さんの仕事だけしていればいいのに、なんでわざわざそんなことしているの? と不思議がられることが多かったんです。
でも、やっぱり教えるのって面白くて。私が思っていたよりも、だいぶ手前のことが気になっていたり、自分が感覚でやっていたことや気付きもしなかったことを聞かれたりする。自分も勉強になるんですよね。あとは、撮影の仕事では知り合えない職業の方や主婦の人も来てくださるから、知らない世界の話を聞くのも楽しいの。
――山下さんにとってm.moodを始めるのは自然な流れだったんですね。
◎山下智子さん
1979年東京生まれ。ヘアメイクアップアーティスト。女性誌、カタログ、広告、テレビなどで幅広く活躍中。田中みな実さん、宇垣美里さんなど女優やモデルからの支持も厚い。約10年前から個人向けのヘアメイクレッスンを続けており、2023年10月にパーソナルレッスンを行う「m.mood(ムード)」をオープン
Instagram:@tomokoyamashita_hairmake
<文・モデル/大日方理子 撮影/林 紘輝(扶桑社)、編集部>
【大日方理子】
(おびなた・りこ)スタイリスト。1979年生まれ、お茶の水女子大学卒。『Ray』などの女性誌やテレビでスタイリストを務める。きれいめからカジュアルまで、今の気分を取り入れたスタイリングが得意。骨格診断アドバイザー。猫背改善で身長149cm→151cmに。中学生の女の子がいる1児の母でもある。公式HP