過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2024年3月18日 記事は取材時の状況) * * *
東京の上野でスナックを営む大谷麻稀です。会社員を辞め、未経験の水商売で独立してから、はや2年。日本の一大飲み屋街で昼も夜も見てきた女が、今夜のお酒がちょっぴり美味しくなるコラムを発信します。
◆1回の出会いを重く捉えてしまっては…
恋愛が上手く行かない理由は人それぞれ。スナックのママという職業上、私も日々恋愛相談を持ちかけられる中で、「多少意識を変えるだけで、上手くいく確率が上がるのにもったいない……」と思う人がいます。
それは、「1回の出会いを重く捉える人」です。悲しきかな、一人を想い続けることがイコール幸せに繋がるわけではないのです。
私の友人に、FXトレーダーの男性がいます。平均年収を優に超える金額を稼ぎ、容姿だって悪くありません。そんな彼が活動内容をSNSで発信していたところ、遠く離れた地に住む女の子からDMが届きます。
「私もトレードを勉強しています。あなたの県に行く用事があるので、お会いできませんか?」
◆「一途」と「執着」を履き違えてはいけない
見知らぬ相手といえども、女性からのお誘いとなればノってしまうのが男性というもの。結局2人は居酒屋でお酒を飲み、何事もなく、解散したそうです。こんな出来事は、比較的誰とでも気軽にお酒を交わす私からすると、ありふれた出来事の1つ。
……ですが、彼の脳みそは、それから3ヶ月以上経った今も彼女に支配されているのです。
「彼女は僕のことをどう思っているんだろう」
→たった一度会っただけの相手、どうも思っていないと思うよ。
「わざわざ新幹線で会いに来てくれたのに」
→他の用事のついでにね。
「僕に興味あったはずなのに」
→トレーダーのあなたに興味があっただけであって、異性としてはなかったと思うよ。
「笑顔で話してくれたのに」
→それすら特別に感じる?
傍から見ると、何気ない言動のように思えますが、盲目になってしまうがゆえにポジティブな方向に変換されてしまっているのです。ただ、こうした「一途」と「執着」を履き違えて自らの首を閉めていくのは、なにも男性だけではありません。
◆「一度しか会ったことない男性を想い続ける」容姿端麗な女性
私の友人に、某大手企業の広報部に勤める容姿端麗な女性がいます。彼女もまた、一度しか会ったことない男性を想い続けているのです。出張で街を訪れた彼にナンパされ、ホテルに行った翌日、彼は飛行機に乗って地元に帰って行きました。それも、恋人と同棲する家へ。
にもかかわらず、たった一度の情事で、恋人のいる男性を好きになってしまった彼女。「彼氏が欲しい」と口にする度に、私は店のお客様を紹介しようとしますが(出会い多きスナックです♥)、「半年後にまた彼が出張に来るから、それまで別の男性と出会うのは申し訳ない」と連絡先の交換すら誰ともしません。
容姿端麗、性格も良い彼女は、男性からの人気は引くてあまたのはずなのに、異性とLINEを交換することすら、不誠実だというのです。……相手は恋人と同棲中なのに!
わかる、わかるんですよ。例に出した2人は、他人事ではありません。私もかつて、若かりし学生時代には、5年間超にわたる片想いを続け、玉砕前提で同じ人に何度告白したことか。思い出すだけで顔から火を吹きそうな恥ずかしい過去です。
しかし、多くの場合、こうした本人なりの「一途」は、客観的に見ると「一方的な執着」となり、滅多にハッピーエンドを生みません。1回の出会いで結果にコミットさせようとガツガツした態度とか、反対に、じめっと重く面倒そうな雰囲気は、相手に伝わるものです。
◆“一途”は時として傲慢で独りよがりに
だいたい、自分が好意を抱いた相手が、相手も自分を好きになってくれるものだと考えるのは、傲慢にすら思えます。一途といえば聞こえは良いですが、独りよがりです。
世の中には魅力的な人はたくさんいます。一人に執着することなく、周りの誰かの良いところに目を向け、たまたま双方に好意的に思えた人と関係が始まるのが恋愛なのではないでしょうか。
1つの出会いに執着することなく、出会う人に「好意のたね」を仕込ませ、芽吹かせて上手に育てることができる人が、いち早く恋愛の次のステップに行けると思いますよ。
<TEXT/大谷麻稀>
【大谷麻稀(まきぱん)】
上野にてスナックを経営する28歳。大好きなお酒にコミットするべく鉄道会社を退職し、ほぼ未経験の世界へ転身。TOEIC910取得。趣味は海外一人旅。