有料老人ホームの運営会社が業者に支払う紹介料の高騰を巡っては、厚生労働省が是正に向けた取り組みを始めた。ただ、是正の対象は施設のみ。業者は所管省庁や規制する法律がなく、自主規制頼みとなっている。
紹介業者について、有料老人ホームや介護付きホームなどの業界団体から構成される「高齢者住まい事業者団体連合会(高住連)」は、名称や代表者、契約ホーム数などを高住連に届け出た業者を一覧にして公表する制度を導入。厚労省は公表された業者を利用することを推奨している。紹介料高騰を受け、同省は昨年11月、制度の行動指針を見直すよう高住連に通知した。
同省は同12月、自治体が有料老人ホームを指導する際の指針も改正。入居希望者の介護度や医療の必要度に応じて手数料を設定するなど「社会保障費の不適切な費消を助長するとの誤解を与えるような手数料の設定を行わない、応じない」と明記した。
ただ、指針は厚労省が所管する施設側が対象で、紹介業者は含まれていない。同省担当者は「高住連が自主規制ルールを定めて健全に運営することで整理がなされている」と説明するが、今回手数料の二重取り疑惑が明らかになった業者も、高住連が公表した業者の一覧に入っていた。
関西圏で施設を運営する企業の関係者は「『手数料100万円』などと大々的なチラシを作って紹介業者に売り込む施設側も悪いが、業者もこの水準に合わせないと紹介しないと言ってくる」と頭を悩ませる。「紹介料が正常な金額に落ち着けば、その分を入居者サービスや従業員のために費やすことができるのに」と話した。