女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「人間関係」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2024年1月18日 記事は取材時の状況)
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旅行やお出かけなどで誰かの車に乗せてもらったとき、ガソリン代やお礼はどうしていますか?
それはときに、トラブルの火種になることもあるのです。
◆恐怖の一言「ついでに乗せていって」
「『最初はガソリン代くらい別にいいかな』『ついでだし』と思っていたんです。でもそのうち、友人に『車出してよ』って言われるたびに、胃が締め付けられるような嫌な気分になっていったんです」
そう語るのは、埼玉県在住の渋谷夕子さん(仮名・32歳)。車がないと不便な地域に住んでいるため、「家族でひとり一台は常識」です。
「幼稚園に通う子どもの習い事の送り迎えでも、車は必須。そんな地域に、ある日都内から転園してきたご家族がいたんです。ママは免許を持っていないらしくて、ご近所だったので最初は親切心で一緒に買い出しに行ったり、子どもたちを連れて遊びに出かけたりしていました」
しかしいつの間にか、乗せることが“当たり前”になっていたそう。
「気が付いたら毎日のように、『買い物行くとき、ついでに乗せていって』とLINEがくるようになり、ついには『今日はどこか出かけないの?』とお出かけの催促までされるようになりました。
せこいかもしれませんが、ガソリン代も毎回かかるし、ママ友からはお礼はなにもなし。いつも軽く『ほんとたすかる〜』と言われるだけでした」
◆ガソリン代も払わず、お礼もしない友人にモヤモヤ
一度や二度ならまだしも、毎日車に乗せるとなると、たしかに相当なストレスになりそうです。
「思い切って、ガソリン代を少し負担してもらえないか言おうと思ったんです。でも、直接『○円ちょうだい』って言うのはなんか違うような気がして。
私としてはきっちり乗った分だけ払ってほしいというより、お礼の気持ちがほしかっただけというか……」
ときどきお茶をごちそうしたり、「いつもお世話になっているから」と些細な差し入れをするとか。それでも催促するのは心苦しくなったとか。
「だから、最初はなんとなくガソリン代や手間のことをにおわせてみたんですよ。
ママ友が乗っているときに、一緒にガソリンスタンドに寄って給油してみたり。でもまったく我関せずで。『ガソリン代めっちゃ上がったね〜』と話をふっても、『そうなんだ〜』で、終わり。
『このままだと家計が厳しくて、最悪、車処分するかも(笑)』と言ったら、『え〜それはうちも困るう〜(笑)』で終わり。もうまったく響かなくて、こちらが心身ともに疲れ果てました」
◆ガソリン代を請求したら“予想外の一言”が
どんな風に声をかけても、まったく相手には響かず……。そしてついに、直接お金の話を切り出すことに。
「思い切って、『うちも経済的に厳しいから、乗った分だけ負担してくれたら嬉しい』と伝えてみました。そしたら、『どうやって計算すればいいの?』と一言。それを聞いて、モヤモヤが募ったというか……。
本当はお金が欲しいというわけじゃなくて、ただ、相手に合わせて時間を調整したり、送り迎えする手間や苦労も考えてほしい。そのこともやんわりと伝えたのですが、彼女から帰ってきた言葉は、『そのときに言ってくれなきゃわからないよ』と。結局うやむやにされてお礼はなし。
なんだか、ひとりで思い悩んでいたのがバカみたいに思えました」
◆「言ってくれなきゃ分からない」は車関係でよくあるトラブル
この、「言ってくれなきゃわからない」という一言は、ガソリン代や車問題のトラブルのお話の中で、とてもよく出てくるフレーズです。
今回の渋谷さんのケース以外でも、こんな声が上がっていました。
「車に乗せたお礼がまったくない友人に、もうガマンできなくなって、『車もタダじゃ動かない』と言ったときのこと。『そのときに言ってくれればよかったのに』と軽く言われて、こちらがセコいような雰囲気になった」(34歳・女性)
「友人の希望で、高速を使って遠方のショッピングモールに行ったとき。その後いつまで経っても、車のガソリン代や高速代の割り勘の話がなかった。連絡してみると、『なんでそのとき言ってくれないの〜』と、まるでこちらが悪いような感じだった。車に乗らない人は、車の移動にかかる経費に対して本当に無頓着だと思う」(26歳・男性)
◆「言ってくれればいいのに」がずるい理由
冒頭の渋谷さんいわく、この「言ってくれれば○○するのに」という言葉は、反省していない上に、自然と責任逃れをしているずるい言葉だとか。
「この言葉の裏にある意味は、『あなたが言ってくれないのが悪いんでしょ』という、“悪いのはあくまでも相手”なんです。
『あなたが○○してくれたら、こんな結果にならなかった』『こうなったのはあなたが悪い』と、どこまでも自分が悪いという気持ちがない。人のことは責めるけど、絶対に自分は責めませんからね」
たしかに、言われた側は、「たしかに、ちょっとは私にも落ち度があったのでは……」と一瞬考えてしまいそうですが、それはこんな“ずるい言葉”に丸め込まれているだけなのですね。
◆未だに「タカリ乗車」を繰り返しているママ友
最後に渋谷さんはこう呟きます。
「運転手側は、どうしても自分からお金や見返りを請求しづらいです。もちろん、見返りを期待せずに運転してくれる人もいるし、言葉では『全然気にしなくていいのに〜』という人もいるはず。
でも、それは本音と建て前。やってもらうことが当たり前になったり、慣れてしまった瞬間、亀裂が入るのかもしれません。
無償の愛を注げるのは、家族だけ。デリカシーのない無賃乗車ママ友とは、結局ゆっくりと連絡の返事のペースを遅らせていって、疎遠になりました。
本人はまだ免許を『めんどくさい』という理由で取っていないらしく、いろんなママ友に『ついでに乗せて』と“タカリ乗車”をしては、避けられているみたいです」
仏の顔も三度まで。どんなに親しい仲でも、相手の立場に立つことや、思いやりの気持ちを忘れないでいたいですね。
<取材・文/赤山ひかる イラスト/ズズズ@zzz_illust>
【赤山ひかる】
奇想天外な体験談、業界の裏話や、社会問題などを取材する女性ライター。週刊誌やWebサイトに寄稿している。元芸能・張り込み班。これまでの累計取材人数は1万人を超える。無類の猫好き。