Q. 「キスで歯周病がうつる」って本当ですか?
Q. 「小さい頃から虫歯もなく、歯の丈夫さには自信があります。最近『キスで歯周病がうつる』と聞いて不安になりました。実際に、キスが原因で歯周病になってしまうことはあるのでしょうか? 予防法はありますか?」A. 本当です。しかしキスをしなくても、完璧な感染予防は難しいです
歯周病の有病率は、20代で約7割、30〜50代は約8割、60代では約9割にも及びます。生まれたての赤ちゃんの口内には歯周病菌が存在しないため、もし一生その状態が保てれば、歯周病のリスクは全くありません。しかし、歯周病菌に感染し、口内で細菌が増殖していくと、将来的に歯周病リスクは高くなっていきます。年齢と共に歯周病の患者さんが増えるのはそのためです。
「キスによる感染リスク」についてのご質問ですが、ある研究によると、10秒のキスで移動する細菌の数は「8000万個」と報告されています。もちろん全てが歯周病菌や虫歯菌などの悪い菌ではありません。
しかし日々スキンシップをするパートナーがいて、相手の口内環境に問題がある場合、そうでない人よりも歯周病の感染リスクは高いと考えた方がよいでしょう。
では、キスを全くしなければ歯周病は避けられるのでしょうか? 現実的には、そうではありません。人との会話や食事の場があり、ごく普通の日常生活を送っていれば、菌の感染を完全に予防することはほぼ不可能です。「歯周病菌に感染しない生活」を送ることは、現実的ではありません。
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歯周病を予防したいなら、日々の歯磨きによるプラークコントロールの徹底と、定期的な歯科医院での歯石除去が大切です。過度に感染を恐れるのではなく、上手に健康な口内環境を保つようにしましょう。
丸山 和弘プロフィール
1995年より臨床一筋の現役歯科医師。歯科大学卒業後、仙台市東邦歯科診療所を経て地域密着型の歯科医師に。小さな子どもの虫歯予防から歯のホワイトニング、お年寄りの入れ歯の相談まで、数多くの症例と日々向き合いながら、虫歯、親知らず、口内炎、歯周病など、歯の健康を守るための情報を数多く発信している。(文:丸山 和弘(歯科医))