中居さんと女性とのトラブルに、フジテレビの社員がかかわっていたなどと報じられた問題で、27日午後4時からフジテレビが会見を行いました。危機管理コンサルタントが注目したポイントは何だったのでしょうか。(27日午後6時過ぎの放送より)
フジテレビの会見 注目ポイントと概要良原安美キャスター:
危機管理コンサルタントの久我誠さんに、フジテレビの会見の注目ポイントを挙げてもらいました。
▼第三者委員会の調査前にどこまで丁寧に説明できるか
▼問われる経営責任
こちらの2点となっています。まずは会見で説明されたことです。
【フジテレビが把握している概要】
一部報道で社員Aがこのトラブルに関わっていると報じられた。
→フジテレビは社員Aが問題の食事会そのものに関与はしていないと判断。なお、女性への聞き取りはできていない。
【なぜ中居氏に調査しなかったのか】
多くの人が知ると、女性のケアに悪影響となり、また中居氏から女性に連絡が行くことがあれば、さらに傷つけてしまうのではないか。
→状況が安定するまで待とうという考えに。
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【コンプライアンス推進室と情報共有しなかったことについて】
港社長
「今思うと、コンプライアンス推進室などと、もう少し女性のお手伝いをしてあげればよかったのかなと思うが、彼女の意思を最優先に進めてきた。結果、コンプライアンスには伝えずに至った。
井上貴博キャスター:
今回の会見の中で「プライバシーを保護するために」という言葉が何度も使われました。しかし情報共有がなされていないという、企業としてのガバナンスの基本がなっていなかったことが明らかになりました。
今後、企業として具体的にどこをどう変えていくとガバナンスを再生できるのでしょうか。
危機管理コンサルタント 久我誠さん:
今回の問題は、基本的に“プライバシーの問題”と、“公益性の問題”の実態を解明しないと再発防止に生きてきません。
その実態解明の責任を全く放棄してしまって、女性のプライバシーを守ろうとすることだけに意識が行き過ぎている。現時点に至るまで明らかになっていないことが多すぎる。だからこそ、今回の会見でもあまり説明がない。そこが一番の問題だと思います。
ホラン千秋キャスター:
危機管理の観点から言うと、どこが一番まずかった点になるのでしょうか。
久我誠さん:
基本的にコンプラ部門が今回の事態で動いていないところですね。
港社長が自身の辞任の理由に挙げた「人権侵害の恐れがあったことに気付かなかった」ということ。人権侵害の恐れがあったかもしれないという意識は、このようなことが起これば当然、第一に考えなければいけない。そこにコンプライアンスが機能し始めなければいけません。しかし、それが全くなされてなかったことが今回の会見で明らかになったと思います。
井上キャスター:
それは人を変えるだけで変えられるものなのでしょうか。
久我誠さん:
変われないです。風土を変えるには人を変えるだけではなく、今回の事象から一体どういう課題があるのかということを自身で解明していくことがとても大事になります。
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良原キャスター:
経営陣の進退についても問われていますが、会見に先立ち辞任が発表されました。
【辞任】
フジテレビ:嘉納修治会長、港浩一社長
トラブルを発生直後に把握も、中居氏を番組に起用するなど、対応への責任をとる。
【社長に就任】(28日付け)
現フジ・メディア・ホールディングス:清水賢治 専務
さらに、抜本的な経営体制の見直しを検討するとしています。
そして、会見に出席するかどうか注目が集まったフジサンケイグループの日枝久代表(87)。フジサンケイグループは78社、4法人、3美術館からなる従業員約1万3000人の日本最大級のメディアグループです。
フジテレビの労働組合の意見書では、▼日枝久取締役相談役を含む取締役全員の会見出席、▼会見の場で取締役刷新の意向表明を要求してきました。
フジサンケイグループ 日枝久 代表
1961年:フジテレビに入社
1988年:50歳で社長就任
現在:フジ・メディア・ホールディングス取締役相談役、フジテレビの取締役相談役
ホランキャスター:
「今回の会見はフジテレビの問題なので日枝はここには同席しません」という説明がありましたが、親会社ということを考えて日枝氏は会見に出席するべきなのか、こういった事例では問題のあった会社の経営陣だけでいいものなのか、どうお考えですか。
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久我誠さん:
事実を説明するためだけであれば、日枝氏の出席は必要ありません。しかし、今回の会見でも「フジテレビの企業風土を作った礎となっているのは日枝氏である」と登壇者が繰り返し述べているように、この風土を作った礎であるならば、やはり自身の認識を示さないといけないと思います。
フジテレビホールディングス全体としての認識を示す立場ということであれば、最も適任なのは日枝氏であると思われます。
井上キャスター:
諸悪の根源ではないが、「日枝氏をやめさせろ」という声が上がっている。しかし、日枝氏が辞めたからといって、風土が変わるわけでもないと思います。40年以上役員を務め象徴的な存在、間違いなく風土を作り上げた人間であることに間違いない日枝氏が出て説明しないと。代表権があるから出てこない、というロジックはもう通用しなくなっている気がします。
久我誠さん:
社会が求めているのは、フジテレビがこれだけ多くのスポンサー離れを引き起こしている事態を引き起こした責任そのものよりも、この風土とは一体何なのか、これからフジテレビホールディングとしてどう変わっていくのか、ということの説明を求めているので、その最適任者は日枝氏であるということは間違いないと思います。
井上キャスター:
例えば、取締役を内部の人間だけではなくて、外部から選任するという考え方はどうでしょうか。
久我誠さん:
それはあり得ますね。外部の取締役というのは必要だと思います。
ホランキャスター:
「暫定的な組織である」という話もあったので、ここから第三者委員会などの結果などを踏まえ、新体制をしっかりと構築していくということでしょうか。
久我誠さん:
一つの目途は、3月末の第三者委員会の調査結果が出る時点で、どれだけ具体的な再発防止策を打ち出せるかというところが焦点になってくると思います。
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<プロフィール>
久我誠 さん
エイレックス危機管理コンサルタント
顧客企業に様々な広報対応のアドバイスを行う