【ワシントン時事】トランプ米大統領が財務長官に指名した投資ファンド経営者のスコット・ベッセント氏(62)が27日の上院本会議で、賛成多数で承認された。トランプ氏の看板政策である大規模減税の実現を目指す一方、膨張する債務の抑制も急務で、早速手腕を問われそうだ。
トランプ氏が第1次政権で実現した大型減税は2025年末に失効する。同氏はこの日、南部フロリダ州での演説で「減税の恒久的な延長だけでなく、チップ収入や社会保障給付金、残業手当の非課税化といった選挙公約を守る」と訴えた。
しかし、問題は財源だ。財政赤字の国内総生産(GDP)比率はコロナ禍前を大きく上回る。議会予算局(CBO)によると、債務水準も29年度には第2次世界大戦直後を超え、過去最悪となる見通し。「赤字で賄われる減税は金利上昇を招き、逆効果になりかねない」(元米高官)との懸念が根強い。
こうした中、財源の一つとして輸入品への一律関税が浮上している。英紙フィナンシャル・タイムズによると、ベッセント氏は、まずはすべての輸入品に2.5%の関税を課し、徐々に上げていく案を検討。企業が対応したり、他国と交渉したりする時間を確保するため、関税率を毎月引き上げ、最終的には20%にするという。
ただ、関税引き上げは貿易相手の報復を招く恐れがある。ゼーリック元世界銀行総裁は米紙への寄稿で「ベッセント氏は、関税の脅しを貿易交渉に使うかを決める必要がある」と主張。「高関税はドル高と報復を呼び、コストを増やし、成長を鈍化させ、市場の動揺をもたらす」と警告した。