追加緩和、副作用顧みず=物価目標達成に躍起―日銀14年下期議事録

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2025年01月30日 09:01  時事通信社

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記者会見で追加の金融緩和について説明する日銀の黒田東彦総裁(当時)=2014年10月31日、東京都中央区の日銀本店
 日銀が29日公表した2014年下半期(7〜12月)の金融政策決定会合議事録では、黒田東彦総裁ら執行部が「2年程度で2%」の物価上昇目標の達成に躍起となり、「副作用」のリスクを十分顧みることなく、10月末の追加金融緩和に突き進む様子を浮き彫りにした。

 黒田総裁の下で13年4月に導入した「量的・質的金融緩和(異次元緩和)」は、国債を「爆買い」し、あらゆる手段で緩和を進める姿勢を示すことで、家計や企業の物価上昇期待を高めるのが狙いだった。導入後、マイナスだった物価はプラスに転じ、目標の早期実現に楽観論も広がった。

 しかし、翌年4月の消費税増税で暗転。駆け込み需要の反動減が想定を上回り、全国消費者物価指数(生鮮食品・消費税増税の影響を除く)も伸び悩んだ。中曽宏副総裁は10月7日の会合で「一時的に1%を割る場面もあるかもしれない」との見方を示した。

 物価目標実現が危ぶまれる事態を受け、日銀は同月31日の会合で、マネタリーベース(資金供給量)を80兆円(従来60兆〜70兆円)へ拡大する追加緩和策を決めた。黒田総裁は「デフレマインドの転換が遅延するリスクがある」と必要性を強調。岩田規久男副総裁は「物価目標に対するコミットメント(約束)が疑われると量的・質的緩和の効果が大きくそがれる」と主張した。

 一方、債券市場の機能低下など「副作用」への懸念も強く、森本宜久審議委員は、「市場機能が大きく阻害される恐れや、(中央銀行が政府の借金を支える)財政ファイナンスとの見方をされる懸念も大きくなる」と批判。追加緩和は賛否が5対4と割れる薄氷の採決となった。

 ただ、その後も物価は低迷し、日銀はマイナス金利政策や長短金利操作など異例の緩和策導入を迫られた。異次元緩和は24年3月にようやく終止符が打たれたが、日銀が国債発行残高の5割超に当たる569兆円(同年9月末時点)を保有するなど、「負の遺産」は今も残る。日銀は12月に公表した金融政策の「多角的レビュー」で、11年続いた異次元緩和を「当初想定していたほどの効果は発揮しなかった」と総括した。 

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  • 「日銀が29日公表した2014年下半期(7〜12月)の金融政策決定会合議事録では、黒田東彦総裁ら執行部が」←なんでこのタイミングで? 個人的に黒田は正しかったと思料するが。
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