ルネッサンス期の王侯貴族に愛された気品ある洋犬種である「イタリアン・グレイハウンド」(以下、イタグレ)。珍しい犬種ですが、2024年3月、ブリーダーから放棄され行き場を失ったメスのイタグレがいました。
名前は「うららちゃん」。保護当初のうららちゃんは犬雑誌などのビジュアルで見るようなイタグレ特有の優雅な雰囲気はなく疲弊しきった様子。ジッと人間を見つめるだけでした。
本来は「人間大好き」でちょっとお転婆
行き場を失ったうららちゃんを保護したのは、保護団体・スリール〜犬達の幸せ探し〜。団体でもイタグレの保護犬のお世話をするのは初めてのようで、当初は手探り状態でした。
団体の預かりボランティアさんの家に来てからのうららちゃんは、程なくして元気を取り戻し、すぐに本来の性格を見せてくれるようになりました。人間が大好きで甘えん坊の一方、ちょっとお転婆。遊ぶことが大好きで、預かりボランティアさんの家の中を元気いっぱい駆け回り、次々とオモチャを探しに行くような積極的な性格の持ち主でもありました。
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ワンプロではやりすぎない賢さも持ち合わせていた
うららちゃんは人間だけでなく他のワンコも大好き。ときに他のワンコとうれしそうにワンプロすることもありますが、それでいて過剰にやりすぎない賢さも持ち合わせていました。団体では第二の犬生に期待をかけ、程なくして里親募集をスタートさせました。
「好き好きアピール」強めのかわいいストーカー犬
うららちゃんは毎日ドッグランで元気いっぱいに遊び、家に戻れば預かりボランティアさんの後を追いかけてくるようなストーカー状態に。
リビングだけでなくキッチン、トイレ、ベランダと、どこへでもついてくるうららちゃんに「もう…またこんなところまで着いてきちゃったの?(笑)」と笑う預かりボランティアさんですが、そんな声自体もうららちゃんにとってはうれしいようで、その度に笑顔を浮かべるかわいいワンコでもありました。
里親さんが用意した「WELCOME URARA」のデコレーションケーキ
「こんなに『好き好きアピール』をするうららちゃんなら、新しい家族もすぐに見つかるはず」と思われましたが、実際はなかなか良縁には結ばれず、気づけば保護から4カ月が経過していました。
この前後から譲渡会にも積極的に参加し始めると、「好き好きアピール」ぶりに一目惚れした人が現れ、ついに「うちにおいで」と声がかかりました。
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この里親希望者さんの家での、トライアル実施当初もうららちゃんは全く物おじすることなく、すぐにまた「好き好きアピール」の応酬。その対象は里親希望者さんだけでなく、この家にいる先住犬や先住猫にも向けられ、すっかり家に馴染んで後には正式譲渡となりました。
里親希望者さんは正式に迎え入れるにあたり、うららちゃんのための毛布などやオモチャなどを用意してくれたほか、なんと「WELCOME URARA」とあしらったデコレーションケーキまで用意してくれました。
こんなに優しい家なら、「好き好きアピール」強めのストーカー犬(笑)、うららちゃんも大満足の犬生をおくれることでしょう。うららちゃん、いつまでも元気いっぱいで幸せに過ごしてね!
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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