太陽光発電をサイバー攻撃から守る オルテナジーがモバイル専用網を活用した実証実験

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2025年01月30日 15:40  OVO [オーヴォ]

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実証現場の様子



 気候変動が世界的な課題となり、国内でも脱炭素社会に向けた再生可能エネルギーの普及が進んでいる。一方で、太陽光発電や蓄電所を含むエネルギーインフラがサイバー攻撃の新たな標的となっている。具体的には、不正アクセスやデータ改ざんだけでなく、バックドア(不正侵入用の隠し経路)を通じてシステムを乗っ取り、不正送金や設備の遠隔操作が行われるリスクが指摘されているという。




 そのような中、再生可能エネルギーサービス事業の「オルテナジー」 (東京)と、分散型エネルギーをつなげてカーボンニュートラルの世界を目指す電気通信事業の「EX4Energy」(東京)が共同で、モバイル専用網を活用したサイバー攻撃抑制実証実験を2024年11月〜2025年1月にかけて行った。太陽光発電や蓄電所を含む再生可能エネルギー施設の安全性を向上させ、安定したエネルギー供給を実現する新たなサービスの構築を目指している。




 オルテナジーによると、太陽光発電を標的にしたサイバー攻撃については、2024年には太陽光発電施設の遠隔監視機器(計約800台)が攻撃を受け、インターネットバンキングによる預金の不正送金に悪用された事例が生じている。経済産業省 資源エネルギー庁も、「エネルギー・リソース・アグリゲーション・ビジネスに関するサイバーセキュリティガイドライン」を改定するなどセキュリティー対策の強化を推進している。




 オルテナジーとEX4Energyは、モバイル専用網を利用したPV(太陽光発電)監視システム「ソーラーグリッド PPH(Public Power Hub)」を開発。携帯通信を使った専用ネットワークで外部からのアクセスを遮断し、特定の組織内だけで安全にデータをやり取りできる通信環境を構築した。リアルタイムで通信を監視し、不正アクセスを早期発見する異常検知システムも搭載している。一般的なSIM(加入者識別のためのICカード)と同等のコストで強固なセキュリティー対策を実現する。




 これまで自社サイトで運用実験を重ねてきたが、セキュリティーレベルのさらなる向上を図るため、中部電力グループのエネルギー販売会社「シーエナジー」(名古屋市)の長野県内のオンサイトPPAで実証実験を実施した。結果、モバイル専用網を活用した安全な通信環境の構築、実際の運用環境での動作性などが確認できたという。オルテナジーでは今後、この早期発見する異常検知システムの早期商品・サービス化に向けた開発を加速させていくとしている。




セキュリティ対策の仕組みと「ソーラーグリッドPPH」のUIイメージ



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