タイに移住、ギャル男から経営者へ。36歳男性が明かす“バンコクで働くこと”のリアル「ギリギリの生活をして本当に幸せなのか」

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2025年01月30日 16:01  日刊SPA!

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TJこと田島勇祐さん(36歳)
長引く不況や将来への不安から、海外で新たな挑戦を決意する日本人も少なくない。
タイの観光地やグルメ、アクティビティ、ナイトライフなどを発信するYouTubeチャンネル「TJ Channel Thailand」の運営者であるTJこと田島勇祐さん(36歳)もその一人だ。

現在はタイ法人「TNJC CO.,LTD」の代表として広告代理店業務やSNSマーケティングに携わりながら、バンコクのコヨーテクラブ(※コヨーテ嬢と呼ばれるタイのダンサーが行うショーや生演奏バンドがあるクラブ)の経営にも関与し、夜のビジネスにも進出している。

TJさんは多忙な日々を送っているが、タイ移住の経緯や生活のリアルについて話を聞いた。

◆タイ・バンコクで親族に“夜の店”まで連れて行かれて衝撃(笑)

日本人の父とタイ人の母のもと、埼玉県で生まれ育ったTJさん。タイに住んでいた時期もあるが、日本に戻ってからは「ハーフ」としてのアイデンティティに悩み、いじめを受けたこともあったという。

「その影響で、自分のルーツであるタイに対して複雑な感情を抱いていました。高校卒業後は専門学校に進学しましたが、すぐに中退。あの頃、ギャル・ギャル男ブームに夢中で、どうせやるなら有名なイベントサークルに入ろうと思ったんです」

18歳から20歳までイベントサークルの代表として活動した後、埼玉県のキャバクラで黒服として働いたTJさん。そして、22歳の時に十数年ぶりに母親と訪れたタイでの体験が人生を大きく変えることになった。

「タイに到着した初日に叔父にバンコクの夜の店に連れて行かれて衝撃を受けたんです(笑)。でも同時に、温かく迎えてくれた親族に対して、タイ語を話せない自分が申し訳ないとも感じました。それをきっかけに『タイ語を話せるようになってタイで働いてみたい!』という思いが芽生えたんです」

◆“タイの東大”に語学留学しながらYouTuberに

帰国後、夜の仕事と旅行代理店を掛け持ちしながら貯金をして、27歳で“タイの東大”とも呼ばれる名門校・チュラーロンコーン大学に語学留学。そこでタイ語を学び、タイでの将来に向けた基盤を築き始めた。

「最初は3ヶ月でタイ語をマスターしようと思ったんですが、そんなに甘くなく、結局は1年間通いました。その間、何か面白いことをしたくてYouTubeチャンネルを開設したんです。当時、流行っていた『ポケモンGO』をプレイする動画を投稿していましたが、登録者数が伸びず、2ヶ月くらいでYouTube活動を休止しました。

でも、視聴者から『応援しています』『次の動画を楽しみにしています』というメッセージをいただいて、こんなに応援してくれる人がいるならやめるわけにはいかないと思いましたね」

その後、本格的にYouTubeに取り組んだTJさん。視聴者のニーズを徹底分析したと話す。そこで、タイの情報や当時はまだライバルが少なかった「夜系コンテンツ」を取り入れたことで注目を集め、チャンネルは徐々に登録者数を伸ばしていった。

◆タイでのビジネスは楽じゃない…

しかし、コロナ禍によってYouTubeの収益は一時1/4にまで減少し、動画撮影も困難な状況となってしまった。そこで、将来を見据えて新たな挑戦を決意し、立ち上げたのが広告代理店「TNJC CO.,LTD」だ。

「当初は小規模な運営でしたが、2023年から本格的にスタッフを増員し、現在はSNSマーケティングやコンサルティング、インフルエンサーのキャスティングなどの事業を展開しています。しかし、請求書やインボイスを細かくチェックせず、現場に任せきりにしていた結果、当時のマネージャーの不正が発生したんです。その経験からスタッフ管理の方法を大きく見直し、日々の報告や連絡を徹底するようになりました。タイ人スタッフの管理には苦労も多いです」

さらに、昨年12月にはシーナカリンエリアのコヨーテクラブ(コヨーテ嬢と呼ばれるタイのダンサーが行うショーや生演奏バンドがあるクラブ)『The Secret』の出資者となった。お酒を飲むことが好きで、交流の場となる飲食店を開きたいという思いがあったからだと語る。

「最初はスクンビットエリアで開業を考えたんですが、競合が多く、家賃が高いし、店舗も狭い。シーナカリンは外国人経営者や駐在員が多く、タイ人の所得が上がってきているため、ローカル(地元民)や中国人観光客をターゲットにした方が生き残れると判断したんです。ただし、店舗のオープンは簡単ではなく、ライセンス取得に時間がかかって大変でした」

◆バンコクの物価は大きく上昇、低賃金でギリギリの生活をして本当に幸せか?

バンコクに住んで今年9年目となるTJさん。初めてタイに来た頃に比べると、タイの物価は大きく上がっているという。

「交通費や食費は10年前の1.5倍〜2倍になっています。日本食レストランも10年前に比べてすごく増えていますし、味のレベルも値段も上がっています。特に日本式の焼肉店は安いところでも1,500〜2,000バーツ(約7000円〜9000円)はするので、気軽に行けるような感じではありません。日本人との交流を増やしたいと思っても、そういった場所に参加できないと難しいのが現実です。やっぱり、ある程度経済的な余裕がないと、日本人同士のつながりを作るのも難しいと感じます」

「日本人の最低賃金は5万バーツ(約22万円)」とされているが、学歴や手に職がない場合、あるいはタイ語が話せない場合は、仕事を見つけるのはかなり難しいようだ。

「現地採用の需要も年々減っていて、企業側も日本人よりも外国語を話せるタイ人を雇う方がコスパがいいと考えています。

収入が少ないなかで毎日、屋台で食べるなど、ローカルの生活に馴染む覚悟は必要かもしれません。ただ、そもそもタイ、特にバンコクでギリギリの生活をして本当に幸せなのかどうかは改めて考える必要があるのではないかと。もちろん、良い仕事に就きたいなら、やっぱりバンコクはチャンスが多いですよ」

また、これからタイでの仕事を考えている日本人に向けてメッセージも聞いてみた。

「自分がどこまで通用するのか試してみるつもりで、タイで1〜2年ぐらい生活してみるのがいいと思います。ただ、しっかりと下調べをしないと、同じ日本人に騙されたり、トラブルに巻き込まれたりするリスクもありますので、そこは注意が必要です」

【TJ】
埼玉県出身、36歳。登録者数32万人以上のYouTubeチャンネル「TJ Channel Thailand」を運営。タイの観光地、グルメ、アクティビティ、ナイトライフなど、タイに関連する様々な情報を発信する。バンコク在住でタイ法人TNJC CO.,LTD.代表を務める傍ら、コヨーテクラブの経営にも関わる。

<取材・文・撮影/カワノアユミ>

【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano

このニュースに関するつぶやき

  • 昔は日本より物価の安いタイに移住する事に憧れてたわ。でも記事にあるようにタイの物価もかなり上がってしまって諦めたわ(>_<)
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