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文部科学省の外郭団体「日本私立学校振興・共済事業団」は30日、2024年度の東京女子医科大(東京都新宿区)への私学助成金を全額不交付にすると決めた。女子医大では新校舎建設工事を巡る資金流出事件で元理事長の岩本絹子容疑者が逮捕されるなどガバナンス(組織統治)が機能していないうえ、入試で不適切な事案があったと判断した。
私学助成金は、文科省が事業団を通じて私立大の運営費を補助する制度。教員・学生数などに応じて額が決まる「一般補助」と教育研究に関する特色ある取り組みに応じて配分する「特別補助」がある。
一度全額不交付になると、翌年度も原則不交付となり、運営が改善されれば、減額幅が75%、50%、25%と毎年度縮小されて満額に戻る仕組みとなっている。女子医大は23年度、満額で約20億円を受け取っていた。事業団は24年10月、女子医大の24年度の交付を保留していた。
女子医大を巡っては、大学設置の第三者委員会が24年8月、大学と同窓会組織「至誠会」が卒業生の親族向け推薦入試で受験生親族から寄付金を収受したと認定する報告書を公表。入試に関連した寄付金収受を禁じる文科省通知に反する可能性があり、文科省は責任の所在の明確化や改善計画の策定を検討するよう口頭で行政指導した。女子医大の理事会は岩本容疑者の理事長職を解任し、12月に再発防止策をまとめた改善計画書を文科省に提出した。
警視庁は25年1月13日、新校舎2棟の建設を巡り、実態のないアドバイザー業務の対価として建築士に報酬を支払うなどし、大学に計約1億1700万円の損害を与えたとして、岩本容疑者を背任容疑で逮捕した。
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一方、アメリカンフットボール部の薬物事件などで3年連続で全額不交付となっていた日本大は、24年に重量挙げ部などで部員から入学金や授業料を不正に徴収していた問題が発覚し、24年度も全額不交付となった。また、19年に多数の留学生が所在不明となった東京福祉大は6年連続の全額不交付が決まった。【井川加菜美】
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