大阪の街そのものと、大阪で生活している人たちの息遣いが聞こえてきそうな新しいコンセプトの下に制作された「とことこおおさか」は、大阪らしい名所や名物を紹介する絵本だ。ガイドブックとは一線を画し、親子で楽しめる内容になっている。
【写真】あべのハルカスに通天閣…天王寺エリアのイラストはこんな感じ
制作・出版したのは、子育て支援の事業を展開する「一般社団法人 codomotoままちっち」(以下、ままちっち)。代表理事の林静香さんに、出版にまつわる話を伺った。
発案のきっかけはアメリカを旅行中に友人から贈られた1冊の絵本
ハードカバーの表紙に「とことこおおさか」のタイトルと、あべのハルカス、通天閣、太陽の塔、海遊館、中央公会堂、阪堺電車など大阪を象徴する観光スポットや交通機関のほか、“飴ちゃん”をあげるご婦人の姿も描かれていて、さながら大阪の名所を網羅するガイドブックのよう。だが、内容は子供向けの絵本だ。
林さんは2012年、お子さんを連れてアメリカを旅行したとき、ニューハンプシャー州で友人から1冊の絵本をプレゼントされた。
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「ニューハンプシャーのいろいろな場所を紹介している絵本で、他にもニューヨークやテネシーなどアメリカ各地の都市のほか、ロンドン、香港といった海外の都市がシリーズ化されていたんです。行った場所の思い出として、すごくいい本だなと思いました」
同じようなコンセプトの本が、日本では見当たらないことに気づいた林さん。「こんな本があったらいいな」という想いを持ち続けながらも、自分たちで作るのはハードルが高かった。
林さんが当時すでに運営に携わっていた「ままちっち」は、2005年に子育て情報を発信するフリーペーパー「子育て情報ままちっち」の発行から始まり、乳幼児親子が遊べる施設や学習塾の運営のほか、子育て支援に関連する事業を展開している。
2017年に法人化してから数年が過ぎ、事業が軌道に乗ってくると次のステップを考えた林さん。
「たまたま知り合った印刷会社の方に相談させていただいて、本を出すんだったら万博が開催される2025年に合わせようと。しかも『ままちっち』が20周年を迎える年でもあるので、タイミングとしてベストと判断して動き始めました」
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子供に読み聞かせをする親が一緒に楽しめる工夫も
絵本制作のプロジェクトチームを立ち上げた林さんは、大阪のどんなところを紹介したいか、スタッフのほか大阪府下で活動する子育て支援団体にも呼びかけてアンケートを取った。
集まった回答から地域が偏らないよう配慮して、中之島、天王寺、大阪城、住吉、商店街、堺・泉南エリア、東大阪、北摂、なんば・心斎橋、スーパー、湾岸、家の中の風景などのエリアから約50の場所やモノを選定した。
ページいっぱいに描かれたイラストには、大人も楽しめる工夫が施されているという。
「ととちゃん・ここちゃんというキャラクターが、ページのどこかに必ず隠れています」
子供に同じ絵本を何度も読み聞かせているうちに、親の方が本に飽きてしまうということはよくある。しかしこの絵本は、イラストの中に紛れ込んだキャラクターを探したり、読むたびに新しい発見があるように工夫したりして、なるべく飽きが来ないようになっているのだ。
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制作資金はクラウドファンディングで募り、目標額を達成して終了している。
こうして出来上がった「とことこおおさか」は、初版で2000部を発行。2月16日から一般販売が開始される。それに伴い、2月23日には「あべのハルカス近鉄本店」で出版イベントが予定されているそうだ。
「とことこおおさか」(税込1650円)は「ままちっち」のWEBサイトで販売されるほか、一部書店でも取り扱われる。
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一般社団法人 codomotoままちっち
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(まいどなニュース特約・平藤 清刀)