「走行中にドアをパカパカ」原付バイクを“あおり運転”した高級車が迎えた末路

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2025年01月31日 09:01  日刊SPA!

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※写真はイメージです。
 ニュースなどで頻繁に取り上げられる「あおり運転」。被害者の精神的苦痛は深刻であり、トラウマにもなりかねない。
 自動車損害保険を扱うチューリッヒ保険の『2024年あおり運転実態調査』によれば、あおり運転をされたことがあるドライバーは72.5%であった。2023年の53.5%よりも大幅に上昇し、半年間でも24.1%と多くのドライバーがあおり運転に遭遇していることがわかった。

 今回は、高級車にあおられた経験のある2人のエピソードを紹介する。

◆高級車を運転するホストらしき男性4人組

 田中昇さん(仮名・50代)は、友人宅で徹夜で麻雀を打ち、牛丼店で朝食を食べた帰り道であおり運転に遭遇した。

「友人宅から自宅までは、原付バイクで1時間くらいです」

 天気がよかったこともあり、いつもとは違う道を通って帰ることにしたという。すると、しばらくは快適に走っていたのだが、次第に道が混んできたそうだ。

 車の流れがゆっくりのときは、車とガードレールの間を慎重にすり抜けて走り、流れが速くなるときには、白線の上を走り車に抜いてもらうという走行が続いた。そんなとき……。

「白い高級車の横をすり抜けると、急に大声で叫ばれました。驚きましたが、『変な人がいるなぁ』と思っただけで通り過ぎたんですが……」

 車の流れが速くなった瞬間、先ほどの白い高級車が田中さんの原付の横に並んできたようだ。

「車の中には男性4人が乗っていて、茶髪でスーツを着崩していました。ホストのようなイメージを受けましたね」

◆ドアの開閉を繰り返し原付の進路を妨害

 その男性たちは、並走しながら車の窓を開け、“はっきりとわかる罵声”を浴びせてきたという。

「⚫︎⚫︎すぞ、コラ」
「⚫︎ねやボケ」

「追い抜くときに接触したわけでもありません。どうして怒っているのかわからなくて、怖かったです」

 しばらくすると、車の流れが遅くなっていたため、田中さんは“できるだけ高級車から離れよう”と先に進んだ。しかし、再び流れが速くなると追いつかれるという繰り返しだった。

「しかも、私の前に出て蛇行運転をはじめました。よほど前に行かせたくなかったのか、後部座席のドアをバカっと開き、進路をふさいできたんです」

「これには正気を疑いました」と話す田中さん。その後も、ドアを開けて足を出し蹴るマネをしたり、フェイントのようにすばやくドアをパカパカと開閉したりしてきたようだ。

 田中さんは逃げたくなり、どこでもよいから左折しようと考えた。その瞬間……。

「運転手の手が滑ったのか、車のドアがバカーンと全開になりました。そして、そのままドアがガードレールにぶち当たったんです。彼らは、慌てながら騒いでいました」

 その隙に田中さんは脇道に入り、難を逃れることができた。

「高級車だったので、板金修理だけでも高額だったのではないでしょうか。もしかしたら、ドアを交換する事態だったかもしれません」

 田中さんは、“自業自得”な結末にスッキリしたという。

◆“パァァァァァン! パァァァァァン!”と鼓膜を突き破るようなクラクション音

 吉田りょうさん(仮名・30代)は、仕事を終え、いつものように愛車の軽自動車を運転していた。都市部から少し離れた、片側一車線の国道だ。

「突然、後方から猛スピードで迫ってくる1台の高級SUVが目に入りました。車間距離を取らずにピッタリと張りついてきたんです」

 その威圧感は、バックミラー越しでもひしひしと伝わってきたという。

「何なんだ、こいつは……」

 吉田さんは動揺を隠せず、自然とアクセルを踏む足に力が入った。しかし、SUVは吉田さんの車を追い抜こうともせず、執拗に張りついたままだったそうだ。しかも、クラクションをけたたましく鳴らしはじめた。

“パァァァァァン! パァァァァァン!”

「鼓膜を突き破るようなクラクションの音でした。心臓がバクバクして、周囲にほかの車がいなかったので助けを求めることもできません。恐怖で全身から冷や汗が噴き出していました」

「頼むからどっか行ってくれ」と祈るような気持ちで運転を続ける吉田さん。しかし、SUVは一向にやめる気配がなかったという。

それどころか、徐々に車間距離を詰め、今でも吉田さんの車に追突しそうなほどだったようだ。

「もうダメだ、ぶつかる!」

 そう思った瞬間、SUVは吉田さんの車に並走し、急ハンドルを切ってきたのだとか。

◆震える体を落ち着かせることしかできなかった

「間一髪で衝突は免れました。でも、私の車は大きく揺れて、路肩のガードレールに接触しそうになったんです。必死でハンドルを切り返しながら、恐怖と怒りで震え、声も出ませんでした」

 そんな吉田さんの様子を見て、運転手は満足そうに笑い、そのまま猛スピードで走り去っていったという。

「私は、しばらくの間、車を路肩に止めて、震える体を落ち着かせようとしました」

 数分後、ようやく落ち着きを取り戻した吉田さんは、再び車を走らせた。そして、信じられない光景を目にすることとなる。

「先ほどのSUVが、道路脇の田んぼに突っ込んで大破していました。どうやら、スピードの出し過ぎでカーブを曲がり切れなかったようです」

「ざまぁ見ろ、お前の負けだ!」

 吉田さんは、思わずそんな言葉を口に出していた。しかし、心配になり、すぐに車を止めて様子を見に行くことに……。

「車内には、運転手が血だらけで倒れていました。意識はありましたが、かなり苦しそうでした。すぐに119番に連絡しました」

 その後、駆けつけた警察官から事情を聞かれ、ドライブレコーダーの映像を提供した。

「数日後、警察から連絡があり、SUVの運転手は危険運転致傷罪で逮捕されたと聞きました。彼は、以前にも同様の行為を繰り返し問題となっていたらしいです」

「当然の報いだ」。吉田さんは、心の底からそう思った。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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