風邪のひき始めに取り入れたいセルフケアと言えば、食事療法。鼻水、咳・喉の痛み、発熱の症状を和らげるにはどんな食材・食事が効果的なのだろうか。たいや内科クリニックの管理栄養士・林安津美さんが解説する。【咳・喉の痛み編】
【画像】実は意外なアレがNG? 風邪をひいた時に控えたい食べ物■喉が弱っている時には「辛味」だけでなく「酸味」にも気を付けて
咳や喉の痛みを和らげるには、喉を潤し、炎症を抑える効果のある食材や免疫力を高める食材、粘膜をケアする食べ物を摂取することが効果的です。
具体的には、大根やネギ、殺菌作用のあるはちみつ、カテキンを含む緑茶などがおすすめです。ビタミンが豊富な野菜ジュースやゆず茶も適しています。喉の痛みが強く、食べ物を飲み込むのがつらい場合は、喉ごしがよく食べやすいものを選ぶとよいでしょう。
また、酸味や辛味が強すぎるものは喉を刺激する可能性があるため、避けるのが望ましく、喉の乾燥を防ぐために、こまめに水分を摂りましょう。
■咳・喉の痛み緩和に役立つおすすめ食材8選
1:はちみつ
はちみつには抗菌作用があり、喉の痛みを和らげる効果があります。また、喉をコーティングする作用があるため、咳の頻度を軽減する働きがあります。
▼おすすめメニュー
・はちみつレモン湯…温かいお湯にレモン汁とはちみつを加えたドリンクは、喉の潤いを保ちつつ、ビタミンCで免疫力をサポートします。
・はちみつ生姜茶…はちみつとすりおろし生姜を紅茶に溶かして飲むことで、喉を温めながら痛みを軽減します。
2:生姜
生姜に含まれるジンゲロールやショウガオールには、抗炎症作用と抗菌作用があり、喉の炎症を和らげます。また、血行促進効果により、体を温めて症状の悪化を防ぎます。
▼おすすめメニュー
・生姜湯…すりおろした生姜をお湯に入れて少量のはちみつを加えると、喉を潤しながら痛みを和らげます。
・生姜スープ…野菜や鶏肉を煮込んだスープに生姜をたっぷり加えた温かい一品は、体を内側から温めます。
3:大根
大根に含まれるイソチオシアネートには、喉の炎症を抑える働きがあります。また、喉の粘膜を保護し、痰を出しやすくする効果もあります。
▼おすすめメニュー
・大根と鶏肉の煮物…喉に優しい柔らかい煮物は、体を温める効果もあります。
4:かりん(マルメロ)
かりんには抗菌作用や炎症抑制効果があり、喉の痛みや咳を緩和します。また、ビタミンCやクエン酸も含まれており、免疫力を高めます。
▼おすすめメニュー
・かりんシロップ…かりんを薄切りにして砂糖に漬けたシロップをお湯で割って飲むと、喉を潤します。
・かりんジャム…トーストやヨーグルトに合わせて摂ると、手軽にかりんの栄養を摂取できます。
5:れんこん
れんこんに多く含まれるタンニンは、殺菌作用や消炎作用を持つ植物性ポリフェノールの一種です。このタンニンの作用により、喉の痛みやイガイガ感の原因となる細菌やウイルスに対する効果が期待されています。さらに、れんこんには免疫機能をサポートするビタミンCも豊富に含まれており、喉の不調を引き起こす感染症の予防にも役立つ食材です。
▼おすすめメニュー
・れんこんのすり流し汁…れんこんはしゃきしゃきとした食感が特徴ですが、すりおろして汁仕立てにすると、ほんのりとろみがついて、喉ごしのよい汁物ができます。ぽかぽかと温まる優しい味の一品です。
6:ネギ(長ねぎ)
ネギに含まれるアリシンには抗菌作用があり、喉の痛みを軽減する効果があります。また、血行を促進して体を温める効果も期待できます。
▼おすすめメニュー
・長ねぎの味噌汁…ネギをたっぷり入れた温かい味噌汁は、体を温めつつ喉の症状を和らげます。
・焼きネギ…ネギを焼いて塩や少量のはちみつをかけて食べると、喉に効果的です。
7:梨
梨は喉を潤す効果があり、咳を和らげます。また、解熱作用があるとされ、風邪の症状全般に有効です。
▼おすすめメニュー
・梨のコンポート…梨を煮込んで柔らかくしたものは、喉に優しく食べやすいデザートになります。
・梨ジュース…生の梨をすりおろしてジュースにすることで、ビタミンと水分補給ができます。
8:きんかん
きんかんは、喉のケアに効果的なヘスペリジンという成分を多く含む果物です。ヘスペリジンには、ビタミンCの吸収を助ける作用や毛細血管を強化する作用があり、のど飴にも「喉に優しい成分」として配合されています。
▼おすすめメニュー
・きんかんの甘露煮…ヘスペリジンは、きんかんの皮に含まれています。旬の時期のきんかんは生のまま皮ごと食べられますが、甘露煮にして食べるのもおすすめです。
PROFILE/林安津美さん
管理栄養士。大学卒業後、JAあいち厚生連に入職。37年間、病院の管理栄養士として勤務、その間豊田厚生病院・安城更生病院の技師長として17年間在籍。病態栄養専門管理栄養士・日本糖尿病療養指導士・腎臓病療養指導士・がん病態栄養専門管理栄養士・和漢薬膳師等の資格を生かし、現在はたいや内科クリニックで患者に寄り添った医療を届けている。