NY発アート集団「MSCHF」が新作個展を開催 資本主義社会におけるアートの価値を再定義

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2025年01月31日 19:21  Fashionsnap.com

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 ニューヨーク・ブルックリン発のアート・コレクティブ ミスチーフ(MSCHF)が、新作個展「マテリアル・バリュー(Material Values)」をNANZUKA UNDERGROUNDで開催する。会期は2月1日から3月22日まで。

 ミスチーフは、2019年に始動。人類の文化や政治、貨幣社会といったシステムの不合理性や滑稽さを暴きながら、精密に計算された介入システムを視覚表現を用いて提示している。2023年には、漫画「鉄腕アトム」に登場するブーツをオマージュした「ビッグレッドブーツ(BIG RED BOOT)」を発表し、話題を集めた。これまで、ニューヨークのペロタンやソウル 大林美術館での個展のほか、ストックホルムのスプリットミュージアムで開催された「Andy Warhol. Money on the Wall」や、ロサンゼルスのJ・ポール・ゲティ美術館でのグループ展「Blood: Medieval/Modern」に参加するなど、アメリカ国内外で作品を発表している。日本国内では、同展「マテリアル・バリュー」のティザーとして、昨年1月に初の個展「No shoes. No phone. No service.」を開催。セレブリティの電話番号を登録したiPhoneを作品化した「Celebrity iPhones」と、さまざまなブランドのスニーカーを波の形状にデフォルメしたシリーズ「Wavy Sneakers」を披露した。
 マテリアル・バリューでは、現代の高度資本主義社会におけるアートと物質的価値の関係をユーモアを交えて再定義するシリーズ「MATERIAL VALUE SCULPTURES」を中心に展示。同シリーズは、奇妙なポーズを取った人間の彫刻の台座にデバイスを内蔵し、原材料であるインジウムの市場価値をリアルタイムで追跡する。半導体産業やLED素材として需要が高まり続けているインジウムを使用することで、同素材の市場価値が作品の価格を上回った瞬間、装置が温度を上げ、彫刻を溶かして自壊しはじめるという。物質的価値のインフレーションが、高度資本主義社会においてシミュレーション原理に基づくシステムの一部にすぎないことを提示する。

 アメリカの子ども向けSF小説「アニモーフ(Animorph)」から着想を得た「Animorph Painting」シリーズでは、人間が動物へと段階的に変身するアニモーフの描写をもとに、レンブラントから孫悟空、カラヴァッジオからジョージ・ブッシュへ、美術史上の肖像画を現代のアイコンへ変身させた作品を披露。今回の会場であるNANZUKA所属のアーティスト 空山基の作品「セクシー・ロボット」をモチーフにした新作を含む4点を展示する。

 また、アメリカのオフィスで一般的に用いられる、パーテーションで区切られた空間「オフィス・キュービクル」を再現したインスタレーション「RAIN CUBICLE SCULPTURE」では、電源が供給される限り、オフィスに雨が降り続ける不条理な仕掛けを施し、現代社会における労働の退屈さや無意味さを暗示。資本主義が生み出す労働の矛盾を表現したという。

 同展では、ミスチーフのこれまでの取り組みを総括した書籍「Made by MSCHF」をはじめとしたアイテムを数量限定で販売。スニーカーをモチーフにした「NANZUKA SuperNormal」や、某トレーディングカードゲームを模した「Boosted pack」、同展オリジナルのグラフィックをあしらったTシャツやロンTなどをラインナップする。会期初日の2月1日から、NANZUKAの公式オンラインストアで取り扱う。

■MSCHF「MATERIAL VALUES」会期:2025年2月1日(土)〜3月22日(土)会場:NANZUKA UNDERGROUND所在地:渋谷区神宮前3-30-10営業時間:火〜土 11:00〜19:00休業日:日・月問い合わせ:03-5422-3877

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