【2025年春】「青春18きっぷ」新ルール解説! 値段・期間から特例区間まで、使い方が全部分かる

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2025年01月31日 21:21  All About

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青春18きっぷとは、春・夏・冬に販売され、JR線が乗り放題になるお得なきっぷだ。2025年春季の利用期間は3月1日〜4月10日。青春18きっぷの基本的な使い方をご紹介。よくある疑問への答えや活用法をご紹介する。
青春18きっぷとは、春・夏・冬に販売され、JR線が乗り放題になるお得なきっぷだ。2025年春季の発売期間は2月14日〜4月6日(3日間用は4月8日まで)、使用期間は3月1日〜4月10日である。

青春18きっぷの値段や利用可能期間など、基本的な使い方をご紹介。グリーン車や新幹線、特急列車には乗れる? JR線以外を経由する場合はどうする? など、よくある疑問への答えや活用法を取り上げる。

青春18きっぷとは? 年齢制限はある?

青春18きっぷとは、日本全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席、およびBRT(バス高速輸送システム)、JR西日本宮島フェリーに1日乗り放題で、自由に乗り降りができるきっぷだ。年齢制限は一切なく、誰でも購入・利用することができる。

かつては、利用期間の任意の日に5回使用できるフレキシブルなきっぷだったが、前回(2024年12月10日〜2025年1月10日)から大幅な改定があり、期間内の連続する3日間または連続する5日間乗り降りできるきっぷと改められた。1枚のきっぷを複数人で同時に使用することは不可となり、2人以上が同時に旅行する場合は、各自が1枚ずつ18きっぷを購入する必要がある。

「青春」「18」というネーミングから何となく若者向けのきっぷという印象を持ってしまうが、決してそんなことはない。高齢者でも利用可能だ。子供用はないので、子供も大人も同額。もちろん学割もない。

青春18きっぷのサイズ、値段、利用期間など基本情報

新・青春18きっぷ(画像提供=JRグループ)

以前は、きっぷの形状が指定券などのサイズよりも横長で、自動改札機を通すことは不可だった。そのため、必ず有人改札でチェックを受ける必要があり、使用日の最初は駅員にきっぷを見せてスタンプを押してもらっていた。

しかし、改定により、18きっぷを自動改札機に投入することができるようになった。また、使用開始日は、きっぷ購入時にあらかじめ決めておかないと買えないようになった。従来のように、とりあえず18きっぷを購入しておいて、気が向いた日から使い始めることはできなくなった。

値段は、3日間用=1万円、5日間用=1万2050円。期間中、毎日利用すると仮定した場合、1日分は、3日間用=3334円、5日間用=2410円となる。従来は、5日間用と同じ値段だったので、3日間用はかなり割高となっている。

また以前は、春季用の発売予告と同時に夏季、冬季も発売期間と利用期間の発表があったが、最近は、直近の期間のみ発表となる。次回の発売があるのかどうか、不安視する人がかなりいて、SNSなどでざわつく要因となってしまった。冷静かつ気長に待つしかないであろう。

新・青春18きっぷのルール1. 3日間あるいは5日間連続利用

JRの普通列車、飯山線を走るディーゼルカー

3日間あるいは5日間「連続」で使用する。もちろん、途中で鉄道を利用しない日があっても構わないけれど、だからといって利用期間が延長されることはない。特に5日間の場合、連続して休みが取れない人も少なからずいるだろう。

割り切って、トータルで1万2050円分以上乗って得になればよいと考えるしかないと思う。なお、利用開始後に忙しくなり使えなくなっても、きっぷを他人へ譲渡・貸与することは認められない。

新・青春18きっぷのルール2. 普通列車&快速列車が乗り放題

JR日南線のディーゼルカー

全国のJR線を走る普通列車・快速列車の普通車自由席が乗り放題。途中下車も自由にできる。特急列車や新幹線は、後で述べる特例を除いて利用できない。時間の制約などで特急列車や新幹線に乗りたければ、特急券のほか、利用区間の乗車券も別途購入しなくてはならない。

観光列車は、普通列車・快速列車扱いの列車の普通車に限り、指定券を別途購入すれば乗車可能だ。

普通列車・快速列車グリーン車は、指定席の場合は利用不可。首都圏を走る普通列車・快速列車のグリーン車は自由席なので、グリーン券のみ別途購入すれば利用できる。
日田彦山線BRT

BRT(バス高速輸送システム)も利用できる。現在、BRTが走っているのは、JR東日本の気仙沼線BRT(柳津〜気仙沼)、および大船渡線BRT(気仙沼〜盛)、JR九州の日田彦山線BRT(添田〜日田)の3つだ。

JR西日本の宮島フェリーも乗り降り自由だ。ただし、現地にて宮島訪問税(100円)を別途支払う必要がある。宮島フェリーには、宮島松大汽船もあるが、そちらはJRの系列ではないので利用できない。

第3セクター鉄道乗車の特例

18きっぷで利用できる路線はJR線に限られるが、特例がある。これは、JR在来線で、新幹線開業に伴いほかのJR在来線と直接つながらなくなった孤立した路線ができたための救済策だ。

JR大湊線、JR八戸線に乗るためには、青森駅から青い森鉄道に乗車しなくてはならない。そこで、青森〜八戸、青森〜野辺地、八戸〜野辺地を通過する場合に限って18きっぷの使用が認められる。

あくまで、2つの路線に乗り継ぐ目的のためなので、青森、野辺地、八戸以外の駅での途中下車は認められない。降りてしまった場合には、青い森鉄道の乗車区間の正規運賃を別途支払わなければならない。また、乗り継ぎは当日中に限る。乗換駅の駅前ホテルで宿泊して翌日乗車することは認められていない。

北陸新幹線開業で、北陸本線のかなりの区間が第3セクター鉄道に転換されたので、JR氷見線、JR城端線、JR七尾線に乗るために、あいの風とやま鉄道(富山〜高岡〜倶利伽羅)およびIRいしかわ鉄道(倶利伽羅〜津幡)での通過利用が認められる。途中下車可能駅は、富山・高岡・津幡の3つ。

また、JR越美北線乗車のため、敦賀からハピラインふくいの敦賀〜越前花堂の通過利用が認められる。越美北線の始発駅は福井駅なので、確実に座りたければ福井駅まで行く方が望ましいが、そうしたいならば、別途、全区間の正規料金を支払う必要がある。

北陸エリアに関しては、18きっぷを使って安く旅するのは、かなり不自由になってしまった。

特例として特急列車乗車が認められる区間

新得駅に到着した特急列車

■石勝線 新得〜新夕張
この区間は、特急列車のみの運転で普通列車の運行はない。それゆえ、以前から18きっぷでの利用が認められていた。かつては自由席の利用だったが、2024年3月16日以降、特急列車は全車指定席となったので、「普通車指定席の空席」利用と改められた。

この区間からはみ出して特急を利用する場合は、全乗車区間の乗車券・特急券が必要となる。

■室蘭本線 東室蘭〜室蘭
特急列車のほか普通列車も運転されているが、室蘭市内にもかかわらず本数が十分多いとはいえない。かつて、特急列車の東室蘭〜室蘭は各駅に停車し、この区間は普通列車扱いだった。

その後、各駅停車にもかかわらず、特急列車となってしまった(もっとも、この区間のみ乗車の場合は特例として特急券なしで利用できる)。そうした経緯から、18きっぷでの利用がOKとなったのである。現在、特急列車は全車指定席となったので、普通車指定席の空席利用となる。

■奥羽本線 新青森〜青森
東北新幹線利用者が、青森駅へ行きやすいように、この区間の特急列車の自由席を開放し、特急券なしで乗車券のみで利用できるようにしている。普通列車が必ずしも多くないゆえの救済措置だ。これに準じて、18きっぷ利用者も、この区間のみ特急列車の自由席を利用できるようにしている。

■宮崎空港線など 宮崎空港〜宮崎
空港利用者が宮崎駅へ行きやすいように、この区間の特急列車の自由席を開放している。上記の、新青森〜青森と同様だ。

■佐世保線 早岐(はいき)〜佐世保
普通列車の本数が大幅に減ったための救済措置で、この区間の利用に限って、特急列車の普通車自由席を特急券なしで乗車できるように開放している。

特急列車の本数が多いにもかかわらず、普通列車が極端に少ない区間として、日豊本線の佐伯〜延岡がある(佐伯発・延岡行きは、早朝の1本のみ!)。しかし、この区間は特例区間とはなっていない。

18きっぷ利用のネックとなっていて、通り抜けたければ、佐伯駅前に前泊して早朝の列車に乗るか、それが無理なら別途乗車券と特急券を購入するほかないであろう。

青春18きっぷ北海道新幹線オプション券

北海道新幹線オプション券 (画像提供=JRグループ)

北海道新幹線開業により、青函トンネルを通り抜ける在来線の定期列車はなくなった。18きっぷ利用者が鉄道により北海道へ向かう手段は北海道新幹線のみである。そこで、救済策として「北海道新幹線オプション券」が誕生した。

当初は、北海道新幹線の奥津軽いまべつ〜木古内、第3セクター道南いさりび鉄道の木古内〜五稜郭の移動にのみ有効だった。しかし、奥津軽いまべつ駅への在来線アクセスの不便さ、および新幹線停車列車の少なさがネックとなって評判がよくなかった。

そこで、2024年冬季から、北海道新幹線の利用区間を新青森〜木古内に変更。使い勝手は改善されたが、その代わり料金は2490円から4500円と大幅アップ。2025年4月1日からは4650円となる。

オプション券は、青春18きっぷとの併用が必須だ。新幹線の改札口では、オプション券のうちの北海道新幹線利用券と青春18きっぷを2枚一緒に自動改札機に投入しなければ構内に入れない。また、木古内駅以外での途中下車はできない。

新・青春18きっぷの使い勝手、今後の鉄道旅行

2024年冬季からの改定により、青春18きっぷの使い勝手が悪くなったとの声も多い。3日間連続あるいは5日間連続使用なので、期間内にふらっと思い立って出掛けることができなくなったから、そう感じる人も多いのであろう。

また、北陸エリアは北陸新幹線敦賀延伸開業に伴い、北陸本線の敦賀〜金沢がJRの手を離れ、第3セクター鉄道となってしまったので、18きっぷで旧・北陸本線の区間をたどることは、特例利用を除いて不可能になっている。

今後も、ローカル線の一部の廃線が予定されていることもあり、利用区間はどんどん少なくなっていく見込みだ。普通列車のみを使っての鉄道旅行は曲がり角に差し掛かっている。青春18きっぷに頼らない鉄道旅行を考えることが主流になるかもしれない。
(文:野田 隆( 鉄道ガイド))
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