コロナ禍の2021年に“マスク詐欺”の動画で一躍有名に。現在、動画クリエイターとして活動するmomohahaさん。
中学2年生から6秒動画投稿アプリ「Vine」に動画投稿を始め、その後はTikTokやYouTube、Instagram、X(旧Twitter)など、さまざまなSNSに展開。持ち前の演技力や“あるあるコント”、美容・ファッションに関する動画を発信し続け、SNSの総フォロワー数は200万人を超える。
momohahaさんの動画に対する情熱や、寸劇スタイルが生まれた背景、ネタ動画を作る上で意識していることに話を聞いた。
◆小学校の頃は人見知りで悩んでいた時期も
母親が日本人、父親がアメリカ人のmomohahaさん。小学校1年生までは、アメリカの米軍基地の中にある小学校に通い、その後は日本の小学校に転校したという。
今でこそ、明るいキャラで面白い動画を投稿しているが、「小学校の頃は人見知りで、本当にどうしようかと思っていた」と幼少期を振り返る。
「そんな自分を変えるきっかけになったのが、『ディズニー・チャンネル』との出会いでした。ディズニーの作品は明るくてポジティブじゃないですか。自分自身、すごく影響されやすい人間なので、その世界観にハマっていきました。
そこから学校でミュージカル曲を歌うようになったり、寸劇みたいなのをやるようになったんです。また、同じクラスの男子と一緒にお笑いコンビを組んで、学校のお楽しみ会で披露したりと、『自分がみんなの前に出て何かをする』ことが多くなりましたね」(momohahaさん、以下同)
小学校の個人面談では、先生が「娘さんはお笑い芸人にした方がいい」と母親に伝えるほど、自然と学校でも目立つ存在になっていったそうだ。
◆14歳から始めた動画投稿。ライバル心と友情の狭間で…
そして、中学校2年生から「Vine」で動画の投稿を始めるようになる。
「その頃は動画の編集アプリがなく、動画を撮って友達に送る延長線上でアプリを使っていました。動画を保存したら勝手に投稿される仕組みで、知らない間にどんどん動画が公開されていたんですよ。当初はあまり続ける気がなかったんですけど、その時期のVineにはハーフの人気投稿者がいて刺激を受けていたんです。
兄に『私も意外にいけるかな?』と聞いてみても『絶対に無理だね』と言われ、すごく悔しかったので、ちょっと頑張ってみようと思いました。自分の親友も一緒にVineをやっていたので、その子には負けたくないという気持ちもありました」
高校生になると動画配信アプリ「MixChannel(現 ミクチャ)」を友人と始め、“リップシンク(口パク)”や“双子ダンス”などの動画を投稿していたが、「動画投稿によって、友情が崩れるのは嫌だった」と当時を回想する。
「私は純粋に動画が好きで、特に辛いとか大変とかは感じずに楽しく活動していました。でも、友達と一緒に始めたこともあって、自分の方が『いいね数』が多いと、あまりいい顔をされないというか。
最初はあまり気にしなかったんですが、次第に『もうやる気がなくなっちゃう』と相方に言われるようになって、結構大変だなと感じてしまい、結局1人でやることになりました」
◆思わず見たくなる“ネタ動画”の秘訣
YouTubeも最初は知人の誘いで2人組で始めたものの、別々の高校に通っていたため、一緒に動画を撮る機会があまり作れずに解散することになったそうだ。
こうしたなか、momohahaさんが大学生の時に個人でYouTubeチャンネルを立ち上げ、美容・ファッション系の動画のほか、誇張してモノマネする動画や「〇〇でありそうな話」、「生配信中に〇〇がバレたアイドル 」などの“ネタ動画”で人気を集めていく。
「かわいい系」ではなく「ウザかわいい系」という芸風になったのは、どのような背景があるのだろうか。
「実は、昔から人間観察をよくしていて、無意識のうちに人を見て『こんな癖があるな』とか『裏でこんなことを考えているのかな』と考えたりしているんです。相手が何を考えているのかを想像するのが好きだったので、大学でも心理学の授業を受けていましたね」
日常生活の中で人の性格や心理を自然に感じ取り、自分のフィルターを通して人間観察力を磨いてきたからこそ、momohahaさん独自のスタイルを築くことができたと言えるだろう。
「人がふと動画を見てしまうときって、『自分の手に届かないもの』か『自分が身近にあるもの』だと思うんですよ。例えば『1億円使って〇〇してみた』という動画だと、普通に自分ができないからこそ、見たくなるわけです。
でも私には財力もないし、何か長けているものもなかったので、一番見たくなるものは何だろうと考えたら、自分の身近にもいて『なんかわかる!あるあるだよね』みたいに感じてもらえる動画でした。ついコメントしたくなる、人にシェアしたくなる『共感を呼ぶ動画』を作れるように心がけていますね」
◆“マスク詐欺”の次は“失恋動画”が話題に
2021年にYouTubeで公開した“マスク詐欺”動画では、「マスクをしていると素顔が分からない」というシチュエーションのもと、マスクを外した瞬間のギャップに多くの人が衝撃を受け、530万回再生を超えるほどネット上で拡散された。
まさにブレイクのきっかけとなる動画だったわけだが、現在は「自分の素を見せていく」ことに重きを置いているという。
「2022年に4人組のクリエイターユニット『午前0時のプリンセス』を結成し、グループでYouTubeの活動をするようになってから、素の自分を出すようになりました。
少し前に出した『浮気されて失恋した』という動画では、同じように失恋や浮気を経験した人から多くの反響をいただいて、約400万再生近く見られる動画になりました。同じ気持ちで落ち込んでいる人から『あの動画で助かってます』というコメントをいただくと、私も頑張ろうと思えるんですよ」
◆SNSごとに投稿内容を変え、もっと素の自分を出していく
動画投稿歴は10年以上、これまでに投稿した動画の本数はグループの活動も含めると3000本以上に達する。
こうしたなか、今後は「SNSによって、見せていく自分を変えていきたい」とmomohahaさんは語る。
「TikTokは以前と同様に面白いネタ動画と、素の自分を出す動画を大体5対5の割合にして、Instagramでは服やメイクなど女の子の綺麗な部分を見せる動画を上げていく予定です。
YouTubeでは午前0時のプリンセスを組む前まで自分の素を一切見せない状態だったので、これからは自分らしさをさらけ出して、もっとファンを獲得していきたいですね」
動画クリエイターのほか、直近ではUQ WiMAXのショートドラマにて演技に挑戦するなど、芸能活動の幅を広げているmomohahaさん。
持ち前の演技力とトーク力を生かし、さらなる活躍に注目が集まることだろう。
<取材・文・撮影(インタビュー)/古田島大介>
【古田島大介】
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている