イマーシブ・フォート東京が“正念場” 森岡氏の「最大のライバル」は?

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2025年02月05日 07:21  ITmedia ビジネスオンライン

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「イマーシブ・フォート東京」が大規模リニューアル(プレスリリースより引用、以下同)

 刀(大阪市)は2月4日、子会社の刀イマーシブ(東京都千代田区)が運営する「イマーシブ・フォート東京」のアトラクションを大規模リニューアルすると発表した。開業後1年間の来場者の動きを分析し、これまでの14作品から、3月以降は4作品に絞って展開する。


【画像】2万円超えの晩餐会、詳細は?(他4枚)


 イマーシブ・フォート東京は2024年3月に開業。お台場にあった商業施設「ヴィーナスフォート」を活用し、イマーシブ(没入)体験を売りにしたテーマパークだ。ゲストは物語の登場人物の一員として、各作品の世界観に没入できる。異なる演劇が各所で繰り広げられ、ゲストごとに異なる体験を楽しめるようにした。


 刀の森岡毅CEOによると、開業後1年間は大きく分けて2パターンの作品を提供していたという。「ライトなイマーシブ体験ができる作品と、ディープなイマーシブ体験ができる作品を用意していた。イマーシブ体験の認知度が低かったこともあり、ライトな作品で障壁を下げる狙いがあった」(森岡氏)


 ところが、来場者の7割超がディープな作品を選んでいることが分かった。中でも「ザ・シャーロック〜ベイカー街連続殺人事件」の動員数は15万人(2024年3月〜2025年2月)を突破。1万4800円と高価格な「江戸花魁奇譚(えどおいらんきたん)」のチケット完売率は97%(2024年3〜12月)を記録した。


 こうした来場者の動向を受け、森岡氏は、ライトな作品をなくし、ディープな作品のアトラクションに集中することにした。「ライトな作品にも、多くのファンがいらっしゃるので、やめるという決断は難しかった。だが、ライブエンターテイメントを進化させるというイマーシブ・フォート東京の原点を思い返し、決断に至った」と話す。


●新作は2万円超えの晩餐会


 3月から開始する新アトラクションのコンセプトは「さあ、感動の最前線へ」。「ザ・シャーロック〜ジェームズ・モリアーティの逆襲」「江戸花魁奇譚」「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」「真夜中の晩餐会 Secret of Gilbert's Castle」(4月下旬にオープン予定)の4作品を展開する。


 新作となる「真夜中の晩餐会 Secret of Gilbert's Castle」は、イマーシブ・フォート東京では初の飲食付き作品となる。ゲストはディナーコースとスパークリングワインを味わいつつ、作品に参加する。料金は現在検討中だが、2万円を超える予定だという。


 舞台は19世紀の欧州をモチーフにしている。ゲストは豪華な晩さん会に出席し、貴族との会話やダンス、個室で秘密の体験するという。


 「ザ・シャーロック〜ジェームズ・モリアーティの逆襲」は、これまで上映していた作品を序章とし、二部構成の作品へとリニューアルする。リピーターだけでなく、初めて参加するゲストも作品に没入しやすいよう、現在上映中の作品を一幕とし、二幕ではさらに深掘りする内容とした。


 江戸遊郭の独特な世界観が特徴の「江戸花魁奇譚」は、複数のエンディングを用意するマルチエンディングを採用。人気漫画『東京リベンジャーズ』をもとにした「東京リベンジャーズ イマーシブ・エスケープ」は、キャラクターと間近で接する少人数での体験をこれまでの3倍に増やした。


 また、料金体系も変更する。これまでは1dayパスに加え、追加料金で作品チケットを購入する方式だったが、今後は1dayパス制を廃止。各作品ごとにチケットを購入する形式とする。森岡氏は「仕事帰りに映画を見るように、イマーシブ・フォート東京の作品を体験していただければ」と話す。


 森岡氏は「この20年、エンタメの最大のライバルはスマホである」とし、それと差別化するためにはライブエンターテイメント、つまり「生」ならではの魅力を打ち出す必要があると話した。2年目の没入体験は、エンタメ業界にどんな影響をもたらすのか。



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