「ランニングシューズ並みに軽い」革靴がヒット 青山商事とミズノ、新入社員に焦点

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2025年02月05日 08:11  ITmedia ビジネスオンライン

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ITmedia ビジネスオンライン

メインターゲットはフレッシャーズと呼ばれる若い世代(提供:ゲッティイメージズ)

●プロダクトInsights


【画像】とにかく軽いビジネスシューズ「EXLIGHT」(全6枚)


日々リリースされる新しい商品やサービスたち。その商品やサービスには、必ず企業側の思惑や狙い、生活者のニーズ、時代の空気感が反映されている。本シリーズでは、これらの「Insight」を考察していく。


 ミズノと青山商事が共同開発したビジネスシューズ「EXLIGHT」(エクスライト、希望小売価格1万5290円)が好調だ。2020年2月の発売以降、累計販売数は18万足を突破した。両社がコラボした背景や開発の経緯について、ミズノの山本仁氏(アスレティック事業部 ライフ&ヘルスマーケティング部 フットウエア課)に話を聞いた。


 エクスライトは、ミズノがランニングシューズなどに搭載するソール構造「ミズノウエーブ」をかかと部分に取り入れたビジネスシューズだ。ミズノ独自の”波形状”素材がクッション性を発揮し、着地時のかかとへの衝撃を和らげる効果があるという。また、かかとへの衝撃を分散し、着地時の一部分への集中的な荷重によるソールの変形を防止する。


 着用シーンはフォーマルな場面を想定しており、ベーシックなデザインを採用した。カラーはブラックのみで、サイズは24〜28センチまでの9種類を用意。靴ひものスタイルだが、羽根(靴ひもを通す穴部分の革のこと)の内外部分に、「サイドゴア」という伸縮性のあるゴム布を装着。シューズの着脱をスムーズにしながら、足とシューズのフィット感を損なわない構造とした。


 エクスライトは2020年2月の発売以来、毎年改良を行っている。2024年9月に発売した現行モデル「EXLIGHT AS5」「EXLIGHT AP5」は、かかと部分に「ミズノエナジー」という柔らかく高反発な素材を搭載した。これにより、ミズノの従来品と比較すると、クッション性は約73%、反発性は約74%向上したという。


 また、ラスト(靴の元になる土台の型のこと)をスマートにしたうえで、かかとの高さを5ミリ上げた。その結果、履き心地を損なうことなく、よりスタイリッシュなデザインになったという。


●相反する2つの機能を両立


 ミズノと青山商事がコラボしたのは、2018年に青山商事の商品部からの「スポーツテクノロジーを生かした新たなビジネスシューズを作りたい」という声掛けがきっかけだったという。そこから両社間で試作を重ね、2020年2月に初代モデルを発売した。


 山本氏によると、開発時に苦労したのは、クッション性と安定性の両立だという。一般的に、シューズはクッション性を高めると柔らかくなりすぎて安定性が低下し、安定を高めると硬くなりすぎてクッション性が低下してしまう。この相反する2つの機能を両立させ、さらに歩きやすさと履き心地、ランニングシューズ並みの軽量であることを追求したそうだ。


 エクスライトの開発には、ミズノのスポーツシューズ作りで採用している素材や製靴工程を導入。「フィッティグ性や耐久性を確認するため、舗装されているアスファルトや未舗装路の自然道を、サンプルシューズを履いて何度も歩き、性能を確認しました」(山本氏)


 エクスライトのメインターゲットはフレッシャーズと呼ばれる若い世代だ。その理由について、山本氏は「若い世代は、部活などでスポーツシューズの機能性を実感している方が多いです。そのため、スポーツシューズの知見を活用しているエクスライトとの親和性が高いと考えました」と説明する。加えて、外回りの営業職など、歩く機会が多いビジネスマンからも支持を獲得し、リピーター年々増加しているという。


 2〜3月は入学式や入社式、就活に備えてフレッシャーズがビジネスシューズを買い求めるピークとなる。そのため、山本氏は「累計販売数20万足突破も目前」と期待を寄せる。エクスライトはさらなる支持を得られるか。



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