Bリーグ・内尾聡理選手インタビュー:「子どもたちに希望を」社会貢献への思い

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2025年02月05日 09:00  ORICON NEWS

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社会貢献活動(子ども支援)プロジェクト「S.U future」を立ち上げたプロバスケットボール選手の内尾聡理
 男子バスケットボールプロリーグ・B.LEAGUE(Bリーグ)では、各クラブがSDGsの取り組みを推進しているが、それとは別に、個人で社会貢献活動を行っている選手もいる。ファイティングイーグルス名古屋(以下、FE名古屋)に所属する内尾聡理(うちお・そうり)選手もその一人だ。

【画像】2024年12月22日に実施した「S.U future」の活動の様子

 福岡第一高校出身の内尾選手は、日本人4人目のNBA選手となった河村勇輝(メンフィス・グリズリーズ)や小川麻斗(千葉ジェッツ)、神田壮一郎(FE名古屋)らとともに「最強世代」の一角として活躍。中央大学では1年生から主力としてプレーし、キャプテンも務めた。

 2023年1月、大学在学中に千葉ジェッツに特別指定選手として加入し、プロデビュー。同年6月、FE名古屋と2024-25シーズンの選手契約を結び、本格的にプロのキャリアをスタートさせた。

 そんな内尾選手は、昨年11月に社会貢献活動(子ども支援)プロジェクト「S.U future」を立ち上げた。同年12月22日に豊田合成記念体育館(エントリオ)で開催されたFE名古屋対琉球ゴールデンキングス戦では、クラブの協力の下、試合会場に「S.U future」ブースを設置し、自身がアンバサダーを務める企業の商品を販売。その売上全額を一人親家庭の子どもたちの支援活動に寄付した。自らブースに立って子どもたちにクリスマスプレゼントを手渡し、交流を図った。

 バスケットボールを始めたきっかけは、バスケットボール女子日本リーグ(Wリーグ)の富士通レッドウェーブに所属する実姉の内尾聡菜(うちお・あきな)選手。姉弟で小倉ミニバスケットボールクラブに所属していた。

 「先に姉がバスケットボールを始めていて、送り迎えについていったら『やってみなよ』と勧められました。すぐに辞めると思っていたのですが、意外と楽しくて(笑)」

 クラブ関係者の知り合いのプロ選手が練習に来てくれることもあった。その選手の招待で試合を観に行ったこともあり、「プロの姿を見て『すごいな』と憧れを抱きました」。そのプロ選手とは、現在九州共立大学バスケットボール部の監督を務める川面剛氏だ。

 高校は、バスケの強豪校・福岡第一に進んだ。しかし、「中学までそれなりに順調で、このままプロになれるかも、と思って高校に入りました。でも、そこで初めて“挫折”を経験しました」と振り返る。

 「試合に出られず、周りと比べてばかりで、バスケが嫌になったこともありました。同期には河村勇輝というスーパースターがいて、彼と自分を比べてしまうことがすごく苦しかった時期もありました」

 それでも親や恩師の支えがあったことで乗り越えることができたという。「時々地元に帰ると、小学校時代のコーチがご飯に連れて行ってくれたり、父親のような存在の中学時代のコーチが話を聞いてくれたり…。恩師たちのためにも、簡単にあきらめるわけにはいかないと思いました」

 寮生活で、一人になれる時間がないなか、「日記をつけるようになった」ことも大きな転機となった。「練習の振り返りや改善点を書き続けることで、頭の中がクリアになって、気持ちの切り替えがスムーズになって、前向きに取り組めるようになったんです」

 やがて、内尾も強豪チームの一員として活躍。2019年はインターハイとウインターカップの2冠を達成した。高校卒業後は、教員免許を取得するために中央大学への進学を選択。推薦を得るために、「河村とはクラスも同じだったので、バスケで負けているのに、勉強でも負けるわけにはいかないと、勉強も頑張りました(笑)」と屈託なく話す。

■自分が“きっかけ”を与えられる存在に

 バスケでプロになれたら、家庭の事情などで夢をあきらめたり、夢を持てずにいたりする子どもたちが、前向きな気持ちになれるような“支援をする側”になろう、と決めていた。

 「うちは一人親家庭だったけれど、小学校、中学、高校でも、先生方やコーチに恵まれて、大好きなバスケを続けることができました。あたたかい人たちばかりで、自分もそういう大人になりたいと思ってきました。これからは自分が子どもたちに“きっかけ”を与えられる存在になりたいと思ったんです」

 より自由な形で活動を続けるため、個人で「S.U future」を立ち上げた。「プロ選手は移籍の可能性もあるし、いつか引退する日もくる。チームに依存する形ではなく、個人でやるのがベストだと考えました」。

 もちろん、「Bリーグでしっかり結果を残すこと」が第一だ。「チームの中心選手としてコンスタントに活躍し、信頼される存在になりたい。いずれは日本代表も目指したい」とクールな表情の奥に闘志をにじませた。さらに、「バスケは本当に面白いスポーツです。試合会場での演出はエンタメ性も高く、観客に楽しんでいただけるように進化していっています。ぜひ一度会場に来てほしい」と呼びかけた。

 現在、Bリーグでは開幕初年度(2017年)より実施している バレンタイン企画「B.LEAGUE No.1モテ男決定戦」の投票を受付中(2月11日まで、2月14日に結果発表)。内尾選手は「スタイリッシュ」カテゴリーにエントリーされている。バスケに、社会貢献活動に、彼の活躍に今後も注目していきたい。

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