【北京時事】トランプ米大統領が命じた対中追加関税の発効を受け、中国は対抗措置で応じた。ただ、国内の景気が冷え込む中、双方が関税をかけ合う「貿易戦争」は避けたいのが本音。対米輸出規制の強化を含む複合的な内容となった。
中国は米国の追加関税について、世界貿易機関(WTO)に提訴するほか、「相応の措置」(商務省)を取ると表明済み。4日には、液化天然ガス(LNG)や石炭に15%、原油などに10%の追加関税を課すと発表した。さらに、スマートフォンの製造に使われるタングステンなどの輸出規制強化や、米グーグルに対する独占禁止法に基づく調査も明らかにした。
背景にあるのは、関税のみで対抗した場合に中国が受ける打撃の大きさだ。米ピーターソン国際経済研究所は1月、米国による10%の追加関税により、中国の国内総生産(GDP)が最大0.16%押し下げられると試算。米国へのマイナスの影響は中国を下回る見通しだ。
中国の専門家はこれまで、国内メディアに対し、米国が中国に依存するレアアース(希土類)など一部品目に絞った輸出規制の強化が有効な手段になるとの見方を披露していた。当局は人工知能(AI)や半導体など最先端技術への投資を加速させることで、外圧に耐えられる経済体制の構築を急ぐ。
中国は同時に、経済への打撃を抑える取り組みを強める方針だ。3月に開催予定の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では景気浮揚に向け、財政支出の拡大が打ち出されるとの観測も出ている。