今冬は多くのクラブで監督交代も。福西崇史が選ぶ2025年J1の注目クラブ「松橋監督がFC東京をどう率いるのか」

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2025年02月05日 11:10  週プレNEWS

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2025年J1の注目クラブをフカボリ!

不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。

そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる!

第118回のテーマは、2025年J1の注目クラブについて。いよいよ2025シーズンが開幕するJリーグ。今冬は多くのクラブで監督交代が行なわれた。その中でとくに注目するクラブを福西崇史が解説する。

 * * *

■FC東京で松橋力蔵監督がどうスタイルを根づかせるか

――今週末にヴィッセル神戸対サンフレッチェ広島の「FUJIFILM SUPER CUP 2025」が開催され、いよいよ今シーズンも開幕します。今冬は監督交代したクラブが多い印象がありますが、注目しているクラブはありますか?

福西 松橋力蔵(まつはし・りきぞう)新監督となったFC東京はもっとも注目しているクラブですね。昨季のアルビレックス新潟はポゼッションスタイルのサッカーを徹底し、残留争いをしたものの、ルヴァンカップではクラブとして初の決勝に進出しました。

近年は神戸やFC町田ゼルビアなど、カウンター主体のクラブはJリーグを席巻する中で、松橋監督はポゼッションスタイルを最後まで貫いた数少ない監督の一人だったと思います。そんな松橋監督がFC東京を率いて、個の能力が高い選手をどうまとめて、どんなサッカーを展開するのか非常に楽しみですね。

――新潟のようなスタイル確立には時間がかかりそうですね。

福西 ある程度ベースがあるなら短縮できる部分もあると思いますが、FC東京はそうではないのでベース作りからとなると当然時間はかかります。また、ビルドアップからボールを繋いで組み立てていくスタイルは、自陣でボールを失ったときのリスクが高いわけですが、そこを突破できたときには大きなチャンスが生まれるわけです。

チームスタイルが確立するまでは、そのリスクがどうしても大きくなりますが、そこまでクラブがどう我慢して、監督がどうマネジメントしていくか。クラブとしては当然、苦労することは想定しての招聘だと思うので、クラブの覚悟に期待したいですね。

■松橋サッカーをよく知る高宇洋が重要

――松橋監督のスタイルをよく知る高宇洋(こう・たかひろ)の存在は、チームを作り上げる過程でとくに大事になりそうですか?

福西 それはもちろん。仕事を進めやすい大きな要素になると思います。また、高がボランチであることも非常に大きいと思います。ピッチの中央にわかっている選手が一人いるだけで、攻守において監督の意図が伝わる温度や速度が全然違います。

練習ではその都度止めればいい話ですけど、試合ではそうはいかない。ピッチの中で、選手たちでどうにかしなければいけないときに、わかっているボランチが中央にいれば、監督の意図する方向性を定めやすくなります。

例えばDFからビルドアップで繋いでいくときに、いいタイミングで立ち位置を取って、相手のプレスに対して出口になれれば余裕を持って繋げるけれど、そこで合わなければリスクを回避するために前方へ大きく蹴るという選択肢になってしまう。

もちろん、流れによってはその選択肢があってもいいわけですが、そればかりになってしまうとスタイルの確立はさらに時間がかかってしまいます。だからボランチで松橋監督のやり方を体現できる高がいることは非常に大きいと思います。

――ディエゴ・オリヴェイラが昨季で引退しましたが、その代わりにマルセロ・ヒアンが加入し、前線はまた強力な選手が揃いましたね。

福西 そうですね。既存の選手でも仲川輝人や小柏剛、遠藤渓太、俵積田晃太らベテランから若手まで前線はタレント豊富で、中盤には橋本拳人も帰ってきました。今季は、FC東京が優勝争いするチームになっていくためのスタートだと思うので非常に楽しみなシーズンです。

■勝負にこだわる鹿島の伝統の中で、鬼木サッカーをどう築くか

――他に気になるクラブはありますか?

福西 鬼木達監督が就任した鹿島アントラーズにも注目していますね。鬼木監督は川崎フロンターレでは、風間八宏前監督のベースがあった上で常勝チームを築き上げました。今季の鹿島は川崎とはまったく異なるスタイルでやってきたクラブなので、松橋監督同様に鬼木監督がベース作りからどのようなサッカーを鹿島に根づかせていくのか興味深いです。

――鹿島は監督だけではなく、昨季途中から中田浩二さんがフットボールダイレクターに就任するなど、クラブの体制も変革期にありますよね。

福西 そうですね。柳沢敦や田中誠、曽ケ端準らが新しくコーチングスタッフに入閣しましたが、こういうところを見てもその思いや覚悟はよく表れているなと思います。

――これだけ体制が変わればチームの雰囲気もガラッと変わりますかね。

福西 変わると思います。鬼木監督自身も現役時代に鹿島でプレーしていたわけですから鹿島の勝負にこだわるメンタリティをよく理解していると思います。川崎で培ってきた繋ぐというアクション側を取るのか、また勝負にこだわるリアクション側を取るのか。

チーム作りでは短期的な視点と中長期的な視点があると思いますが、鬼木監督がどのようなマネジメントによって鹿島の新しいスタイルを築いていくのか楽しみにしています。

――今季は他にも印象的な監督交代が多く、楽しみなクラブばかりですね。

福西 松橋監督から樹森大介監督となった新潟、長谷部茂利監督の川崎、金明輝監督のアビスパ福岡など、クラブとして大きな変革を迎えそうなクラブが多いですよね。そういったクラブが、今季どのように変化していくかを観察するのもシーズンの楽しみ方の一つだと思います。

構成/篠 幸彦 撮影/鈴木大喜

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