三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客の資産が盗まれた事件で、逮捕された元行員今村由香理容疑者(46)が、盗んで質入れした金塊について、定期的に質店側に利息を払っていたことが5日、捜査関係者への取材で分かった。
警視庁捜査2課は、必要な時に回収して貸金庫内を原状回復できるよう、預けた金塊が質流れにならないようにしていたとみて調べる。
質屋営業法は、原則として質入れから少なくとも3カ月以内に利息などが支払われなかった場合、品物の所有権が質店側に移ると定めている。
捜査関係者らによると、今村容疑者は貸金庫から盗んだ金塊数億円相当を複数の質店に預けていた。同行は事件発覚後、今村容疑者の説明に基づき、預けられていた金塊をすべて回収した。
同課によると、今村容疑者は盗んだ現金を、少なくとも10億円の損失を出した外国為替証拠金取引(FX取引)や競馬に流用。被害に遭った顧客は少なくとも約60人、貸金庫から盗んだ資産は総額17億円相当で、金塊はそのうち約7億円相当に上るとみられる。
今村容疑者はこれまでの調べに「金塊を使えば大きな現金をつくれると思った」と供述。同課は発覚を恐れた同容疑者が、現金を盗んだ顧客の貸金庫に補填(ほてん)するため、短期間で多額の現金に換金できる金塊に目を付けたとみている。