金融商品取引法が禁じるインサイダー取引をしていた疑いがあるとして三井住友信託銀行に懲戒解雇された元社員について、証券取引等監視委員会が2月初旬に金融商品取引法違反容疑で強制調査に乗り出していたことが関係者への取材で判明した。元社員が不正に得た利益は約3000万円に上るとみられ、監視委の任意の事情聴取に対して容疑を認めているという。監視委は、東京地検特捜部への告発も視野に調査を進めている。
関係者によると、強制調査を受けたのは50代の元社員で、顧客企業の新株発行や株式公開を支援する「証券代行部門」の部長職だった。職務を通じて知った株式の公開買い付け(TOB)の未公開情報を基に、自身の名義で取引をして利益を得ていた疑いがあるという。
元社員は、部長職の直前のポストである次長職だった当時から複数回、こうした取引をしていたとみられる。担当課の情報しか知り得ない課長職とは異なり、次長職以上は部門全体の情報に接する機会があるという。元社員は未公開情報に広く接する自身の立場を利用して、不正な取引を開始した可能性もある。
元社員のインサイダー取引の疑いは2024年10月30日に、本人が会社に申告したことで発覚した。
三井住友信託銀行は24年11月1日付で元社員を懲戒解雇。11月12日には、元社員のインサイダー取引や、元社員以外の類似取引の有無を調べる調査委員会を設置している。【山田豊】
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