今冬の移籍市場でベティスにレンタル移籍加入したブラジル代表FWアントニーが、5日に入団会見に出席した。スペインメディア『マルカ』が会見の模様を伝えている。
アントニーは2022年夏、総額1億ユーロ(当時のレートで約139億円)もの移籍金でアヤックスからマンチェスター・ユナイテッドへ完全移籍。しかし、マンチェスター・ユナイテッドでは安定したパフォーマンスを見せられず、恩師のエリック・テン・ハフ元監督がクラブを離れ、ルベン・アモリム新監督が率いるようになったチームでは、ベンチを温める機会も増加していた。
今季は公式戦14試合のピッチに立って1ゴールを挙げているものの、先発での出場機会はわずか3試合と限定されており、冬の移籍市場ではベティスへのレンタル移籍を決断。買い取りオプションの付帯していない“ドライローン”でスペインへやってきたアントニーは、2日に行われたラ・リーガ第22節アスレティック・ビルバオ戦に先発出場し、既にベティスデビューも飾っている。
そんなアントニーは会見において、ベティス行きを決めた理由について「多くのオファーがあったことも事実だけど、ベティスがオファーをくれた後、妻と話をしたんだ。落ち着いて考えを巡らせると、心の中に確信が生まれた」と説明。マンチェスター・ユナイテッドで失いかけていた自信を取り戻すため、「自分自身が幸せだと感じることができれば、物事は良い方向へ流れていく。ここに来てまだ日が浅いけど、既にすべてを気に入っているよ。自分自身とうまく向き合い、多くのプレー時間を確保できるように全力を尽くす」と意気込むと、次のように個人としての目標も口にしている。
「僕の望みは、自分自身がベストだと思える姿を取り戻すこと。それがサッカー選手として幸せになるための第一歩だと思っている。まだ加入したばかりだけど、既にクラブと街にはポジティブな印象を持っているし、家族も僕も幸せだよ。だからこそ、今は自分のベストを尽くすことに集中し、チームを助けるために毎日ハードワークを続けたい」
マンチェスター・ユナイテッドで過ごした2年半については、「2つのタイトルを獲得するなどとても良い時期も過ごしたけれども、正直に言うと苦しい時期もあった」と告白。「ベティスからのオファーについては、考えを改める必要はないと感じたんだ。実際にここでプレーした友人たちは、いつもクラブや街のことをポジティブに話してくれる。もちろん、マンチェスターには感謝しているけれど、ここに来ることができてとても幸せだよ。僕の家族は、僕が経験した困難な時期を知っている。みんながくれたポジティブなメッセージに感謝したいし、妻と子どもたちと一緒にここにいられることを喜ばしく思う」と語った。
また、アントニーのレンタル移籍契約については買い取りオプションがついていないため、シーズン終了後に一度はマンチェスター・ユナイテッドへ戻ることが決まっている。「もっと長くここにいるためには会長に相談しなければならないが、そんなことを今の段階で考えるのは意味がない」と自らの考えを明かすと、「ゴールやアシストなど、目に見える結果を残すため、毎日を楽しみながら全力で過ごす。それが今の僕にできることだし、チームや監督を助けることができれば、何かが起こるかもしれないね」と話している。
ラ・リーガ第22節を終えた時点で、ベティスは7勝8分7敗で勝ち点「29」を獲得し、10位につけている。ラ・リーガでの浮上、そしてカンファレンスリーグ(ECL)での上位進出が求められるシーズン後半戦に向けて、アントニーは「ベティスは偉大なクラブだからこそ、常にトップで戦わなければならない。ECLの戦いも待っているし、可能な限り多くの目標を達成できるよう、全力を尽くすつもりだ」と意気込んだ。
【ハイライト動画】アントニー、ビルバオ戦で先発デビュー!