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まもなく開幕を迎える今季J1にあって注目すべきポイントとなるのが、移籍した選手たちがどんな活躍を見せるのか、である。とりわけ今季は、近年のJ1で上位争いを繰り広げてきたクラブで主力選手の出入りが目立つだけに、優勝争いを占ううえでも、重要なカギとなりそうだ。
とはいえ、古今東西を問わず、そうした"大物移籍"が必ずしもうまくいくとは限らないのが、サッカーの世界である。
はたして、新天地を求めた大物たちは、期待どおりの活躍ができるのか。今季J1の注目すべき移籍組を挙げてみたい。
まずは日本代表(A代表)経験を持つふたり、西村拓真と畠中槙之輔である。いずれも横浜F・マリノスから、西村はFC町田ゼルビアへ、畠中はセレッソ大阪へと移籍した。
豊富な運動量を生かし、強度の高いプレーを連続できる西村は、町田との相性もよさそうだ。トップでも2列目でもプレーできる自在性も魅力である。
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しかしながら、横浜FMと町田では志向するサッカーが大きく異なる。新たなスタイルに適応するには、意外と時間がかかるのかもしれない。
畠中にしても、守備だけでなく、足元の技術とパスセンスにも長けており、センターバックの人選に苦労したC大阪にとっては、願ったり叶ったりの補強だろう。
しかし、今季から新たにアーサー・パパス監督を迎えたC大阪が、どんなサッカーをするのか。その点において未知な部分は多い。立て直し段階にあるチームに新戦力として加わる作業は、簡単なものではないはずだ。
続いてはサンフレッチェ広島絡みのふたり、松本泰志と田中聡である。松本が広島を離れて浦和レッズへと移った一方で、田中は湘南ベルマーレから広島に加わった。
ボランチでも2列目でもプレーできる松本は、持ち前のしなやかさに力強さが加わったプレーで昨季大きくブレイク。浦和にとっては頼もしいMFの加入である。
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だが、浦和は昨季優勝候補と目されながら、まさかの13位に低迷。一昨季指揮を執ったマチェイ・スコルジャ監督を昨季途中に呼び戻すも、巻き返しにはつながらなかった。
それだけに危機感は強く、今夏のクラブワールドカップも見据えた戦力補強が進められたこともあり、チーム内の人材は豊富でポジション争いが激しい。昨季優勝争いを経験した松本といえども、シーズンを通してのポジションが確約されているわけではない。
一方、松本と入れ替わって広島入りした田中は、ボール奪取能力に優れたボランチ。松本とはタイプが異なるが、縦パスを通すセンスもよく、攻撃面での働きにも期待がかかる。
しかしながら、田中はコルトレイク(ベルギー)へ期限付き移籍したものの、思ったような出場機会が得られず、湘南に復帰した経験を持つ。国内と海外の違いこそあれ、新たな環境で力を発揮することの難しさは、田中自身が誰よりよく知っているはずだ。
そのほかでは、J2降格クラブからJ1"個人残留"を果たしたふたり、ジャーメイン良と岡村大八にも注目したい。
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昨季J1得点ランク3位タイとなる19ゴールを記録した、ジャーメイン良はジュビロ磐田から広島へと移籍。優勝争いを繰り広げた強豪への移籍は、大きなステップアップと言ってよく、優勝にあと一歩届かなかった広島にとっても、頼もしい得点源の加入だろう。
とはいえ、一昨季までのジャーメインのJ1通算ゴール数は、6シーズンで11。長くコンスタントに結果を残した実績はなく、いわゆる"2年目のジンクス"に苦しむ可能性がないわけではない。
しかも、今季の広島はJ1制覇こそが絶対の目標。そのプレッシャーのなかで、点を取り続けることは簡単ではないはずだ。
同じことは、コンサドーレ札幌から町田へと移籍した岡村にも言える。
立正大を卒業後、当時J3のザスパクサツ群馬に入った岡村は、J3→J2→J1と着実に前進。J1での4シーズンを過ごした札幌では、身長183cmを生かした空中戦はもちろんのこと、長身ながら意外なほどに軽やかなステップワークを操る地上戦にも強いセンターバックとして、自身の地位を固めてきた。まだまだ伸びしろを感じさせる選手だけに、札幌のJ2降格にもかかわらず、岡村自身がさらなるステップアップを遂げたことは、今後への楽しみが膨らむ。
ただ、前述のキャリアが示すとおり、優勝争いとは縁遠いところでプレーしてきた岡村にとって、町田で受けるプレッシャーはこれまでとはまったくレベルの違うものだろう。
ジャーメインも含め、彼らのキャリアにおいて、今季は重要な分岐点となるのかもしれない。
そして最後に、外国人選手ではあるものの、注目の移籍という意味で触れないわけにはいかないのが、レオ・セアラである。
昨季C大阪でJ1得点ランク2位となる21ゴールを挙げたレオ・セアラは、今季鹿島アントラーズへ移籍。横浜FM時代の2シーズンを含め、4季連続でふた桁ゴールを記録している点取り屋の移籍は、C大阪にとっては痛く、鹿島にとっては頼もしいものだろう。
だが、近年監督交代が目立つ鹿島は、今季も新たに鬼木達監督を迎えたばかり。試行錯誤が続いたチームは、いわば再建途上にある。だからこそ、計算できるストライカーの存在は頼りになるとも言えるが、その能力を思ったほど生かせない可能性もあるだろう。
このシーズンオフ、例年以上に活発な動きを見せた主力級選手の移籍は、吉と出るのか、凶と出るのか。
その結果が、優勝争いの行方にも大きく影響しそうな気配である。