画像提供:マイナビニュースUber Japanと電脳交通は2月6日、戦略的パートナーシップの締結を発表した。Uberが提供するタクシー配車アプリ「Uber」と電脳交通が提供するクラウド型タクシー配車システム「DS」を連携させることで、一般利用者の利便性の向上、タクシー事業者の収益性の向上のみならず、地方交通の維持、そして地域経済の発展にも貢献していくとしている。
○提携で何が変わる?
電脳交通は徳島県のタクシー事業者。同社が提供するクラウド型配車システム「DS」は、これまで全国47都道府県・約600社のタクシー事業者に導入され、いま約2万台のタクシー車両で稼働している。電脳交通の近藤洋祐氏はDSについて「お客さんが効率的にタクシーを手配できる状況をつくりたい、またタクシー業界で働く人の業務負担も減らしたい、そんな思いで構築したシステムです」と紹介する。
一方で、Uberは言わずと知れた世界最大のモビリティプラットフォーム。現在、世界70か国以上・10,000都市以上で配車サービスを展開している。日本国内においては、タクシー、プレミアム(ハイヤー)、日本版・公共ライドシェアなどを展開中。Uber Japanの山中志郎氏は「いま19都道府県においてUber Taxiをご利用いただいています。主要都市だけでなく、地方都市、観光地でも利用できる状況となりました」とアピールする。同社では、2027年までに対応エリアを全国47都道府県まで広げたい考え。そこで今回の電脳交通との戦略的パートナーシップに大きな期待を寄せる。
Uber利用者は、これまで通りUberアプリを通じてUber提携のタクシー会社に配車を依頼できるほか、新たに電脳交通のDSを利用しているタクシー会社も利用できるようになる。またDSを利用中のタクシー会社にとっても、これまでリーチできていなかったUber利用者に乗車してもらえるメリットがある。山中氏は「Uberと電脳交通の両社間で、システム開発も完了しました。今後、タクシーの乗務員さんはDS端末のみで、従来の配車依頼+Uberアプリを介した配車依頼、の両方に対応できます」と説明する。
すでに、愛知県名古屋市内で第四フジタクシーと第五フジタクシーを運営するFTGホールディングスにおいてトライアルを実施済み。その反応について、近藤氏は「現場ではスムーズに運用してもらえました。配車スタッフ、ドライバーさんからは『すぐに使いこなせた』という声をいただいたほか、事業者としての収益拡大についても『驚くほどの効果が得られた』と報告してもらえました」と笑顔を見せる。
ちなみに日本を訪れる外国人観光客の急増にともない、訪日客がUberアプリを使うケースも増えている。山中氏は「現在、約130もの国と地域から訪れたユーザーが、慣れ親しんだUberアプリを使って日本国内を移動しています。50の言語に対応しており、母国語のUIが使える安心感があります」と説明する。アプリのチャットは自動翻訳機能にも対応しており、例えば迎車時にタクシードライバーが『これから向かいます』といったことを日本語で入力すれば、タクシーを待つ訪日外国人観光客に正しく伝わるシステムになっているという。
Uber Japanと電脳交通は、地域振興の観点でも協力していく。山中氏は「このパートナーシップにより、交通空白地を含む地方交通の問題を解消します。日本全国で、よりスムーズにUber Taxiをご利用いただける環境を整えていきますし、タクシー会社さんとも長期的に良好な関係を築いていきたい。このような活動を通じて、ひいては地域経済の発展にも貢献していければと考えています」と話す。
また近藤氏は、名古屋で実施したトライアルを例に出して「もともと地元のお客様しか乗せていなかったタクシー会社さんが、追加でUberユーザーの方を乗せるようになります。まったく異なる客層を新規で獲得できるわけで、とても大きな魅力になると感じています。これがタクシー業界の活性化につながり、ひいては交通空白地の解消につながると信じています」とむすんだ。
近藤謙太郎 こんどうけんたろう 1977年生まれ、早稲田大学卒業。出版社勤務を経て、フリーランスとして独立。通信業界やデジタル業界を中心に活動しており、最近はスポーツ分野やヘルスケア分野にも出没するように。日本各地、遠方の取材も大好き。趣味はカメラ、旅行、楽器の演奏など。動画の撮影と編集も楽しくなってきた。 この著者の記事一覧はこちら(近藤謙太郎)