みなさんこんにちは、野球大好き山本萩子です。
茂木栄五郎選手のヤクルト入団が決まりましたが、ファンはみなワクワクしています。
楽天の中心選手として活躍した茂木選手は、守備はもちろん、天才的なバッティングセンスを持つパ・リーグ屈指のバッターとして知られていました。そこで、彼の天才ぶりを示すエピソードをひとつ。
ドラフト1位で近鉄に入団し、オリックス、ヤクルトでも活躍して2022年に引退した坂口智隆選手も、現役時代に茂木選手のバッティングを参考にしていたと聞きます。10歳下の選手のバッティングを参考にしていた、と言い切れる坂口さんも素敵ですが、坂口さんの言葉を借りれば、茂木選手の打撃はバットコントロールが素晴らしく、まさに「天才的」なのだとか。
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早稲田大学時代、神宮球場を舞台にベストナインやホームラン王を獲得するなど大活躍した茂木選手は、楽天に入団して2年目の2017年には1番打者に固定され、17本塁打を放つなどパワーも見せました。
2019年には141試合に出場しましたが、チームの方針もあるのか、徐々に出場機会を減らし、昨季は代打中心での出場となりました。ただ、打席に立つ機会は減ったものの、打撃の能力は健在です。
出場機会が増えれば、打撃だけでなく、内野もすべて守れるユーティリティさも見せてくれるはずです。それでも、茂木選手がFA宣言をした時に、ヤクルトがすぐに手を上げたのには驚きました。これまでヤクルトは、FA選手の争奪戦に積極的に参戦することが少なく、どちらかといえば一歩引いた立場を貫くことが多かったからです。
ここ数年のヤクルトの"アキレス腱"は内野でした。昨季に長岡秀樹選手が台頭したことでショートのスタメン争いは決着を見たようにも思わせますが、山田哲人選手がベテランの域にさしかかり、村上宗隆選手も来年の海外移籍が濃厚とあって、内野の補強は急務でした。
先日の練習で、茂木選手はセカンドの練習もしていましたし、内野のスタメン争いに加わってほしいです。そうして主力選手や、若手の刺激となってくれることを期待しています。
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ヤクルトの代打のスペシャリスト&打撃の天才といえば川端慎吾選手が頭に浮かびますが、茂木選手も川端選手と同じようにファンに愛される選手になりそうです。FA宣言後、楽天の退団が決まった時に、球団が愛を込めた惜別のメッセージムービーを作ったことからも、いかにファンから愛されていたかがわかります。きっと真面目で努力家で、素敵な人柄なんでしょう。
茂木選手は大学時代。持病の不整脈の治療で1年間を費やしたそうです。その苦い経験があるからこそ、野球ができる喜びが心の奥底にあるような気がします。若手だけでなくチームの手本になる存在であり、誰からも信頼されてきたからこそ、楽天ファンは別れを惜しんだのでしょう。
他球団からヤクルトに移籍して活躍した左打者といえば、古くは小早川毅彦さんが思い浮かびます。小早川さんが移籍してきたのは1997年。開幕戦で巨人のエース、斎藤雅樹投手から3打席連続ホームランを放って伝説を残しました。
ちなみに、その年のスローガンは「捲土重来」で、奇しくも今年のチームスローガンと一緒なんです。1997年は、ヤクルトが一度も首位を譲ることなく優勝。それと一緒というわけにはいかないでしょうが、今年は茂木選手が救世主となる、という未来も見えてきます。
今季、茂木選手が打席に立った時は、坂口さんが認めた天才として、すべてを堪能しようではありませんか。たとえ三振であっても、それにはきっと理由があるはず。茂木選手の一挙手一投足に注目することで、シーズンがもっと楽しくなることでしょう。
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構成/キンマサタカ 撮影/栗山秀作