



嬉しそうに夢を語るケント。私は状況がのみこめず、ポカンとしてしまいました。会社を辞める? お店を開いて独立!? 私のお腹には赤ちゃんがいるのです。これから一緒に親になろうというときに……。頭がクラクラしてきました。



ケントの耳に私の言葉は届きません。実際に会社を辞めるとなると、今住んでいる社宅からも引っ越さなくてはいけません。現実の厳しさにぶち当たるうち、熱も冷めるだろうと思っていました。しかし2ヶ月ほど経ったある日……。


思い込んだら一直線。そんなケントに熱烈に愛され、幸せな結婚生活がはじまるはずでした。しかし好きなことに全力で熱意を注ぐ「長所」は、周りのことを考えず自分勝手に突っ走るという「短所」でもあったのです……!
ある日突然「会社を辞めてラーメン屋になる」と言い出したケントに、私はあぜんとします。ただの思い付きで突っ走っているだけなら、じきに現実的な問題に行きあたってあきらめるだろうと思っていました。けれどケントは本当に会社を辞めてきてしまったのです。私とお腹の子どもは、いったいどうしたらいいのでしょうか。
【第2話】へ続く。
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