オグリキャップをモチーフにデザインされたユニフォーム (C)FC GIFU、24年12月14日時点でパートナー締結しているユニフォーム 岐阜から羽ばたいた名馬の勇姿再び。笠松競馬でデビューし、90年の有馬記念など中央GIで4勝を挙げたオグリキャップは今年3月27日に生誕40年の節目を迎える。岐阜県をホームタウンとする明治安田J3リーグ所属のFC岐阜は、今シーズンのユニフォームでオグリキャップ生誕40周年コラボを実現させた。かつて日本中を沸かせたヒーローのような活躍を。“勝負服”にかけた思いやこだわりとは。
地元・岐阜への思いが詰まった一枚だ。白地に一際目立つ水墨画風に描かれた馬の姿。今季、FC岐阜はオグリキャップを主にアウェイの試合で着用する2ndユニフォームのデザインコンセプトとした。仕掛け人のひとり、営業グループリーダーの東武良さんによると岐阜にまつわる名物を探していたとき、いき着いたのがオグリキャップの存在。主にホームで着用する1stのデザインはクラブカラーの緑を基調としているが、2ndはこれまで「白」を使っておりオグリキャップの芦毛はイメージとあった。さらに同馬が今年で生誕40周年を迎えることも追い風となり、企画を推進した。
県外へのアピールにもなる。アウェイで使う機会が多いことから、選手やファンが着用すれば、それだけで岐阜の魅力発信に直結。加えて2ndユニフォームは1stユニフォームに比べて販売枚数が少なく、話題性が高まることで課題の解決にもつながると考えた。
ただ、実現までには苦労も。「準備にかけた時間は例年の倍か、それ以上」と東武さんは振り返る。もともとオグリキャップの関係者とは面識がなく、許可を得るにあたり様々な関係者のご縁を頼りにして、最終的にオーナーからの許可を得た。続いて壁となったのはJリーグの承認。プロスポーツとあって、人物画など政治的なメッセージになり得るものは避けなければいけない。これまで「馬」がデザインされたユニフォームは他クラブを含め前例が無く、すんなりとはリーグの許可が降りなかったという。
それでも東武さんをはじめ、FC岐阜の熱い思いが状況を動かした。当初よりも抽象的なデザインにすることで、Jリーグからもお墨付きを得た。いよいよ実現が見えてくると、笠松競馬や笠松町にも出向いた。取り組みは関係者からも好評で、晴れて採用が決定。東武さんは「多くの人たちの理解、協力が無くしては、今回のユニフォームは実現していません」と感謝の思いを口にした。
今後は笠松競馬場でのイベント、ホームゲームでの競馬コラボも検討中。さらには新たなグッズの制作も構想にあるという。FC岐阜の2025シーズン開幕戦は2月16日。アウェイでFC大阪との対戦となり、さっそく今回のユニフォームを着用する予定だ。「岐阜から日本の頂点を取った馬なので、我々もそれにあやかり、“岐阜から頂点”を目指したいです」。名馬のサクセスストーリーにチームを重ね、今シーズンの長い戦いに挑む。