「無印良品」を展開する良品計画は2024年11月、ペット用品として猫関連アイテムの本格展開を始めた。同社はこれまでも「猫草栽培セット」といった猫関連の商品を手掛けてきたが、なぜこのタイミングでペット用品の品ぞろえを拡充し、本格的に取り組むことにしたのか。生活雑貨部の阪田一馬さんに、今後の展開も含めて話を聞いた。
●ペット用品の本格展開を開始、まずは猫アイテムから
良品計画は「感じ良い暮らしと社会」の実現に向けて、生活者の日々の暮らしを豊かにする基本商品のラインアップを拡充している。阪田さんによると「あらためて『暮らし』を振り返った際、昨今はペットを家族の一員として迎え、共に生活する人が増えていることが分かった」という。
ペットフード協会が発表している「2024年 全国犬猫飼育実態調査」によると、国内の猫飼育頭数は915.5万頭、犬飼育頭数は679.6万頭。厚生労働省が発表した2024年4月時点における子どもの数(15歳未満人口)が約1401万人であることを考えると、国内では子どもの数よりもペット数のほうが多くなっている。
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「ペットと暮らす家庭が増える中、無印良品としてはこれまでペットとの共存を『生活シーン』と捉えた商品を展開してこなかった。そのためこのタイミングで品ぞろえを始めた」
ペットの中でも猫関連商品から始めた理由は「環境省が定めた基準でも猫は室内飼いが推奨されていることから、これまでの知見を生かしながら家の中で人と猫がストレスなく生活できる商品を開発しようと考えたため」だという。
人が使って気持ち良いもの、安心できるものを、家族の一員である猫にも共有してほしいという思いから、素材を生かしたごはんやおやつ、無印良品の定番家具と同じシリーズの猫用家具を発売した。
●「食べる」「過ごす」の2カテゴリーで展開
2024年11月の発売時には、暮らしの基本である「食べる」と、住空間を快適にする「過ごす」の2カテゴリーに分けて商品を展開している。
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食べるのカテゴリーでは、総合栄養食「素材を生かした猫のごはん 魚だし香る国産鶏肉と玄米」(50グラム250円、500グラム1790円)や、グルテンフリーで化学調味料や着色料、増粘剤(ぞうねんざい)を使用せず、国産米粉を使用した乳酸菌入りのおやつ「ピューレ」4種類(ささみ、まぐろ、おさかなミックス、かつお各350円)をラインアップ。
ピューレは、野菜風味を含む複数の候補を検討し、最終的にモニターの猫にも食いつきが良かった味を採用した。
「磁器 ペット用フードボウル」(小790円、大990円)は、無印良品の定番食器「日常の器」シリーズと同じ素材、カラーでつくり、猫が食べやすいようにフードボウルの高さを変えられる「木製スタンド」(小1290円、大1490円)も用意した。
「暮らす」のカテゴリーでは、猫用の「スタッキングシェルフ」(3列セット3万9900円、5列セット5万9900円)や「壁に付けられる家具猫用ステップ」(6990円)のほか、「丸洗いできる ペット用クッション」(ミニ1490円、通常3990円)を発売。既存の人向け商品で信頼を得ているものを、猫にも使いやすいような形状にするなど工夫を加えた。
猫用のスタッキングシェルフ(正方形の窓を単位としてつくられた木製棚)は、猫が階段状になった本体を登ったり、縦穴と横穴を通ってシェルフの中を移動できる仕様で、無印良品の定番商品「スタッキングシェルフ」との連結もできる。追加パーツとして、穴の開いたデザインのオープンタイプや、穴なしで猫が休める空間をつくれるクローズタイプの「木製ボード」(4990円)も発売した。
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クッションは猫のひっかきにも強い生地を採用。カバーは取り外し可能で、中身とカバーの両方を洗濯機で丸洗いできる仕様にした。ミニクッションは収納用品の「やわらかポリエチレンケース・中」(690円)などの中に入れると、ペットベッドとしても使える。
●特に好評なのはクッション
発売から約3カ月が経過したが、販売状況は「予定通り推移」しており、特にクッションやフードボウルが売れているという。
一方で、ペット用品としてはまだ認知を広げている段階なので、飼い主が家族の一員であるペットのために安心して選べるよう、積極的に情報を発信していきたいとしている。
今後については「日常の必需品としては、まだ品ぞろえが不十分だと考えている。おもちゃやケア用品など、段階的に開発していきたい」とのことだ。
同じペット用品として、犬関連の発売予定はあるのか。阪田さんによると「現状のラインアップでも犬猫兼用のものもある。そうした商品の品ぞろえを増やしながら、段階的に検討していきたい」という。無印良品から今後どのようなペット用品が発売されるのか、引き続き注目したい。
(熊谷ショウコ)
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