今後“省エネ基準”の古い家は“資産価値”が落ちる!? 「建築物省エネ法」改正による“新しい家選びの基準”を専門家が解説

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2025年02月10日 21:10  TOKYO FM +

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今後“省エネ基準”の古い家は“資産価値”が落ちる!? 「建築物省エネ法」改正による“新しい家選びの基準”を専門家が解説
杉浦太陽と村上佳菜子(※今回は村上がお休みのため、代演パーソナリティとしてハシヤスメ・アツコさんが出演)がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30〜7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。

2月9日(日)の放送テーマは「買う前に知ろう! 家選びの新しい基準」。国土交通省住宅局 参事官付課長補佐の平山鉄也さんに、いろんなメリットがある「ZEH水準の住宅」について伺いました。


(左から)杉浦太陽、平山鉄也さん、代演パーソナリティのハシヤスメ・アツコさん



◆「ZEH」「ZEH水準」とは?

新築の家を建てたり購入したりする際、間取りの広さなど、こだわりたいポイントは人によってさまざまです。そのなかでも、今後、家選びをするときは、「ZEH(ゼッチ)」水準の省エネ性能がある住宅が推奨されています。

ZEHとは“ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス”の略で、断熱性能の高い窓や外壁、高効率な冷暖房機や給湯器などを導入することでエネルギー消費量を大きく削減します。さらに、自らエネルギーを創り出す太陽光発電などによって、1年間でエネルギーを使う量と創り出す量のバランスをプラスマイナスゼロ(実質ゼロ)にすることを目指した住宅のことです。

また、太陽光発電などエネルギーを創り出すことは求めないものの、ZEHに求められる高断熱・高効率の省エネ基準をクリアすることを「ZEH水準」と言います。

◆「建築物省エネ法」改正で何が変わる?

2025年4月から「建築物省エネ法」が改正され、原則すべての新築住宅や建築物は“省エネ基準に適合すること”が義務づけられます。さらに、遅くとも2030年には省エネ基準の最低ラインが引き上げられて、ZEH水準の省エネ住宅でないと建てられなくなります。また、戸建てだけではなくマンションなどの集合住宅も該当します。とはいえ、あくまでも対象は新築の住宅や建築物ですので、これまでの住宅が住めなくなるわけではありません。

この「建築物省エネ法」改正の背景には、「2050年のカーボンニュートラル実現」や「2030年度の温室効果ガスの排出削減目標(2013年度比で46%削減)の実現」といった目標があります。そのためには、日本のエネルギー消費量の約3割を占める住宅・建築分野の取り組みが必要不可欠です。

◆新築を建てるなら「ZEH水準」の省エネ住宅を!

住宅の資産価値を考えると、これからの家選びはZEH水準の省エネ住宅がオススメです。その理由について、平山さんは「例えば、住宅には耐震基準が設けられていますが、古い耐震基準の住宅だと“家が古い”というだけでなく、住宅ローン控除や補助金の優遇措置の対象外になるなど、次の購入者から敬遠されがちになり、資産価値がグッと落ちる可能性があります。これと同じように、古い省エネ基準の家も敬遠される可能性があります」と説明。

あなたが今年、省エネ基準の最低ラインをギリギリでクリアする住宅を建てたり、購入したとしても、5年後の2030年には省エネ基準がZEH水準まで引き上げられます。そのため、5年先を見据えてZEH水準の省エネ住宅を選ぶことが、家選びの新しい基準になります。

さらに、現在はZEH水準の省エネ住宅の導入コストが、以前ほど高額にならない傾向があります。「今なら補助や住宅ローン減税などの支援策も手厚く用意されていますが、これは省エネ住宅が当たり前でない今だからこそ出るもので、当たり前になった後にはなくなってしまうかもしれません」と話します。

◆「ZEH水準」の省エネ住宅のメリット

続いて、ZEH水準の省エネ住宅のメリットについて注目します。経済面でのメリットは“光熱費の削減”です。省エネ住宅は、断熱性能が高く熱の出入りが少ないため、冬は暖かく夏は涼しいのが特徴です。そのため、ZEH水準の省エネ住宅で節約できる年間の光熱費を算定すると、東京23区の場合、今の省エネ基準の住宅と比べて4万6,000円ほど安く抑えられます。

また、健康面のメリットも多く得られます。断熱性能が高い省エネ住宅は、ヒートショックや高血圧症の防止、心臓病など循環器疾患や熱中症の予防、さらには住宅内で活発に活動できることが期待でき、住む人の健康づくりにつながるとされています。「例えば、リフォームで断熱性を改善したら、寝起きの最高血圧が3.5も低下したというデータもあります」と平山さん。

WHO(世界保健機関)では、世界の医学論文などを参考に「冬の室温18度以上」と「住宅の断熱」を進めています。国土交通省でも、リフォームで高断熱住宅にした場合の健康への効果を調査したところ、WHOの勧告を裏付けるような結果を得ています。

在宅中の冬のリビングの平均室温を青森県・島根県・宮崎県をのぞく都道府県で調査したところ、18度以上あったのは北海道、新潟県、千葉県、神奈川県のわずか4つの道県のみでした。温暖な地域ほど平均室温が低い傾向がみられ、最も低いのが香川県の約13.1度、続いて大分県の14.9度です。

断熱性の高い家は、冬の寒さや冷気だけでなく夏の暑さや熱気も室内に入りにくい構造なので、熱中症予防の面から考えても、断熱性能の高い住宅は温暖な地域でもオススメです。

改めて、平山さんは「4月から今の省エネ基準を満たす住宅しか建てられなくなり、遅くとも2030年にはZEH水準の省エネ住宅以上の省エネ性能でなければ建てられなくなります。これから家を購入する方は、住宅の省エネ性能について理解を深めましょう」と呼びかけました。

今回の内容を詳しく知りたい方は、国土交通省の「家選びの基準変わります」のページをご覧ください。各種優遇制度についても、こちらのページから確認できます。また、地方公共団体などの独自の補助金については「お住まいの都道府県名 省エネ住宅 補助金」で検索し、助成事業のホームページへアクセスしてください。

番組のエンディングでは、杉浦とハシヤスメさんが今回学んだ「家選びの新しい基準」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。ハシヤスメさんは“これから家選びするならZEH水準の省エネ住宅がおすすめ”とポイントを挙げ「今日のキーワードは『ZEH』です!」と声を大にします。続いて、杉浦は「家を買うのは人生の一番の決断になりますから」と言い、“今年の4月から改正建築物省エネ法が施行されます”と省エネ基準適合の義務化をアピールしました。


(左から)杉浦太陽、代演パーソナリティのハシヤスメ・アツコさん



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2月9日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年2月17日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30〜7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
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