『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の主人公、両津勘吉。豪快な生き方でいつもポジティブな印象がある彼だが、実は苦労した過去を持っている。今回はそんな両津勘吉が経験してきた苦労などの過去について見ていきたい。
■佃煮屋を飛び出す
中川を引き連れて地元浅草に戻った両津。中川は「実家や吉原に戻ったらどうですか?」と話し、車を向かわせる。
実家の佃煮屋を見た両津はすぐに帰ろうとするが、中川は「ここまで来たんですから、挨拶してきたほうが…」と促すが「うるさいな、色々事情があるんだよ」と拒否する。
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両津は「オヤジが店をつげと毎日毎日しつこく言ったのが始まりだ」「頭にきてゴキブリの佃煮を店に出して、オヤジに見つかり大喧嘩だ。わしはオヤジを勘当してやった。そして家を飛び出したんだよ」と説明。
中川は「自分の家でしょ」と帰るよう促すが、「朝昼晩はもちろん、弁当にまで佃煮を入れやがって、おかげで佃煮中毒になってしまった。今思うと、新しく作った佃煮の実験をしていたってわけだよ。自分の息子をなんだと思ってんだ」と愚痴をこぼした。(7巻)
佃煮が嫌で家を飛び出し、「帰りたくない」と両津と、そんな葛藤が理解できないお坊ちゃま育ちの中川。2人の違いも浮き彫りになった回だった。
■刑事になるも上司が殉職
大原部長から「両津が刑事課にいた」という事実を聞いて驚く中川。両津はこの日不在で、元上司・南部の墓参りに行っていた。
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20年前、検挙率の高さから「ガラガラヘビの両津」と言われていた両津。その力が認められ刑事課に配属されると、上司の南部と組む。そして大田黒組の組長を追い、家の前で張り込むと、自動車に乗った大田黒が現れる。南部は賭博容疑で身柄を確保する。
ところが大田黒のボディーガードに南部が狙撃されてしまう。両津は南部を気遣うが、「俺に構わずやつを追え」「ゆけ、両津」と声をかけられる。気合が入った両津は大田黒にヘッドバッドやパンチを連発し、気合で逮捕した。
南部はその後、狙撃された際にできた傷が原因で死亡してしまう。そして両津も何かを感じたのか外勤を希望し、派出所に戻ってきたのだ。大原部長は当時を振り返り「投げた手榴弾を投げ返されたみたいだよ」と話した。(41巻)
刑事としての力を誰からも評価されていた両津。そんな彼が刑事として遭遇した悲劇と外勤に戻った難しい決断は、普段の陽気な彼からは想像できないものだった。
■出生時にも大地震が……
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時は昭和20年代。両津銀次が雨の中お産婆さんを呼びに行き、おぶって家に帰る。すると、母が産気づいていた。
陣痛に苦しむ嫁を前に、銀次は「明日は重馬場になりそうだ」と競馬新聞を読む。さらに地震が襲い、銀次はタンスを抑える。そのとき、両津勘吉がこの世に生を受けたのだ。
すると地面に花札の「赤短」ができていた。そして生まれた勘吉も、花札を見ていたのだった。(69巻)
出生時にも競馬新聞を読む父親と、地震発生、そして花札。両津は覚えていないだろうが、あまりいい環境とはいえないだろう。
■悲しみも描かれている『こち亀』
こち亀には様々なシーンが登場するが、両津が抱える悲しみも描かれている。悲しい経験しているからこそ、それをバネに強欲で負けず嫌いでハングリーな両津勘吉が生まれたのかもしれない。
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