タイに移住した日本人が明かす「生活費は月5万バーツ(約23万円)」のリアル。現地でカフェ経営に失敗しても…

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2025年02月14日 09:21  日刊SPA!

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ひろたんさん(写真右)とタイ人スタッフ
長引く不況や将来への不安から、海外で新たな挑戦を決意する日本人も少なくない。
YouTubeチャンネル「タイさんぽ隊ひろたん」を運営する“ひろたん”さん(31歳)。彼は20代でタイに魅了され、パタヤのラン島でカフェをオープンするも大失敗。それでも諦めず、シラチャにある日系の製造会社に現地採用で就職し、現在は駐在員として働いている。

今回は、そんなひろたんさんのタイ生活のリアルに迫る。

◆中学時代から“子役”として活動するも「役者一本でやっていけるか?」

福岡出身のひろたんさんは、中学生の頃から芸能活動を始め、地方CMやドラマに出演した。

「高校卒業後も芝居を続けたくて、福岡の大学で学びながら、劇団にも入って舞台や芝居に没頭する日々。大学卒業後は役者を目指して上京し、事務所に所属しながら活動を続けました。ただ、役者一本では食べていけません。そこで、学生時代に起業した友人のIT系会社でアルバイトもしていました」

演技の世界は実力だけでなく、運やタイミングの要素も大きいだろう。不安定な生活が続く中で、ひろたんさんは「このまま役者一本でやっていけるのか?」という不安が募っていったという。

◆役者から旅系YouTuberに転身

転機となったのは25歳のとき。初めての海外旅行でタイを訪れたことだった。

「大学では芝居とアルバイトに追われていました。周囲が次々と海外に行くのを見て、正直悔しい気持ちもありました。でも、25歳のときにアルバイトしていたIT企業で正社員となり、リモートワークが可能になったことで、海外を巡りながら働くことを決意しました」

ちょうどその頃、YouTubeやTikTokが流行するなかで、映画業界も採算が取れなくなっていると感じていた。

「このまま役者を続けても、成功するのは宝くじに当たるようなものじゃないか?と思い始めたんです。それなら自分で何か発信しようと、そこから旅系のYouTuberとしての活動を始めました。東南アジア、ヨーロッパ、中東と1ヶ月ごとに国を変えながらノマド生活を送り、気づけば30カ国を旅しました。その中でもタイが一番住みやすかったですね」

その中でもリゾート地として知られるパタヤは居心地がよく、自然と友人の輪も広がっていった。YouTubeやITの仕事を続けるうちにタイの生活に馴染み、次第に“ここで事業を始めたい”という思いが強くなっていったという。

◆ラン島でのカフェ経営と挫折

2023年11月、パタヤの知人の協力を得て、パタヤ近くのラン島で貯金をはたいてカフェをオープン。ラン島は年間を通じて観光客が多く、ローシーズンでも一定の集客が見込めるため、成功のチャンスは十分にあると考えた。

「しかし、オープン直後、思わぬ壁にぶつかりました。未開発エリアの店舗だったため、住所がなくて会社登記ができず、ワークパーミット(就労許可証)が下りなかったんです。僕自身は店に立つことができず、営業はできても事実上の“オーナー不在”の状態が続きました」

さらに、日本人経営ということから近隣の飲食店オーナーたちからの“嫌がらせ”もあったという。

「ラン島はパタヤと違い、部外者を受け入れる風潮があまりありませんでした。タイ人経営の店から警戒され、住所の手続きも遅々として進まず……。『それならパタヤでやろうかな』と考えるようになりました」

こうした厳しい現実の中で撤退を決断。わずか半年でカフェを閉店させることとなった。

◆現地採用スタッフから駐在員へ

その後、ひろたんさんが向かったのは、パタヤから車で約40分の距離にある日本人街・シラチャだった。

「パタヤに住み続けるために、学生ビザを取得するという選択肢もありました。しかし、リモートワークで続けていた会社が“出社”を義務づけたために退職を決意。タイで現地採用として働く道を選んだところ、いま働いている会社の社長と出会いました。面接でこれまでの経緯を話すと、『お前、面白いな』と気に入ってもらえて入社が決まりました」

入社時の給料は8万バーツ(当時のレートで約32万円)と、現地採用の日本人としては高額な方だ。これまでのIT企業での経歴が評価された結果だった。

さらに、今年からは現地採用スタッフから駐在員(本社採用)になった。これにより、日本支社とタイ支社両方から給料を受け取ることができるうえ、ボーナスやその他の手当も支給されるなど、待遇面でもまったく異なってくるのだ。

◆生活費は月5万バーツ(約22万5000円)

シラチャは日系企業の進出が多く、日本人街としても知られているが、月々の生活費はどのくらいだろうか。

「住んでいるコンドミニアムはワンルームのスタジオタイプで、家賃は9000バーツ(約4万円)です。食費は昼間は社員食堂を利用するので1食20〜30バーツ(約90円〜134円)。夜は仕事の付き合いで日本食を食べることもありますが、基本はローカルのタイ料理なので、1日の食費は1000バーツ(約4500円)ほどで、ひと月の生活費は大体5万バーツ(約22万5000円)ですね。シラチャは日本人が多く住み、日本と同じような環境で生活できるため、タイ移住を考えている人にはおすすめです。ただし、物価はやや高めなので、贅沢な暮らしを求める人には厳しいかもしれないですね」

現在、ひろたんさんは昨年6月にオープンしたパタヤのカオソーイ(※タイ北部料理のカレーラーメン)店のプロデュースにも関わっている。パートナーはカフェ時代のタイ人スタッフだ。

平日は日系企業に勤め、週末にはカオソーイ店に顔を出してYouTubeのライブ配信を行うなど、忙しい日々を送るひろたんさん。最後にこれからタイで働きたいと考えている日本人に向けてメッセージをもらった。

「タイでの生活は誘惑が多く、特に現地採用の人は流されやすいですが、成功したいという強い気持ちを持つことが大切です。いま、タイで日系企業の現地採用枠は減少していると言われていますが、日本での職歴やスキルがあれば、駐在員への登用や起業など、チャンスは十分にあると思います」

<取材・文・撮影/カワノアユミ>

【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano

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