「Xiaomi 14 Ultra」「AQUOS R9 pro」徹底比較 “ライカのカメラ”性能はどちらに軍配が上がる?

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2025年02月17日 12:21  ITmedia Mobile

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見た目は「カメラ」を連想させるデザインのXiaomi 14 Ultra

 日本は「ライカ」を冠するスマートフォンが複数販売されている世界的に見ても異例の地域だ。今回は2024年5月に発売された「Xiaomi 14 Ultra」と同年12月に発売された「AQUOS R9 pro」を比較し、両者のカメラについて比較してみることにする。


【その他の画像】


●2つの「ライカコラボのフラグシップスマホ」のスペックをチェック


 まず、両者のスペックについて、カメラを中心にチェックしていこう。Xiaomi 14 Ultraは中国Xiaomiのフラグシップスマートフォン。本機種は広角カメラ、超広角カメラ、2つの望遠カメラを合わせた計4つのカメラを備え、全て5000万画素のものを採用する。レンズはライカの「ズミルクス」を冠する高品質なものを採用する。


 広角カメラには1型の大型イメージセンサーを採用し、スマートフォンでは珍しい可変絞り機構を備える。絞りをF1.9〜4.0まで可変させることで自然なボケ表現の他、光芒(こうぼう)の演出もできる。


 望遠カメラは3.2倍(35mm換算で75mm相当)と5倍(35mm換算で120mm相当)の2つを備え、前者はレンズがF2.0と明るく最短撮影距離が10センチと寄れる。いわゆるテレマクロの撮影が可能だ。


 この他に、純正アクセサリーとしてPhotography Kitというカメラグリップが付属する。USB端子を備えたこのグリップは拡張バッテリーとシャッターボタン、ダイヤルキーを備え、Xiaomi 14 Ultraに接続するとカメラさながらの撮影体験が可能だ。


 カメラ以外のポイントはプロセッサにSnapdragon 8 Gen 3を採用し、512GBのストレージを備える。ディスプレイは6.8型、1220×2720ピクセル、ピーク輝度は3000ニトと明るい。IP68等級の防水性能や90Wの急速充電機能を備えるなど、フラグシップにふさわしいスペックといえる。Xiaomi直販サイトでの価格は19万9900円(税込み、以下同)。


 AQUOS R9 proはシャープが2024年12月に発売されたスマートフォンの最新モデル。本機種は広角カメラ、超広角カメラ、望遠カメラの3つを備え、レンズはライカの「ズミクロン」を冠するものを採用する。


 広角カメラには従来と同じく1/0.98型のイメージセンサーを採用しているが、Xiaomi 14 Ultraなどと同じ世代のものにアップグレード。画角も一般的な35mm換算で23mm相当に変更され、熱望された光学式手ブレ補正も備えた。


 望遠カメラは3倍(35mm換算で65mm相当)を備える。5030万画素、1/1.56型の大型イメージセンサーを採用し、ノイズを抑えてきれいに撮影できるとする。待望の超広角カメラも備えており、こちらも5030万画素のものを採用している。


 カメラ以外のポイントはプロセッサにSnapdragon 8s Gen 3を採用し、512GBのストレージを備える。ストレージ容量が多くなった一方で、AQUOS R9に備わっていたmicroSDスロットは廃された。画面は6.78型のWQHD+解像度、ピーク輝度2000ニト。AQUOSらしい240Hzの「なめらかスクロール」にも対応する。


 IP68等級の防水性能に加え、本体に物理シャッターボタンを備える。日本で支持を集めるFeliCa(おサイフケータイ)にも対応するなど、安心して使えるスマートフォンだ。価格はシャープ直販が19万4700円、ドコモが21万1970円だ。


●撮影画質を比較 ハードウェアの差は出るが、雰囲気は意外と似ている


 ここからはXiaomi 14 UltraとAQUOS R9 proで撮影した写真を見比べていこう。両者ともオートで撮影しているが、Xiaomi 14 Ultraは「Leica Vibrant」、AQUOS R9 proは「ナチュラル」の設定で撮影している。


 同じライカを冠する機種ではあるが、Xiaomi 14 Ultraは明暗と色をはっきり出すダイナミックな描写に対し、AQUOS R9 proは見た目に近いチューニング。AQUOS R9 proの「見た目に近い」表現はスペクトルセンサーの恩恵を感じさせる。それでも、撮影した際の雰囲気は両者近いもので、ライカの名を感じさせられる。


 メインカメラは両者共に1型センサーを採用する。「自然なボケ感」では両者肩を並べるところにいるが、可変絞りといったメインカメラでできる表現はXiaomi 14 Ultraの方が優位。一方で「一発で目で見たような写り」を求めるなら、スペクトルセンサーを備えるAQUOS R9 proが優位な印象だった。


 超広角カメラはどちらも5000万画素だが、AQUOSが換算13mmに対してXiaomiの方が換算12mmとより広角だ。基本性能の差もあるため、より広くきれいに収めたい場合はXiaomiの方が優れている。


 望遠やテレマクロといったシチュエーションは、2つの望遠カメラを備えるXiaomi 14 Ultraが優位だ。特に本機種の3.2倍望遠カメラは、メインカメラから5倍望遠カメラまでの中間望遠として画質維持に加え、自然な円形ボケを演出できる。最短10センチまで被写体に寄れる点も魅力的だ。


 これに加えて5倍望遠カメラも備え、2つの望遠カメラで標準域から10倍クラスの望遠域までしっかりカバーできる。Xiaomi 14 Ultraの望遠カメラは画質劣化に加え、異なる特徴の望遠カメラを備えて「使い分け」を見込んだ設計だと感じられる。


 AQUOS R9 proも望遠カメラを備えたことで、以前よりも撮影の幅は大きく広がったものの、Xiaomi 14 Ultraとはまだ差があるように感じた。65mm相当の中望遠での写りは大型センサーゆえに目を見張るものがあるが、6倍の130mm相当になってくると差がはっきり出てくる。


 テレマクロ撮影ができない点は仕方ないとしても、フォーカスの遅さや甘さ、ズーム時の引っ掛かりや画像処理といった部分で差が開けられているように感じた。この部分は次期モデルやソフトウェアアップデートでの改善を期待したい。


 Xiaomi 14 Ultraは多彩な撮影モードも目を引く。Leica VibrantとLeica Authenticの2つのモードに加え、多種多様なフィルターを利用できる。スナップショット重視のファストショットモードもあり、秘めた撮影表現をより広げられる。


 AQUOS R9 proも「ナチュラル」「ダイナミック」という2つの撮影モードを備えるなど進化したが、設定階層が深いのでシーンに応じて即切り替えはできない。また、Xiaomiがアピールするようなモノクロモードも備えない。ここは性能差と評価するよりも、より多くの表現が可能な多機能さを意識したXiaomiに対し、シンプルな操作系を重視したAQUOSという設計思想の違いも感じ取れる。


 撮影体験では非常に悩ましいところ。AQUOS R9 proは物理的なシャッターボタンを本体に備える点こそ優位だが、その点はXiaomi 14 UltraもPhotography Kitを装着すればカバーできてしまう。


 レンズフィルターの装着もAQUOS R9 proが別売アクセサリー使用で62mm径、Xiaomi 14 UltraがPhotography Kit使用で67mm径のものがそれぞれ使用できる。本体しか持ち歩かないのならシャッターボタンを備えるAQUOS R9 proが撮影体験で優位なのは間違いないが、Xiaomi 14 Ultraも多くのユーザーが「Photography Kitの使用が前提」なことを踏まえると、ここは引き分けとしたい。


●カメラ性能特化ならXiaomi。普段使いに重きを置くならAQUOSか


 2つの「ライカを冠したフラグシップスマホ」として評価すると、トータルの完成度の高さはXiaomi 14 Ultraに軍配が上がると感じた。AQUOS R9 proは「ここまでのものを世に出した」点は評価したいが、ハードウェア、ソフトウェア共にまだまだ粗削りな印象が目立つ。


 AQUOS R9 proは手ブレしやすい点が気になり、ソフトウェアは操作系に課題があるように感じた。現時点では1倍をタップして1.2倍、1.5倍(それぞれ換算28mmと35mm)に切り替える項目もなければ、近年多くの機種で使える「2倍」の項目すらない。多くの競合がこの機能を備えるだけに、ここは時代遅れと感じられる。


 それでも撮影した写真の雰囲気は両者ともに共通する部分があり、カメラ性能こそ差はあれど、目指す絵作りは近いものを感じられる。「ライカコラボ」のスマホとしては両者ともに完成度は高い。


 Xiaomi 14 Ultraは卓越したカメラ性能はもちろん、フラグシップのスペックを備える「最上位」のスマートフォン。専用のPhotography Kitなどをはじめ、カメラ機能だけでなく「撮影体験」にも特化している。


 それゆえに、カメラ以外の使い勝手で普段使いでは不満に感じる場面もある。筆者としては、電池持ちが競合機種と比較してやや悪い点、FeliCa(おサイフケータイ)に対応しない点といった勝手の悪さが惜しいところ。Xiaomi 14 Ultraは販路も限られており、ドコモでも購入できるAQUOS R9 proに比べると、入手性やケースなどのアクセサリーの充実度で劣ってしまう。


 AQUOS R9 proのカメラは「スペクトルセンサーを用いた自然な色表現」が利点だと感じた。それ以外では、最上位のカメラスマホながら「普段使い」にもきっちり対応できるところ、特におサイフケータイ(FeliCa)の対応が大きく、Xiaomi 14 Ultraに対して明確な強みを持つ。地味ではあるものの指紋センサーにはQualcommの「SonicMax」を採用しており、超高速認証や複数の指を用いた認証も可能だ。


 ソフトウェア面でも「簡単モード」をはじめとした利用者のニーズに応える機能が多く備わる。OSのアップデート期間を明確化しているため、長く安心して利用できる点も魅力。オープンマーケットだけでなく、ドコモでも取り扱いのあるため、購入後のサポート面でAQUOS R9 proを狙うのもアリだ。


 一方で、約20万円という価格設定を考えると、フラグシップよりも一段劣るSnapdragon 8s Gen 3の採用、後発ながら先行しているXiaomi 14 Ultraにカメラ性能等で後れを取ってしまった点は惜しい。発売時期の関係もあって、OPPO Find X8やnubia Z70 Ultraといった次世代機がほぼ間を空けずに登場した点も、AQUOS R9 proのようなマニア向けの機種には逆風となってしまった。


 ここで価格を見ていこう。Xiaomi 14 Ultraはストレージ512GB、Photography Kit付属で価格は19万9900円。これに対しAQUOS R9 proもストレージ 512GBで19万4700円、ドコモ向けは21万1970円に設定されている。


 カメラスマホとして今回真っ向勝負の2機種を選定したが、オープンマーケット向けの価格帯はほぼ同じ。こうなると悩ましい2機種だが、基本性能やカメラ性能を加味するとXiaomi 14 Ultraに軍配が上がる。


 本機種のカメラ性能は、現在日本で発売されているスマートフォンの中でも5本の指に入る高いレベルにある。ライカ共同開発のカメラできれいに撮れるだけでなく、基本性能、撮影体験をはじめ「カメラスマホ」としてみたときの完成度はAQUOS R9 proを上回る。もっとも、この比較は2024年に日本国内ではIT系メディアの記者、ライターをはじめ、SNSユーザーを中心に多くの方から極めて高い評価を得たXiaomi 14 Ultraとの比較。AQUOS R9 proも単機で見た際の性能の高さ、撮影体験は他社製品よりも高いことは付け加えておく。


 ライカのカメラを冠するこれら2機種は、重視するものが妥協のないカメラ性能なのか、カメラ性能を求めつつ普段使いのバランスなのかで選ぶとよさそうだ。


 妥協のないカメラ性能を求めるのならXiaomi 14 Ultraを、カメラ性能を重視しつつも、FeliCa採用、各種サポート面の充実具合を含めた「普段使いしやすさ」を求めるのならAQUOS R9 proを選択するといい。


 特に「Xiaomi 14 Ultraがおサイフケータイに非対応なのが惜しい」と感じた人には、近いカメラ性能を持つAQUOS R9 proはマストバイの選択になると考える。可能であれば両機種とも家電量販店などで実際に手に取ってから選択してほしい。


●著者プロフィール


佐藤颯


 生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。


 スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。


・X:https://twitter.com/Hayaponlog


・Webサイト:https://www.hayaponlog.site/



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