
今回は、編集部が設定したセルフメディケーション税制についてのケーススタディーに専門家が回答します。
Q:インフルエンザの予防接種はセルフメディケーション税制の対象になりますか?
●今回は編集部が設定した以下のケースに専門家が回答します。「昨年11月にインフルエンザの予防接種を受けました。これって、医療費控除の対象にはならないって聞いています。セルフメディケーション税制では対象になりますか?」(40代)
A:インフルエンザの予防接種自体は控除の対象にはなりませんが、「一定の取り組み」の1つとして認められます
医療費控除は、支払った医療費が一定額を超えるときは所得控除を受けることができるという制度で、病気やケガなどで病院に支払った医療費が対象となります。一方、セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、ドラッグストアなどで購入した薬の対価を所得控除の対象となります。セルフメディケーション税制の対象となるのは、特定一般用医薬品などを購入した費用です。この税制を利用するためには「健康の保持増進や疾病の予防に関する一定の取り組み」を行っていることが条件となります。その「一定の取り組み」の中に、インフルエンザワクチンの予防接種が含まれています。
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「一定の取り組み」の具体例
セルフメディケーション税制における「一定の取り組み」には以下のものがあります。・保険者(健康保険組合など)が実施する健康診査【人間ドック、各種健(検)診など】
・市区町村が健康増進事業として行う健康診査
・予防接種【定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種】
・勤務先で実施する定期健康診断【事業主検診】
・特定健康診査(いわゆるメタボ検診)、特定保健指導
・市区町村が健康増進事業として実施するがん検診
セルフメディケーション税制を申告される方が、上記の取り組みのうち1つでも受けていれば、セルフメディケーション税制を利用する条件を満たすことができます。
申告される方と生計を一にする配偶者その他の親族の方については、同様の取り組みを行う必要はありません。
誤解しやすいポイント
よく誤解されがちなのは、「インフルエンザワクチン接種を受けたから、費用も控除の対象になる」と思ってしまうことです。しかし、インフルエンザの予防接種費用そのものは控除対象になりません。あくまで「条件を満たすための取り組み」として認められるという点を理解しておきましょう。
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文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー)
3匹の保護猫と暮らすファイナンシャルプランナー。会計事務所、保険代理店や外資系の保険会社で営業職として勤務後、FPとして独立。人と比較しない自分に合ったお金との付き合い方、心豊かに暮らすための情報を発信しています。
(文:舟本 美子(ファイナンシャルプランナー))