画像提供:マイナビニュースLINEヤフーは、名古屋大学大学院教育発達科学研究科・教育学部 内田良教授監修のもと、全国の小中学校教員、小中学生の保護者を対象に、「学校と保護者の連絡に関する実態調査」を実施した。
○学校連絡のデジタル化、希望と現状のギャップ
教員と保護者それぞれに、学校と保護者間の連絡手段について調査した。現状、連絡時にデジタルツールを利用している割合(以下、デジタル化率)は、教員41%、保護者46%と半数以下であることが判明した。
連絡内容別のデジタル化率をみると、教員・保護者ともに最もデジタル化率が高い項目は「遅刻欠席早退の連絡」であり、教員55%、保護者63%であった。最もデジタル化率が低い項目は「面談の日程調整」で、教員24%、保護者30%という結果となった。
さらに、連絡内容別の「デジタル化希望と現状」の差分をみると、教員の各項目平均で27ポイント、保護者の各項目平均で19ポイントの差があり、両者においてデジタル化の希望と現状には乖離があることが分かった。
○困っていること「プリントの渡し忘れ」「日中の電話」がTOP2
教員と保護者それぞれに、学校・保護者間の連絡において困っていることを調査した。
教員で最も多かったのは「紙のプリントの場合、子どもが保護者に渡し忘れることがある」で77%(77.3%)、次いで「電話の場合、日中に保護者につながらないことがある(勤務時間外になってしまう)」が77%(77.0%)であった。どちらも約8割と高い割合を示した。3位は「保護者との連絡に時間が取られてしまう」で69%であった。
保護者で最も多かったのは「子どもがプリントを出すのを忘れることがある」で49%、次いで「電話だと日中に出られないことが多い」が47%であり、どちらも約5割であった。3位は「新しいアプリ・ツールを入れるのが面倒」で34%であった。
連絡において困っていることの割合は、教員の方が全体的に高い傾向にあった。しかし、教員・保護者ともに上位2位の項目は共通しており、プリントの渡し忘れや電話がつながらない・出られないといった課題が明確になった。
○連絡手段の分散が負担に、統一ニーズは高い
教員・保護者それぞれに、現状使用している連絡手段の数と、その希望について調査した。
現状使用している連絡手段の数は、教員平均3.2個、保護者平均2.8個という結果であった。
また、現在2つ以上の連絡手段を使用している教員・保護者のうち、「1つのアプリやツールへの統一」を希望する割合は、教員87%、保護者89%と非常に高いことが判明した。
さらに、「学校・保護者間の連絡において困っていること」に関する調査では、
「現状のアプリ・システムでは、校務支援システムとの連携ができていない」(54%)
「アプリ・システムを使いこなせない教員がいると、使える教員に負担がかかる」(50%)
など、デジタルツールに関する課題を抱える教員が半数以上いることも明らかになった。
教員や保護者の負担を減らすためには、「なるべくアプリを増やさずに、誰でも使える簡単なシステムで、教員と保護者のコミュニケーションを網羅的にサポートできる」ツールや仕組み作りが求められているといえる。
○「LINE公式アカウント」の活用ニーズ
教員・保護者それぞれに、「学校の『LINE公式アカウント』を利用して保護者・学校との連絡をLINEで実施できるとしたら魅力的だと思うか」を調査した。
その結果、「魅力的」と回答した割合は、教員73%、保護者71%と、いずれも約7割にのぼった。
このことから、教員・保護者ともに、「LINE」を活用した保護者連絡システムへのニーズが高い状況にあるといえる、とレポートを結んでいる。
※「魅力的」「やや魅力的」「あまり魅力的ではない」「魅力的ではない」の単一回答で調査を実施。「魅力的」「やや魅力的」の合計を「魅力的と回答した人」と定義した。
【調査概要】
調査手法:インターネット調査
調査対象:
保護者:日本全国の20〜69歳で、公立・国立の小中学校に通う長子の学校との連絡を主に担当している、または月1回以上連絡を取っている人(マスコミ、広告、市場調査関係者を除外)
教員:日本全国の20〜69歳で、公立・国立の小中学校に勤務し、年1回以上保護者と連絡を取る教員(家族にマスコミ、広告、市場調査関係者がいる場合を除外)
実施期間:2024年10月4日〜10月9日
有効回答数:
保護者:3,008サンプル
教員:889サンプル
※ 表・グラフの数値は小数第一位または第二位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある()