【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【シングスピール】
イギリスを拠点に世界各国へ遠征し、英インターナショナルS、ジャパンCなどGIを4勝しました。
名種牡馬ラーイ、本邦輸入種牡馬グランドオペラ(メイセイオペラの父)の半弟。サドラーズウェルズの直系の孫ですが、母が米最優秀古馬牝馬にも選出されたカナダの歴史的名牝グローリアスソングで、母の父がヘイローというスピード型。したがって、日本の軽い芝にも適応しました。
母グローリアスソングの全弟に米最優秀2歳牡馬デヴィルズバッグ(タイキシャトルの父)、同じく全弟に北米チャンピオンサイアーのセイントバラードがいるほか、自身の姪にハルーワソング(ヴィルシーナ、ヴィブロス、シュヴァルグランなどの祖)、同じく甥にダノンシャンティがいるなど、このファミリーの活力は瞠目すべきものがあります。
母方に入るスピードの影響で、サドラーズウェルズ系にしては素軽さがあり、日本で重賞を勝った3頭、アサクサデンエン、ローエングリン、ライブコンサートは、いずれもマイル前後を得意としました。ローエングリンの仔ロゴタイプは、皐月賞、安田記念、朝日杯FSを制し、種牡馬としてミトノオー、オメガギネス、ラブリイユアアイズなどを出しています。
シングスピールの娘は繁殖牝馬として成功し、日本でもシンハリーズ、プチノワール、サマーハ、デュプレなどが優れた産駒を出しました。また、ロマンチックウォリアー、バーイード、アドマイヤマーズの2代母の父でもあり、母方に潜ってもその影響力に陰りは見られません。
◆血統に関する疑問にズバリ回答!
「去勢馬は高齢まで活躍しやすくなる?」
去勢により、雄性ホルモンの分泌が抑えられ、気性面の改善、体重増加の抑制が期待できるので、競走寿命が延びるという効果があるようです。たとえば、アメリカにおける歴史的セン馬(去勢された馬)は、ジョンヘンリー=9歳、ケルソ=9歳、フォアゴー=8歳と、いずれも高齢まで現役生活を続けています。日本では9歳以上でJRAの平地重賞を勝った馬は4頭いますが、そのうちの2頭(アサカディフィート、エポワス)はセン馬です。