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コーヒーを飲むことは、さまざまな健康効果を生み出すとよく言われています。でも実際のところ、どのような効果が得られるものなのか、いまいちわからない部分も多いです。そんな中、“腸内環境”に影響を与えるとの研究結果が出たそうです。そこで今回は、コーヒーが及ぼす健康効果について、YouTubeチャンネルの登録者数が48万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。
“コーヒー”は健康状態を改善させる!?
コーヒーは健康状態の改善や予防の可能性がある食品であるということが数多く報告されています。
代表的には、死亡率の低下や心臓血管疾患リスクの低下、糖尿病の予防、脂肪肝の予防、そして一部のガンのリスクを下げるといったものです。
コーヒーは、クロロゲン酸などのキナ酸やポリフェノール、トリゴネンなどの成分が健康上のメリットを引き出すと考えられています。
コーヒーは“腸内細菌”に影響を与えている
最近の研究では、コーヒーが腸内細菌にダイレクトに影響を与える可能性があるという報告がたくさんされています。
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コーヒーを飲む人は、バクテロイデスやポルフィロモラス、プロボテラなどの属レベルの細菌叢の変化が起こることがわかっています。
さらに、2021年の研究では、腸内細菌の中のローソンバクター・アサッカロリティカスという特定の種類の細菌が、コーヒーの摂取と強い関連があるとも…。
月に3杯未満の人、1日3杯以上飲む人、その中間の人という3つに分類して、コーヒー摂取量と腸内細菌の関係を見たところ、コーヒーの摂取量はローソンバクター・アサッカロリティカスの数に最も影響を与えていました。
ローソンバクター・アサッカロリティカスの数が、コーヒーをたくさん飲んでいる人は飲んでいない人の4.5〜8倍。中程度の人は飲んでいない人に比べて3.4〜6.4倍でした。
中程度の人と大量に飲む人の間ではそんなに大きな差はなかったので、1日3杯以上もコーヒーを飲まなくても、ある程度の腸内細菌の変化が起きていることがわかっています。
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“カフェインレス”でも同様の効果がある
この研究ではカフェイン入りとカフェインレスの比較もしていて、ローソンバクター・アサッカロリティカスはどちらで培養しても同様の細菌増殖を示したので、カフェイン以外の成分で細菌の増殖を促されているようです。
コーヒーのポリフェノールやクロロゲン酸は特定の腸内細菌を増加させるのに好ましい物質であり、それらの物質は善玉菌のエサとしての機能も非常に高いことがわかっています。
1日1〜2杯のコーヒー、しかもデカフェでも腸内に十分に影響を与えるので、牛乳や砂糖を入れずに、できればブラックで飲むことをおすすめします。
ローソンバクター・アサッカロリティカスが増える食品として、アロニアベニーも報告されています。
アロニアベニーはクロロゲン酸やカフェ酸、安息香酸、桂皮酸など、コーヒーの中に含まれているさまざまな化学物質が含まれています。
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アロニアはブルーベリーの2倍のアントシアニンも含まれているので、気になる方はぜひ取り寄せて食べてみてくださいね。
(TEXT:山田周平)
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画像提供:Adobe Stock
石黒成治先生
消化器外科医、ヘルスコーチ。
1973年、名古屋市生まれ。1997年、名古屋大学医学部卒。国立がん研究センター中央病院で大腸癌外科治療のトレーニングを受ける。その後、名古屋大学医学部附属病院、愛知県がんセンター中央病院、愛知医科大学病院に勤務する。2018年から予防医療を行うヘルスコーチとしての活動を開始。腸内環境の改善法、薬に頼らない健康法の普及を目的に、メールマガジン、YouTube、Instagram、Facebookなどで知識、情報を分かりやすく発信している。Dr Ishiguro YouTubeチャンネル登録者数は48万人超(2025年1月時点)。